34話
クリカとミケの足取りを追う為にまずは最近出来た屋台通りに足を運んだ。
元々、港なので人が絶えない場所であったが、ウチのアウトローギルドが出来た事でアウトローが小銭を港にある店でお金を使っていく流れを見て、屋台を開く者が増えて自然にできた場所であった。
勿論、食べ物屋、飲み屋、アウトローが必要としそうな武具店、道具屋などの店舗が急ピッチで作られて、今のセイドンは経済が大きく動き、街の在り方が変わろうとする転換期を迎えていた。
それはともかく、今はあの2人を探しに来た事を思い出した俺は、2人の行きつけの屋台を探しながら歩くと串焼きを売る爺さんの屋台を発見する。
早速、近寄り声をかけた。
「やぁ」
「あい、いらっしゃい。何にしますか?」
とりあえず、魚の白身の串焼きを注文する。
ここでは、肉、野菜、魚と色んな串焼きが売られている。
クリカとミケの情報を聞こうというのに、タダで聞くのも気が引けるからな!
「坊主、嘘はいかんのぉ。近寄ったら匂いでやられて流れで買っただけじゃろ?」
カバンの声が聞こえないようにスル―スキルを発動させた俺は、爺さんに話しかける。
「クリカとミケの2人顔を出してない?」
「ああ、来たよ。捜しているのかい?」
魚のフライにかぶり付きながら頷く俺を見た後、空を見上げる爺さん。
「今日はいい天気だから、きっと、あそこにいるんじゃないかな?」
そう言うと港の外れにある崖の上を指差す。
指差す先には大きな木が一本だけある特徴のある場所を見て、納得する俺。
アイツ等、絶対に昼寝してるな!
絶対の確信を持った俺は、屋台の爺さんに礼を言うと崖の上を目指して歩き出した。
崖にある大きな木に近づくと俺は軽く目を擦り、目に映るモノを否定しようとするが変える事のできない現実がそこにあった。
「あの娘達、全力じゃのぉ」
呆れを隠さないカバンの声に俺は項垂れそうになるが、全力の同意であった。
「なんか、ハ○ス食品のアニメを彷彿させるような無駄にクォリティが高いモノを作ってるな」
木の上に掘っ立て小屋といったボロイ家といえば、ボロイが木の上あると思えば、立派な建物が作られていた。
小屋の正面に廻ると登る梯子があり、その梯子の近くには何度も焚き火がされたと思われる跡のあるのを発見する。
どうやら、サボりは常習性であるようだ。
梯子を登っていき、登り終えると小屋の中を覗き込むと大きなクッションを枕代わりにして、気持ち良さそうに眠る2人の姿があった。
クッションまで持ち込む2人に本気を見せられるとは……
呆れを通り過ぎて、感心してしまった自分に驚いてしまう。
中に入っても気配に気付いて目を覚ます様子を見せない2人に不安を覚えるがカバンから膨らまし終えてる風船と針を取り出す。
それを2人に近づけると迷いも見せずに針を風船に突き立てる。
パァッン!!!
「きゃぁ!」
「ふみゃぁ!」
風船の炸裂音で目を覚ました2人は飛び起きると寝ぼけ眼で飛び出す。
まるで計算されたかのようにお見合いするようにして、お互いが突っ込み、デコとデコで正面衝突させる。
仲良く引っ繰り返った2人は目を廻すが、受ける衝撃のダメージの影響を受けるモノが少なかったからか、早い復帰を果たす。
眠そうな顔をして辺りを見渡すと俺に気付いたようで、眠そうに挨拶してくる。
だが、足りない脳でも何かがおかしいと感じたようで、もう一度辺りを見渡す。
やっと現実が追い付いてきたようで、ぱっちりと目を覚ます。
「け、ケンちゃん、違うのぉ。クリカ達はたまたま見つけた場所の調査をしてたら疲れて横になってただけなの!」
「そ、そうにゃ! ちょっとの休憩のつもりだったにゃ!」
「そうか、じゃ、それは何だ?」
俺が指差すクッションの指す位置を見て、2人は目を見開く。
『クリカとミケ専用』
クッションの隅に書かれた字をわなわなと見つめる2人。
「しまったの! お姉ちゃんに名前を書くように躾けられたクリカの癖がぁ」
「くっ、こうなったら最終手段なのにゃ!」
2人は目も交わさずに迷いのないズレのない動きで土下座を敢行する。
「「ごめんなさい」」
「うん、素直に謝る所は好印象だけど……もうちょっと頑張れ、2人共」
この手慣れた感じからすると俺の知らない所で美砂達に怒られて、謝り慣れてるな……
嘆息しか漏れない俺の様子から許しが得れたと思った2人はユルイ笑顔を向け合う。
楽勝と思わせるとアレなので、今度機会を見て美砂達に報告する事にしようと心に決める。
「それでぇ、ケンちゃんはどうしてここに?」
「ああ、神殿跡の調査に出た、いくつかのパーティが撃退されるという問題が発生した。なので、俺達が調査に出ようという事で2人を探してた」
「やったにゃ、お出かけにゃ!」
はしゃぐ2人を見つめて、遊びに行く訳じゃないんだけどな、と苦笑する。
まあ、いいか、と割り切った俺は、2人に告げる。
「すぐに出発するつもりだから、準備が済んだら城門で待ち合わせで」
「分かったのぉ!」
クリカとミケは敬礼すると小屋から飛び降りて、アウトローギルドの方向へと駆けていく。
それを見送った俺にカバンが話しかけてくる。
「どうにもあの娘2人を相手してる坊主を見てると保父さんにしか見えなくなってくるのぉ」
「言わないで、俺も必死にそれを考えないようにしてるから……」
カバンが、「坊主も大変じゃのぉ」と呟く声と共に溜息を零す。
こういう時の行動は早そうな2人がすぐに城門に来る予感がする俺は、木から降りると城門目指して歩き出した。
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