30話
2章スタートです。
なんやかんやで30話にきました。なんとなくハーレムが薄くなってきてるような気がするのはきっと気のせいと言い聞かせてください(笑)
アウトローギルドを立ち上げて、3日過ぎた。
今はもう会員登録の列もそれほどでもないし、美砂が一人で対応できるレベルにまで落ち着きを見せていた。
昨日まで会員登録の受付に居たクウコは依頼受注カウンターに移動しており、アオは商人用の受付に移動していた。
「だいぶ落ち着いたのぉ、昨日までは忙し過ぎて坊主達が死んでしまうかと思ったわ」
思いっきり他人事で楽しそうに言うカバンに拳を抉るように入れる。
殴られたカバンが「最近、坊主のワシの扱いが雑じゃないかのぉ!」とヒートアップしてるが聞こえないフリをする。
とは言え、カバンの言う通り、凄まじい2日間であった。
肩を竦めた俺はみんなを見つめながら思い出していた。
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初日の会員登録の忙しさは凄まじいモノがあった。
会員登録のカウンターの主は美砂、クウコ、アオの3人で休みなく廻していた。
そちらに追われ、ほとんどの人員を投入した事により依頼受注カウンターがチャロン一人で賄う事になり、実質パンク状態に陥った。
これはこちらの目算が甘かった事もあったが、結果論だがチャロンを依頼受注カウンターに置いたのは正解であった。
アウトローは荒くれ者だが、子供には甘い性格をしたものが多かったようで、会員登録の忙しさは横目で見てても分かったので、責める対応する者が少なかった。
むしろ、責めるヤツがいたら、待ってるヤツらに袋叩きにされていた。
容姿の幼さの勝利であった。
とは言っても、力自慢を気取りたいのか暴れようとする者も現れるが治安維持部隊のクリカによって鎮圧されていた。
それを見て、ギルド内で暴れるのは止そうという風潮が生まれて、嬉しい誤算であった。
商人の受付カウンターでは、タヌキ族のラキシが対応していた。
ラキシは最初の説明では理解に至らなかったが、1度理解すると凄まじい理解力を示した、後発組のトップであった。
やや、ふっくらとしたぽっちゃり系のラキシは、柔らかい微笑みを浮かべながらも頭をフル回転させる事ができるタイプのようで、相手に警戒心を抱かせにくい。
そう言う意味では美砂やクウコよりスペックが高いと評価できる。あの2人はできると見た目からも判断され、仕事ぷりを見て警戒されるからであった。
とはいえ、実務経験が伴っていないので、百連戦魔の商人には押されているのが見えるが今後に期待であった。
逆に露天商や行商人レベルはむしろ、手玉に取れてるラキシは良い拾い物であった。
初日の状況は、アウトロー用会員登録が8、商人用会員登録が1、受注カウンターが1という割合で初日の結果であった。
ギルドを閉めたのは日付が変わる間際で、俺達は疲れ果てていた。
それでも俺の為に食事を用意しようと立ち上がる美砂を俺は止める。
「もうみんな疲れ過ぎてる。こんな事もあろうかと傍にできたダダンさんの店に予約入れてるから、お祝いも兼ねて外で食べよう」
嬉し泣きする美砂に逆に申し訳なくなる俺だったが、初日の盛況ぶりと疲れから来るハイテンションに包まれた俺達は大騒ぎして食べた。
帰ると電池が切れたように眠りに就いた。
そして、俺達は3階の窓から見える待ってる人の姿に顔を青くした。
昨日の時点ではピークは初日だと思い込んでいた昨日の自分を殴ってやりたい衝動に駆られる。
色々、諦めた俺達が下に降りて扉を開けると一気にロビーは人だらけになる。
昨日は列整理などで、多い人数がロビーに出ていたが、カウンター業務が完全にパンクしてしまい、俺とクリカとミケを残して、全ての人員がカウンター業務に廻った。
ミケは看板を持って出入り口に立って、「只今、大変込み合っておりますにゃぁ! ちゃんと並んで欲しいにゃ!」 と叫んでいる。
クリカはその身体能力を活かして足場になると思えない場所を飛び跳ねながら悪さをするヤツらをノシたり、割り込みをする者など成敗して廻っていた。
そして、俺は質問に答える為にカウンターと逆の場所で立つと叫ぶ。
「只今、カウンター業務が混雑しております。カウンターでは質問を控えて頂きたいと思います。質問には私の方でお答えしますので、お聞きになられたい事がある場合はこちらにいらっしゃってください」
説明したのは、本当に最初だけであった。
それからは引っ切り無しにやってくる相手の質問に答えるだけに口を開き続け、待ってる者から文句が出るのも耐える時間になった。
俺の余りの四苦八苦ぶりに同情したカバンが俺が作ったギルドの決まり事が書かれた本を用意してくれてたので、
「文字が読める方はこちらをお読みください。ここに書かれてない事が知りたい場合は列でお待ちください」
そうやって本を置くと待ってるのが苦痛だったと思われる文字が読める人達が本を読みだすと知りたかった事が書かれてたようで、満足そうに去っていく姿が出始める。
そのおかげで待っている人が半分以上減った。
カバン!! ありがとうぉ! 愛してるぅ!!!
調子の良いヤツじゃ、と言いつつも満更でもないカバンの言葉を聞き流しながら、俺は質問者の列を裁き続けた。
結果、初日の倍以上の数の人達がやって来ていた。
割合がアウトロー用会員登録が3、商人用会員登録が5、依頼受注が2という割合であった。
アウトローも増えてはいたが劇的に増えたのは商人で、おそらく様子見してた商人がしてきた奴等の話を聞いて、本物と確信して駆けこんできたと思われる。
確かに初日の人数は凄かったが割合的に商人が少な過ぎたように思う。
昨日以上に盛況だったアウトローギルドを閉めた俺達は、食事を取る気力もなく、眠りに就いたのは言うまでもなかった。
そして、今朝、おそるおそる窓から覗いた俺達の視界に人が50人いるのが見えて、
「今日はさすがに少ないね」
と笑い合うほど壊れていた。
まだ忙しいと言えば忙しいが普通に対応できるレベルには落ち着いてくれて、俺も周りを見渡してられるぐらいになっていた。
今も傍の掲示板にツキノが商人が依頼していった内容が記載された依頼書を張り付けていた。
張り付けられたモノを早速覗き込む者や、早く取らなくちゃ無くなると思った者が何も考えずに依頼書を持って依頼受注カウンターに並びに行く。
それを見つめていると俺の服の裾を引っ張る者が現れる。
引っ張る者を見ると10歳にも成ってないような子供達であった。
「なあなあ、俺達も依頼受けれるようになるって本当?」
「ああ、今は正規の会員登録などで大変な事になってるから無理だけど、来週から受付をスタートする予定になってるよ」
それを聞いた子供達は嬉しそうに騒ぎ出す。
商人達の依頼には簡単な掃除や、簡単なモノも結構あった。
だが、どうしても報酬が少なめで、戦えたり、遠くに行く脚力のあるものからすれば、暇潰しには受けても、こまめに受けるようなモノではなかった。
そこで、俺は子供用の会員証を作ろうとカバンと相談するとカバンに大喜びして賛成してくれた。
安全で、子供でもできる仕事を斡旋するだけの為の会員証。カバン機能も気休め程度で、お金を預ける機能は同じモノを付ける。
インスタントスキルなどは使えないが、自分が発現したスキルは表示されるモノを作る事にした。
喜ぶ子供達を見つめながら、ツキノが貼ってる掲示板と違う掲示板が出入り口付近にもあり、そちらを指差す。
「あそこに張ってる依頼が君達が受けれる依頼だよ。受けれるのは来週からだけど興味があるなら見ておいで」
そう言うと子供達は飛んでいくがすぐに戻ってくる。
「兄ちゃん、字読めない!」
そう言うと読んでくれと引っ張って行かれる。
苦笑しながら着いていき、一つずつ読んで聞かせながら思う。
依頼書を読む程度も文字を教える機会も作ったほうがいいかな?
読めないのは子供達だけではないらしい事は、今も依頼書を見ながら片言読みをする少年の姿も見える。
まだまだ、やるべき事は山積してるな……
「ワシも手伝うから、気合い入れんか!」
「よろしくな、カバン」
俺は相棒を優しく撫でて笑った。
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