29話
やっとここまで書けた。
週1だから本当はもっと早い展開にしないといけないのかもしれないんだけどね……
人身売買に手を染めてから1週間が過ぎた。
なんか、こういう言い方すると酷く犯罪臭がするが、決してそんなことはないはずである。
義侠心からくる俺の行動に問題はきっと……問題はない……はずだっ!
まあ、俺の心の葛藤はこれぐらいにして、互助会を作る上で人数が足らなさ過ぎるという欠点はとりあえずの解決をみた。
そこから、準備に追われる日々の始まりであった。
こういう仕事をするというのは、荒事をメインに働く者が多い為、大雑把な者がどうしても多くなる。
なので、物を大事にするという考えを植えつける為に少し高級なものを飾るなりして暴れて壊したり汚したら、と思わせる為に色々な備品を買い揃えた。
勿論、商人も出入りするので見栄という側面も存在する。
準備に追われるなか、俺が目指す互助会の基本的な事を奴隷の子達にも伝える。
やっている事は読み物で知ったかした冒険者ギルドの真似事であるが、それがどういう利益が出るか最初の段階で理解したのは奴隷の子達ではクウコとアオの2名だけであった。
アオというのは、ハシカで寝込んでいた赤髪の人種の少女で、どうやら元はそれなり大きな商家の令嬢だったようで、美砂と同様にその辺りの知識には明るかった。
まあ、この子も色々、性格に難のある子である事が判明するがそれはその時に語ろう。
とりあえず、理解度が高い子が2人もいたという事は美砂とチャロンにとっても嬉しい誤算だったようで、この2人に先に仕事を教え込む事で4人で他の者の教育にする事にした。
2人を教育するのに1日で済ませると3日かけて他の者達の最低限の教育にあたった。
ちなみに最後まで手こずったのは、クリカであった。
あのお馬鹿そうなミケにも負けるクリカの残念さが露呈した瞬間であった。
というか、本気で初めから理解してなかったのかよ!
そう突っ込まないのは優しさなのかどうかに悩んだ俺だった。
5日目に、ギルド職員用の制服を仕立てに服飾店にみんなで出向く。
俺の格好は黒を基調にしたブレザーのような格好にし、女性のは銀行員といった姿を想像して貰えると分かり易いだろうか?
こちらは、紺をベースでそれぞれの名前を刺繍して貰い、女の子達が勝手にその名前の横に色んなものを刺繍を頼んでいた。
例えば、美砂であれば大輪の花といった刺繍がされ、チャロンは小鳥、クリカはリンゴであった。
中でもミケがライオンのような刺繍を入れるのを見た俺達は、何故か微笑ましくなり、全員、ミケの頭を撫でて廻った。
「何なのにゃ! ミケが何かしたのにゃ?」
といった具合にご本人は大混乱だったようだ。
6日目の朝、我が家のはす向かいで大工職人が空き家だった場所を改築を始める為かやってきた。
何故、大工職人かと分かったというと、家の間取りの壁を作りに来た棟梁がその場にいた為である。
ちなみに家の改修工事は済んでいた。
その棟梁に話を聞きに行くとダダンさんが酒場を開く為に作り始めたらしい。まったく抜け目のないオヤジだ。
家で稼いだ奴らが金を落としていくのを期待しているのが丸分かりだ。
そんな感じで外を眺めているとポツポツと我が家、おそらく、互助会ができるという噂を聞いて見に来た者が現れる。
「今晩、この場所で互助会の説明会があります。簡単なお食事も用意しておりますので、奮って参加してください」
集まってきてる人達に俺は声を張り上げて伝える。
声を上げる俺に質問する者が現れる。
「噂で聞いたんだが、カードがカバンになったり、カードを持ってたら強くなれるって本当か?」
「ええ、本当ですよ。強くなれるかどうかは使いこなせるかどうかなので、保障はしませんが、カバンの話は間違いなく本当です」
そう答えると、仕事は? お金は? 入る条件は? などと質問が飛び交うが声を張り上げる。
「最初に言いました通り、今晩、説明会がありますので、疑問に思われてる内容の答えはほとんどお答えする事になると思います。ですので、奮ってお知り合いをお誘いしてきてください」
そう答えると興奮した様子の人達が近くの人と騒ぎだしたり、夜まで待つと言って、その場に座り込む人まで現れて苦笑する。
タイミング良く、ツキノとミケが出てきたので、今日の説明会の告知をするのを頼む。
想像以上に人が集まるかもしれないと軽く興奮気味の俺は今日の食事の用意を当初より多めにして欲しいと伝える為に美砂達を捜しに向かった。
そして、説明会の時間になり、先に食事を勧めて、お腹が膨れた頃を見計らって説明を始めた。
みんな腹が膨れたせいもあってか、冷静に話を聞いてくれていていると思って、楽な説明会になると思っていた俺がその時にはいた。
だが、それはある瞬間裏切られる。
「では、一通り説明が終わりましたので、ご質問があれば……」
と言った瞬間に怒涛の質問ラッシュに遭い、こちらは目が点になる事態に包まれる。
必死に騒ぐ人達を沈めて、やっと落ち着いたところで挙手をして当てた人が質問する形式を伝えて進める。
当然のように同じ質問をしようとしてた人が多数いた事で、1つずつ答えていくと手を上げる人がどんどん減っていく。
手を上げる人がほとんどいなくなるまで質問を答え続けた。
まだ数人いるがみんなの注目を手を叩いて集める。
「まだ多少は聞きたい事があられる方もおられるとは思いますが、早い段階で知っておきたい内容は出揃ったかと思います」
周りを見渡すが誰からも異論が出ずに見つめ返される。
「ですので、残りは明日以降に個別に伺おうと思います」
アウトローぽい人達は拳を突き上げて叫び、商人らしき人は拍手で俺の言葉に同意を示す。
もう一度見渡して、少し静かになったタイミングを狙って口を開く。
「では、明日からギルド会員受付を開始しますので、奮ってのご参加をお待ちしております」
そう言って一礼すると女の子達に明日の並び方の説明を頼むと俺は中に引っ込んだ。
それが昨日の夜の話であった。
今、シングルベットが5台分ぐらいの大きなベットの真ん中で美砂とチャロンとクリカで寝ていた。
どうやら、俺を散歩に勧めて追い出した後に3人がダダンさんに頼んで用意して貰った物らしい。
正直、これを買うのを阻止されないが為だけに俺を追い出したのだろう? と問うと愛想笑いするだけで答えて貰えてない。
昨日は俺も興奮状態だったのでカバンから差し入れされた『超赤マムシEX』を飲んで今日は無事朝をというか、初めて美砂達に勝利を収めた。
気持ち良さそうに眠る美砂達を横目に起き上がる俺に気付いたらしい3人が目を擦りながら美しい裸身を隠さずに起き上がる。
朝日に照らされて別物に見える為か、自分の頬が紅潮してるのに気付く。
美砂達が着替える姿を見て慌てて目を逸らして、動悸が激しい自分に問う。
なんでなん! もう結構見慣れてると思ってたのに!
そう苦悩する俺に
「まだまだ、坊やじゃのぅ」
とドヤ顔してそうなセリフを吐くカバン。
自分で処理できない感情をカバンを踏む事で済ませる。
カバンが怒鳴り散らしてるが聞こえないフリを決め込み、俺も着替えを、ブレザー姿になる。
美砂達と共に部屋を出ると食事の用意がされてみんなが集まっており、皆で仲良く食事を取る。
「もうギルド前で順番待ちしてる方が沢山おられますよ?」
どことなく嬉しそうにしているツキノがパンを小さく千切りながら食べながら外の状況を伝えてくる。
どうやら他の子達もそれを見てきたようでワクワクした様子を見せていた。
「じゃ、待たせたら悪いな。食事が済み次第、身嗜みを整えてロビーに集合」
食べ終わった俺は歯を磨きに向かうが、着替える前に磨けば良かったと後悔し、上着だけでも脱いで歯を磨く。
髪を手櫛で整え終えると俺は美砂達3人を連れてロビーに降りていく。
降りた先には奴隷の子達が整列しており、綺麗に同時に頭を下げて挨拶される。
「お早うございます。ギルドマスター」
「ああ、おはよう。さあ、俺達のギルドを始めよう」
そう笑みを返すとギルド出入り口に向かい、押して開いて、元気良く叫ぶ。
「ようこそ、アウトローギルドへ!」
今日から俺は世界で初めてのギルド経営をスタートさせた。
1章 了
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