16話
なんとか更新(汗)
「ワシは、あの女子らを見誤っておった事をはっきりと自覚したぞ……」
カバンは、ガクブルとするように紐をバイブレーションさせているのが肩に伝わってくる。
そう、俺はあれからノンストップで襲われ続け、朝日と共に解放される事になったが良く生き残れたと本気で思った。
あの魔人の体力というのは確かに効果を実感できるだけのスキルだったが、あの3人からすれば、残弾増えてラッキーぐらいの意味しかない事を嫌でも理解させられた。
「あれは愛だけとかでは説明不能じゃ。絶対、あの娘達にはなんかきっとある。今日、あやつらのカードを作る時に何か分かるかもしれんのぉ」
そう唸るカバンは、俺に「もう1本飲んどくか?」と勧めてくるので頷くとカバンに手を突っ込み、4本目のポーションを色々とカサカサになって目の下に隈を作る俺は生きる為に一気に煽った。
それから、朝食の時間になり、みんなと一緒に食事を済ませると部屋に戻る。
昨日、うやむやになった3人のカードを作る為である。
3人は何となく嬉しげにしている。自分の能力などを文字として見れるようになるのは興味があるのであろう。何せ、勉強が嫌いだったどっかの馬鹿も成績がどうこうではなく、テストの点数がどれくらいか、通知簿の数字がと気にするぐらいである。
俺はカード製造機に金属板をセットする。
まずは、美砂からと思い、美砂に触れるように伝えると静かに笑いながら頷くと手をそっと置いてくる。
すると、振り子が激しく触れ出し、光が金属板を駆け巡る。
出来上がった美砂のカードはこんな感じである。
篠山 美砂 ♀
職業:仕事人 レベル 10 ポイント 0
称号:フレイヤの加護 糸を操りし者
底なしな一途な少女
スキル: 弦術5 薬学3
ユニークスキル: なし
インスタントスキル: なし
「……仕事人?」
そう呟く俺の目から隠すように職業欄を指を添える美砂は朗らかに笑みを浮かべる。
「書いてあるのは、お嫁さんです」
そう言われる俺であったが、いくらなんでも無理があると苦笑いを浮かべながらカードを見る。
糸を操りし者という称号と弦術5に目に入ると電気が走るように閃く。
美砂を見つめながら、必殺の人なのか?組紐屋の人なの?と驚愕に表情を固める。
そして、重要な事を思い出す。
あのスパロンを仕留めた美砂の姿を……
本物が目の前にいると分かるが、深入りさえしなければ、きっと大丈夫と考える事にする。だって、一途な少女という神様の見立てを信じようと思う。若干、底なしという意味がどういう意味かが気になるがそこもスルーする。
「なるほどのぉ、選りのよって『フレイヤの加護』か……」
俺は3人が美砂のカードに夢中になってるのを見計らってカバンに話しかける。
「確か、美の女神だったっけ? 道理で美砂は綺麗だと思ったよ」
「いや、その解釈は間違ってはおらんのだが、性に奔放という一面もあるんじゃ……おそらく、あの娘の夜のスイッチはこれが原因じゃろう」
カバンは、あの娘の性格が一途じゃなかったら淫乱と呼ばれる女になってたかもしれん、と言われて、ある事実に気付いて俺は目が点になる。
それが1人にかかる……死ぬじゃん?
「気付いたようじゃの、一日も早く、魔人の体力を使いこなす事じゃ。後、間違っても嫁は増やすなよ?」
「だ、大丈夫だ、既に3人いることが奇跡だ」
だからできないと伝えるが、「起きてしまった奇跡はもう既に奇跡じゃないわい」と呟かれて不安になる俺。
遠い目をする俺に飛び付くようにして、揺すってくるチャロン。
「なぁなぁ、私のも作って欲しいのだ」
「お、おう」
遠くに行きそうになってた心を強制送還された俺は、チャロンに急かされるがままに金属板をセットする。
ワクワクした表情したチャロンが、美砂とクリカに見守られながら手を添える。
出来上がったチャロンのカードはこんな感じである。
チャロン ♀
職業:家事手伝い レベル 9 ポイント 0
称号:アルプの愛し子 魔力の寵児
こう見えても年は3ケタ
スキル: 精霊魔術3 配膳5
情報収集(女性相手限定)
ユニークスキル: なし
インスタントスキル: なし
「チャロンって年いくつ?」
「15歳なのだ」
俺は、えっ?と呟いてカードの称号に指を向けようとするが先に動いたチャロンがテープを張って視えないように貼る。
「15歳なのだ」
にっこりと笑ったチャロンが同じセリフを言ってくる。
エルフだから変な話じゃないのにな、と思うが女心を理解しない俺とエルフの適齢期と言われているのが2ケタの内と一般的に言われる事を知らない俺は首を傾げる。
しかし、職業が家事手伝いって……無職だよな?しかも配膳のスキルの高さ年季の入り方教えてくる。それと同時に料理はできなさそうとも分かり苦笑いする。
情報収集(女性限定)あれは、まず間違いなく井戸端会議だろ、と思う俺は出会う前のチャロンの生活が透けて見えるようであった。
「今度は、アルプか……坊主、お前のヒキが凄いのか、最悪なのか分からんのぉ……」
チャロンが必死にクリカに年の事を伏せる為にクリカの年も14歳と言うように説得するのを横目にカバンに「アルプ?」と聞いてみる。
「アルプというのは夢魔じゃ。お前が知ってそうな有名な魔物で言うならサキュバスだの」
驚愕に顔を歪める俺を見て、色々諦めたような声音で言ってくる。
「もう坊主はそっちのほうで欲求不満を味わう事はないじゃろうな」
「それで欲求不満になったら人を辞めてるからな?」
チャロンを振りきって、こちらにやってくるクリカを見つめて俺は呟く。
「もうクリカも何かおかしい加護とか持ってても驚かないぞ……」
「そう思ったほうがええじゃろうな?」
クリカは、独り言を言ってるように見える俺に構わず、手を取って引っ張る。
「ケンちゃん、私もぉ!」
待ちきれないとばかりにカバンを漁ろうとするが何も入ってない事に絶望の表情を見せるが俺が手を突っ込んで取り出すと何も疑問に思ってないような顔をして万歳する。
まったく疑問にも思わないクリカに違う不安に駆られるが金属板をセットすると躊躇なしに手を触れる。
クリカのカードはこんな感じである。
クリカ ♀
職業:格闘家 レベル13 ポイント0
称号:超人 知力がカンスト
呪いから解放された少女
スキル: 格闘技6
ユニークスキル: なし
インスタントスキル: なし
それを見た俺は額の汗を拭うようにしながら安堵の溜息を吐く。
「いやぁ~クリカは普通でよか……普通じゃないっ!」
「ワシも思わず、そう思ったが超人の時点で明らかにおかしい!」
他にも知力がカンストしているとか、突っ込みどころ満載であるが、色々疲れて動く気力もなくなり、このまま寝ようかと考えていると美砂達の話を聞いて飛び上がる。
「で、どうするのだ、私達のユニークスキルは?」
「そうですね、旦那様と同じで体力系でよろしいのでは?」
「ケンちゃんと一緒ぉ~」
「待て待て! 君らは違うのにして、マジでお願いっ!!」
懇願して土下座を敢行する俺に戸惑っているような困ったような表情を見せる3人は顔を見合わせる。
俺の横でそれを見ていたカバンは、声を殺して咽び泣いてくれてたのが唯一の救いだと心で泣いた。
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