10話
勢いだけで書き始めて10話まできたよ。ハーレムぽいっすか?
ポポロンのメインストリートでぎこちないカップルがいた。女の方は白髪、本人達曰く銀髪のショートボブのエルフの美少女で顔は幼さが強く滲むが体つきは立派なモノである。
スポーツブラの上にベストを羽織り、ミニスカートから短パンに切り替えた少女は、これでお尻をジロジロ見られないと息込んでいたが、余計にお尻の形が浮き彫りになり男共からすれば、「あざぁますっ!」である。
その隣を剣道着を着た普通顔の少年、可愛い顔と言われた事はあるが明らかに隣の子と歩いていると没個性である。
何を隠そう、そいつは剣太郎、俺だった。
俺とて、美砂という美少女を嫁に貰い、多少は女の子に免疫ができてきてるが、美砂と違った意味での美少女を隣に連れていて緊張してたりする。
連れている少女の名をクリカという。
クリカを一言で言い表すなら、ロリ巨乳の桃尻である。
美砂もロリ巨乳と言っても過言ではないが、クリカと並べて見ると綺麗系であると分かる。クリカの場合、内面の年齢が顔に出てると俺は思う。
何故、そんな俺達2人がメインストリートで一緒にいるかというと、昨日の夜の宿でチャロンに言われた事が原因だったりする。
チャロンにクリカを嫁に貰ってやってくれと言われた所から始まる。
「はぁ? いきなり何を言い出すんだ?」
「いきなりか……確かに間違ってないし、思い付きで言ったのだ。でも言ってみて分かったのだ。これしかないと」
チャロンはどうやら自信ありげだが、俺にはさっぱりで美砂は「確かに旦那様は懐が広い方ですが……」と考え込んで、俺だけ置いてけぼりかと思ってたらクリカも同じで当事者が置き去りにされるという事件が発生していた。
「どういう事だ?」
「ちょっと待って欲しいのだ。ミサ、確認させて欲しいのだ。ミサはハボン国の武家か商家の良い所の娘だったのではないのか?」
チャロンは俺に待ったをかけると美砂と話し始めた。
美砂はチャロンの言葉に頷いてみせる。
それを眺めていた俺はクリカの隣に腰を下ろして、2人のやり取りを見つめながら、分からない者同士の連帯感が生まれた気がした。
「はい、私は商家の娘だったで間違いありません」
その答えに満足そうに頷くチャロンは、「ケンタロウはセリに参加を?」と問いかけて頷く美砂。
確認は済んだようで、剣太郎を見つめるチャロンは、ない胸を張って言ってくる。
「待たせたのだ。やっぱりケンタロウが適任なのだ。クリカの失態を見ても態度を変えずに、今も普通に隣に腰をかけているのだ。そのうえ、セリに参加できるほどの甲斐性もあるとなれば、これ以上の好条件はないのだ」
チャロンは失態と言うが俺からすれば、それほど取り返しがつかない出来事ではない。住んでた世界が違うからか、俺には、それで嫁の貰い手を失うという事のほうが驚きである。
横をチラリと見ると可愛い顔をして、胸は美砂に匹敵しそうだが、お尻の大きさでは圧勝である。
こんな美少女を蹴る男がいるという信じられない事実に愕然する。
確かに、チャロンの言う通り俺は気にしない。ただ……甲斐性というのが……
「金を出したのはワシでお前の甲斐性じゃないのぅ」
少しイヤミぽく言ってくるカバンに唸る。
「まあ、落ち着くまでは口煩いと思ったから言わずにいたが、嫁を貰った以上は生活費ぐらいは稼いでやらんと嫁が無職の旦那という事を重しに思うかもしれんぞ?」
確かに美砂あたりだと「旦那様の為に」とか言って働きに出そうな気がする。
俺はカバンに、「この件が落ち着いたら頑張る」と伝えるとカバンが笑うように震えたのが分かった。
「それでどうだろう?」
チャロンが俺を窺うように縋ってくる姿は、その道の人からすれば、致死量レベルの出血モノである。
さすがの俺もちょっとヤバいと判断して、目を反らしながら答える。
「俺は、特に問題はないが、クリカの気持ちが重要だ。後、美砂はいいのか?」
チャロンの質問に答えた後、俺の隣にやってきて黙ってる美砂に問いかける。
美砂は静かに笑みを見せて頷く。
「旦那様が嫁としてちゃんと引き取るつもりがおありであれば、私から言う事は何もありません」
「そ、そうか、てっきりこういう事は許せない性質かと思ってたよ。クリカのお尻を見てた時に殺気を感じてたから」
美砂は、ウフフッと笑うが目が笑っていなかった。どうやら、反対はしないが嫉妬もしない訳じゃないらしい。
俺はそれを見なかった事にしてクリカを見る。
クリカは俺とチャロンを交互に見つめながら顔を赤くして困っていた。
「これは俺の気持ちより、クリカの気持ちのほうが重要なんだ。さっき説明した通り、クリカが受け付けない相手だと進行を止める事はできないんだから」
「そのぉ、私はぁ……ケンちゃんの事、嫌じゃないよぉ?」
両手の人差し指をツンツンとして、更に顔を赤くするクリカは目をグルグルさせながら言ってくる。
「そ、そうか?」
俺は、気のきいた事が言えずにそう返事をするのが精一杯であった。
そして、一晩経って俺達はお互いを知る為にデートをする為にここに来ていた。
あの後も、チャロンに問題解決したと喜ばれたり、美砂の笑みに恐怖を覚えたりなどあったが、俺とクリカは逆にぎごちなくなってしまい、たいした進展もなく朝を迎えてしまった。
俺もそれでは不味いと思い、朝食が済むと思いきってクリカを誘って出てきた訳だが、勢いでこれたのはここまでであった。
何故なら……
俺はデートなんてしたことなかった事を今の今まで忘れていた。
しかも勝手の分からない異世界、どこにいけば無難だとかまったく分からない。
立ち往生する俺にカバンが嘆息すると話しかけてくる。
「まったく、デートの1つもした事ないのかの? ワシの持ち主がこれだと泣けてくるわい」
「えっと、そう、剣道にストイックに打ち込んでてする間がなかったんだ」
必死にそう言うがカバンがそれが嘘と見抜いたようで、「坊主、嘘が下手じゃな」と言うと仕方なさそうに言ってくる。
「坊主のように良く知らないのならのぉ……」
カバンの言葉に耳を傾けようとした時、クリカの短い悲鳴が聞こえる。
慌ててそちらを見ると、むさ苦しそうな男達に囲まれていた。
「兄貴、この娘が壁に挟まってて触りたい放題だったんですぜ」
「乳臭そうな顔をしてるが良いモノ持ってるな。俺にも触らせろよ」
そう言うと嫌がるクリカの胸へと手を近づけていく。
それに気付いた俺はクリカの前に割り込み守る。
「何やってんだっ、女の子が嫌がる事を平気でやろうとしてただろっ!」
「なんだ? お前、邪魔だ」
そう言って拳を振り上げてくる男の拳をしゃがむ事で避ける。
男を見上げて、俺は叫ぶ。
「俺はクソ野郎には遠慮はしねぇ! 食らえ『夏の日の思い出』」
俺は地面に手を置き、男達の足元の土をカバンに仕舞い、男達の顔だけ出る高さに調整して落とすと同時に土も戻す。
男達は何が起こったか分からないようで、「なっ、なっ」と連呼して必死に抜けだそうとするがピクリともしない。
クリカも目の前の出来事に目を丸くして俺を見てくるが、クリカの相手は後回しにして、カバンから看板を取り出す。
何も書かれてない看板に俺は『この男達は嫌がる女性にわいせつ行為をしようとしました』と書いてやり、人目に触れるように通りに面するようにして置いてやる。
「ガキがっ、ここから出しやがれっ!」
「誰が出すか、バーカ」
そう言うと俺はクリカの手を取って走り出す。
「さあ、行こうぜっ」
「うんっ!」
俺の言葉に嬉しそうに頷くクリカに笑いかけ、自分がこの街の事を分かってないのに走り出した事に今更気付く。
「そういや、俺、この街の事知らずに走り出しちまった。クリカ、街を案内してくれないか?」
「ケンちゃん、そそっかしいのぉ。じゃあ、クリカが案内するのぉ。ここが北区になって……」
走る足を歩く速度に落とした俺達が楽しそうに話し出したのを聞いていたカバンが嘆息して言う。
「なんじゃ、坊主、ちゃんとデートできるじゃないか」
カバンの呟きは剣太郎には届かなかった事を少し不満そうであったが、楽しそうにする2人の声を聞いて楽しそうにカバンのフタが揺れた。
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