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できもの。

作者: 霧雲

 痛い!ため息をついた俺。

 さすりたいけど、口の中のできものだからばっちくなる。だから触れない。またため息をつく。

 ばっちくなるって。

 まるで小学生のような表現に嫌悪感を抱く。どうせすぐに忘れる感情だが、腹が立ってくる。

 普通そこは、衛生的に悪いとか、雑菌がつくとか言えないかなぁ。きっと頭のいい人なら内の声もよいことを言うのだろうな。

 俺は頭が悪い、賢くない奴だから、表の仕方もいわゆる感情的思考なのだろう。

 このことを二次思考とよんでいる。俺はね。

 これは、数Ⅰ、数Ⅱみたいなイメージ。

 高校生になってからレベルみたいなのが出てきておもしろい。

 口の中のできものをなるべく舌で触れないように意識している。

 痛い原因は、感触痛であることが多い。でもさ、怪我したところを隠すのは、動物の本能なので、左頬を寄せてしまう。自然と。

 今人には眉根を潜めながら、ひとりにらめっこをしている、青年に見えているはず。

 あっ、歯に挟まったものを舌で取ろうとしているようにもみえるかな?

 一応母にできものできてると言っている。

 だから、ブロッコリー買ってきてとも。ブロッコリーを食べると、治りが速い。

 なぜ、ブロッコリーを食べれば、治りが速いのかについては、医学的にはわからない。というか、ネットには書かれてないからまだ証明されてないに違いない。

 しかし、実際ブロッコリー食べてるときと、食べてないときだと、治る期間がちがう。きっとそういう成分が回復を促しているのだ。こういった独特の知恵は、大抵後々正式に証明されるはずである。  だが。うちの母は、いまいちそれがわかってないらしい。まぁ、ブロッコリーとできものの関係も証明されてないけどね。だから、菜の花食べろと言ってきた。俺は、呆れた。

 菜の花ではだめなのだ。あなたのいっていることは、ジムとイデオンを同じと言っているのと同じなのだ。どちらも富野作品だけどね。

 でも、ブロッコリーの不思議成分は、ぼくはまだ知らないし、言ってもきかない、どうせ忘れるだろうから、とりあえず、「ブラシーボ効果は、ものが違うと意味がない」と答えておいた。ブラシーボ効果とは簡単に言えば、自己暗示のことである。

 お母さんは、ブラシーボ効果について知ってるかどうかわからないけど、反論されても、科学的にこういうものがあると説明すればよい。

 結局、お母さんは、はいはいだったら、自分で買って来なさいと、洗濯物を干しに行ってしまった。

 最近、なんだか鈍くなってきている印象を持っている母。仕事で忙しいというのはわかるのだけど、ぼけないか心配だ。

 できものは、なかなか治らない。でもなくなると、なんだか虚しい気持ちになるのはなぜだろうか?

 これも科学的に証明されてるのかな?

 科学的に証明されているものというのは、ひとつの保証のようなものでつまりは安心に繋がる。でも、されていないものに対しては冷たい。しかたのないことだというのはわかるけど、科学というものが、世に浸透しだしてから人は手ぶらでいることを嫌うようになった気がする。というのは、自分を一つの商品価値として、モノとしてみているということだ。安心できるか信頼できるかをみるには、それについての、過去をみればよい。それが何からできているのか、何で構成され、どのような道のりをたどって来たのかを証明する。僕らで言えば、経歴。これが一番の保証、証明。嘘をついていても、やらせればわかるからね。それで、わかったら、思い切りぶん殴ればいいのサ。

まぁ中にはとてつもなく巧妙にだます輩もいるけど。でも結局その人もばれて社会的に抹殺されたよね。物、商品の場合だと、ラベルを見れば良い。何産なのか、何物質なのか、成分は何なのかって。

これが安全であると科学的に証明されていますよ。といわれれば、みんな安心してそれを手にするだろう?科学的という言葉は昔で言う、天国行きの切符みたいなものさ。だいぶちかいもの、準ずるものさ。そう。つまり本当なのかはわからないけど、でも不安だから手にしておこうというものなのだ。みんな安心して生きていきたいのだ。大昔、肉食動物に食べられないように、火を使い、身体を温めるよう、火を絶やさないように物をそばにおいていた頃とあんまりかわってないね。結局規模とベクトルが少し違うだけで、カテゴリは一緒なのよ。これは永遠になくなることのないエネルギ―、物質が出来ない限り、なくなることのない感情だろうね。むげんなんてこの宇宙には存在しない、太陽だって、いずれは寿命が尽きるものなのにね。天が降ってくると不安に思ってた人がいたらしいけれど、するだけむだなのよ。そんなの。だからできることを確実にやっていくべきだね。このできものはどうしようもないものだけど。


   



 


 

お母さんブラシ―ボ知ってた。やはり母は強いっということかしら

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