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30歳初夜

魔法使い。

それは彼女いない歴年齢かつおねぇさんとキャキャキャフフフとできる店にも行くこともできぬ男が齢を30と重ねた際に付けられるレッテルである。



ここで私の話をしよう。

私の名前は嶺井みねい なぎさ


昨夜20☓☓年☓月☓日で30歳を迎える正真正銘の純正『魔法使い』である。



別に顔が悪いという訳でもないが中学からの不摂生が祟ってニギビ跡が目立ち、デブと言う訳ではないが鍛えている訳でもなくほんのりと腹の周りには浮き輪ができている。


……やはりデブと言ってもいいかもしれん


最近では夏にビール、冬には日本酒を飲むせいで肝臓の心配をし始めている。


そんなどこにでもいそうな30歳になったばかりの、『魔法使い』になったばかりの男だ。


こういう私がいうのもなんだが別に『魔法使い』であることに恥ずかしさとか焦りを感じたことはなかった。


特段女という生き物に興味が無かったという訳でもない。


人並みにオ○ニーはするし、女友達だっている。


ただ恋愛というものに興味がなかっただけなのだ。


ドラマも映画も見ないから友人が話すアイドルや女性芸能人の話にはついていけなかったけどバラエティー番組は見ていたから話題には困らなかったし、別段女性と話す事自体は苦手なわけではないから日常生活で困ることはなかった。



だが30歳である。


社会人であるならば世間体とやらを気にしなくてはいけない年頃だ。


学生時代の友人たちはすっかり結婚し所帯をもって子供までいる。


誰だ、平均家今年齢30歳とか言った奴。


私が50歳で結婚してようやく私の周りの平均結婚年齢は30歳になるというのに……。


つまらぬ愚痴はともかく先日友人達との飲み会でその事を言及された。


「お前、いつ結婚すんの?」と。


この個人主義の現代において結婚しようがしまいが個人の勝手である筈だが社会人だとそうもいかない。

勤める企業によっては昇進に響く話なのだ。


そして残念ながら私の勤める会社は妻帯者の方が評価される傾向にある。


ちなみに私は至って普通の中小商社で働く営業マンである。


昇進に対しては興味が無い訳ではなくできることなら支店長くらいにはなりたいとも思ってる。


だから所帯を持つ持たないで昇進に響くのなら結婚したいとも考えている。


余談ではあるが実際に世の男にこういう考え持つものは決して少なくないことを女性の方は注意した方がいいだろう。


私が言えたことではないが……



さて長い自分語りはここまでにしよう。


とりあえず私に女性の興味は大してないにも関わらず結婚願望はあることは周知いただけたはずだ。


そして私の今直面している問題について出来るだけ端的にかつ明瞭に説明しよう。


私は『魔法使い』になった翌朝に本当の『魔法使い』になり、そして妻を娶ることとなったのだ。


いや、それ自体は喜ばしいことかもしれない。


問題なのはそれが―――全く世間体や昇進に関係のない別の世界での出来事なのだということだ。


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