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第四話 名探偵からの手紙 ~或いは謎の暗号文~ part1




 だらしない人間は決まって朝が弱いのだと私は決めつけていた。その考えをまさかあの女に覆されるとは、世界は広いものだ。


 浅野十嗣がその名前より三時間早く起床すると、エリはもう家にいなかった。家族に聞けば、もう学校へ行ったとの事らしい。


 結局放課後になっても、十嗣は彼女と顔を合わせることが無かった。


「今日は平和だったな」


 それは即ち、浅野十嗣と日下晶の怠惰で平凡な日常と同義だった。


「そうだな、昼飯にあの女がいないってだけであんなにも静かになるなんてな」


 彼らは笑う。

 弁当の中身を奪われる心配もなければ、食べ物にまつわる下品な話も聞かなくて済む。


「十嗣……」

「晶……」


 見つめ合い笑いあう二人。

 傍から見れば当然吐き気を催す程気味の悪い光景なのだが、実情を知っている私としては彼らの気持ちが痛いほど理解できる。


「あ、緑山先生」


 もっとも世の中には、吐瀉物の代わりに鼻血を撒き散らす風変わりな女性もいるのだが。きっと彼女には軍隊すら開発に成功していない特殊なセンサーが搭載されているのだろう。


「そうよね、これが正しい愛の形なのね……」


 代わりに失ったのは、正常な思考回路だろう。どこら辺が正しくてどの辺が愛なのか是非ご教授願いたいものだ。


「違います。あとプリントが大変なことになっています」


 いつもと違うのは、晶が狼狽していない所だろう。彼は割合まともな頭で教師の粗相を指摘した。すると彼女はワイシャツの袖で鼻を拭いた。みるみるうちに、彼女の衣服がホラー映画の小道具に変わってしまった。


「ごめんなさい日下くん、実は浅野くんに用があって……」

「どうして謝るんですか?」

「だ、だって二人の邪魔をしたら……」


 真顔で答える十嗣に、意味のわからない返答をする緑山女史。この学校は大丈夫なのか?


「構いません。用って何でしょうか」

「実はあなた宛に手紙が来てるの」

「手紙?」


 心当たりなど無いのだろう、十嗣は首を傾げた。


「ラブレターかこの野郎」


 話を曲解した晶が肘で十嗣を突付く。

 そのせいで緑川女史の胸元がさらに赤く染まってしまう。彼女の着ている服の色を尋ねられて、白だと答えられる人間はこれで居なくなってしまった。


「多分違うわ、差出人がどう見てもこの学校の生徒じゃないもの」

「何でそんな事がわかるんですか?」

「うちの学校、外国人なんて一人もいないから」


 十嗣の疑問に諭すよう答えてから、彼女はその手紙を彼に手渡した。白いはずの封筒には所々赤い斑点が付着しているが、当然それは鼻血だった。


「俺にも見せろよ」


 首を伸ばし、晶はその手紙を眺める。緑山女史が言うように、そこには日本語など書かれていない。走り書きの文字で、そこにはこうあった。


「差出人……エドワード・J・テイラー」


 ――またか。


 人の名を騙るのは大概にして欲しいものだ。


 十嗣は急いで封を開け、中身を確認した。しかしそれで彼の手は止まってしまう。筆記体で書かれた文字列が彼の目に止まった途端、手紙を封筒に戻した。読めないのだ。


「男だな」


 悪かったな。


「外国人の男性からラブレター!?」


 静かになったと思えばまたこうだ。何を想像しているのか知らないが、緑山女史は公園の噴水も裸足で逃げ出しそうな勢いで鼻血を撒き散らした。


「いや、さっき先生が違うって」


 十嗣の指摘など届かない。彼女の目は明後日を見つめ、その顔は麻薬中毒の浮浪者を思い出させた。


「いけないわ、あなたには日下くんという立派な恋び……友達がいるのに! ああでもスマートな白人に英語で責められる浅野くんも見てみた」


 そして彼女はその場に倒れた。それこそ麻薬中毒の浮浪者のように。私は信心深い人間ではないが、この時ばかりは心のなかで十字を切った。


「……どうする?」


 倒れた教師を見下ろして、晶は尋ねた。


「とりあえず保健室に連れて行くか」

「だな」


 意見を一致させた二人は、手分けして彼女の体を運んだ。十嗣は両手を、晶は両足を掴み保健室への道のりを進んで行く。だらしのない教師は戯言で耽美な台詞を口にしていたが、私はあえて聞かなかったことにした。その方が私の精神衛生が守られる気がしたからだ。




 真っ白なベットに緑山女史を寝かせた二人は、まだ保健室に居座っていた。十嗣は先程受け取った手紙を佐藤に見せ助言を仰いでいた。晶はどうやら暇らしく、そのままそこにいた。


「これは……新手の嫌がらせかい? 随分と手が込んでるね、本物の血だ」

「それは緑山先生の鼻血です」


 呆れた顔で佐藤は笑う。シャツを真っ赤に染めた緑山女史を見た時、彼は警察に電話をするべきかをまず十嗣に確認したが、経緯を聞いた途端彼は見るからにやる気の無い顔へと変貌したのだった。


「僕にどうしろと?」


 封筒の中から一枚の便箋を取り出し、彼は軽く目を通した。


「先生なら英語読めるかなって」

「まあ少しぐらいは」


 十嗣の学力を非難することなく、佐藤は得意げに鼻を鳴らし答えた。この様子だとドイツ語も読めるに違いない。彼の学術的な知識は私以上に豊富なのだろう、教師として素晴らしい事だ。


 しかし世の中は上手くいかない、彼が喉の調子を整え手紙を読もうとした途端、保健室のドアが開かれたのだった。


「先生、紅茶が飲みたいです」


 そこにいたのは、二代目ミス迷惑こと服部エリ。彼女の不躾な台詞は保健室にいる三人に溜息をもたらした。これも一種の才能かも知れないが、そんな才能は他人を不幸にするだけだと私は結論付けた。


「……君はまた絶妙なタイミングで現れるね」


 苦笑いを噛み殺して、佐藤が先陣を切って口を開く。その勇気を私は讃えたい。


「どうしたの? 変な顔して」


 自分に責任がある事など知りもしないのだろう。彼女は保健室を包む不穏な雰囲気など気にもとめず、言いたいことだけ言い放ち紅茶を淹れ始めた。もちろん、一人分。


「……服部は英語読めるか?」


 言いかけた言葉を一度仕舞い、十嗣はまともな会話を試みた。その判断に、私は涙を禁じ得なかった。


「この間のテスト、71点だったわ」


 誰か、その凄さを私に教えてくれ。


「まあいいや、お前も座れ」


 大きな溜息をついてから、十嗣は空いている丸椅子を指さした。


「英語の成績がどうしたの?」

「英語の手紙が来たんだよ」


 面倒くさそうに十嗣は説明する。面倒くさいなら追い出せば良かったのにと思ったが、彼女の事だどうせ紅茶を飲み干すまでここに居座るのだろう。


「誰から?」

「エドワード・J・テイラー」


 正確に言えば、私の名前を騙った誰かだ。


 さらに補足するなら、自転車を学校に届けたエドワード・J・テイラーとの関係性は不明瞭だ。

 結論を言えば、誰だかわからないのだ。


「自分で書いたの?」

「だったら日本語で書いてるよ」


 自分で自分に手紙を書く理由など私には見当もつかないがな。


「そろそろ読んでもいいかい?」


 咳払いと共に、痺れを切らした佐藤が催促する。


「どうぞどうぞ」


 それに文句をいう者など、この場には一人もいなかった。


「親愛なる、浅野十嗣殿。突然の手紙に君は驚いているかも知れないし、心の何処かでこんな日が来るのを待っていたかもしれない。まあ、私にはどちらでも構いはしないのだが」

「演技入ってません?」

「だって、僕もこの本好きだし」


 十嗣の冷静なコメントに、佐藤は口を尖らせて答えた。遊び心はいつだって必要だと私は思うが。


「私は君が私の良き理解者であることを知っている。だからこそ、こんな頼みごとは君しかいないのだ」


 ただ呼吸を整えたのか、それともわざとらしく演じているのか、佐藤は大きく息を吸い込み、また言葉を続けた。


「探して欲しいものがある。ただそれを直接教えても楽しくはないだろうから、ヒントをここに記そう。なに、ちょっとしたゲームみたいなものだ」


 それにしても佐藤は、流石というべきだろう。

 翻訳された言葉はそれなりに私のいつもの口調に似ているところがある。


「28113、10404、15609、11111、02316」


 ただこの手紙を書いた人間は、なかなか頂けない。

 私は別に知的好奇心の塊という訳ではないので、こういった謎解きを直接問いかけることはしない。他人の頭の悪さを暗に非難することはあるにせよだ。


「この数字、何の事だかわかる?」


 手紙に続きは無かったのだろう、佐藤は口調を戻し本来の受取人である十嗣に意見を求めた。


「さっぱり」


 何も思いつかないのだろう、十嗣は首を横に振る事しか出来なかった。ちなみに私もそんな数字に覚えは無い。


「もしかして宝くじの当選番号じゃない?」

「それはない」


 馬鹿丸出しのエリの言葉を、晶は冷静に否定した。なぜだろう今日は彼がまともな人間に見える。


「どうしようか? 多分悪戯だろうけど」


 手紙を十嗣に返してから、佐藤は早過ぎる結論を述べた。


「何で分かるんですか?」


 当然、いつも厳しい採点基準に苦しんでいる十嗣は聞き返す。すると佐藤は指を立て、その根拠を説明し始めた。私なりにこの手紙を推測する道具として、それはなかなか役に立ちそうなものだった。


「一つ、エドワード・J・テイラーは実在しない。だから架空の人物から手紙が届くなんて有り得ない」


 私はまず、私という例外を頭の中から除外する。理由は簡単、私は手紙など書けないからだ。


「二つ、仮に彼が存在していたとしても、浅野くんを知っている訳がない。タイムマシンがあれば話は別だけども」


 逆を考えれば、この理由は手紙の差出人を示す大きな手掛かりになると私は気が付いた。つまり、差出人は浅野十嗣を知っていて、なおかつその愛読書が『エドワード・J・テイラーの事件簿』だと知っている人間に限られる。


 但しここで気をつけなければならないのは、その対象を安易に十嗣の友人に絞ってはいけないという点だ。差出人は彼を知っているが、彼は差出人を知らない。例えば晶のストーカーのように。


「三つ、イタズラだと思うのはこれが決め手かな」


 ――その理由を私は気付けなかった。


 理由は単純、原文を読むことが出来なかったからだ。


「文法間違えてるよ、これ」


 保健室にいる三人の学生は、納得した顔で何度も頷いた。

 学生には気付けない、いい視点だ。


 文法の間違いから分かるのは、手紙をしたためた人間が英語に堪能ではないという事である。確率的な話をすれば、学生である可能性が高い。しかしもう一つの可能性が残っている事も忘れてはならない。


 そのミスが、偶然ではなく必然であるという可能性。自分を特定できる要素を隠蔽して、操作を撹乱する。もしそうなら、手紙を書いた人間は教養もあり知能指数も高い人間だと断定できる。


 皆何かを考えていたのか、保健室は珍しく沈黙に包まれていた。しかしそれもすぐに終わった。寝ていたはずの緑山女史が、とうとう意識を取り戻したのだ。


「緑山先生、気が付きました?」


 相変わらずの優しい顔で、佐藤は彼女に声をかける。


「あれ、私どうしたのかしら」

「もっと鉄分を摂った方が良いですよ」


 間抜けな彼女に、佐藤は根本的に何も解決しない方法を教えた。


「ええ、そうします……佐藤先生には敵いませんね」

「養護教諭としての仕事ですよ」

「いえ、そうじゃなくて」


 少しだけはにかんで彼女は首を横に降った。その仕草は女性らしく素晴らしい物だったのだが、いかんせんシャツが赤いので素直に感心できない所が悲しい。残念だ、非常に残念だ。


「まだ赴任してきて一年も経っていないのに、こんなに生徒から信頼されているんですもの」

「僕なんかまだまだですよ」

「生徒に運ばれた私への嫌味ですか? それ」


 教師同士の会話に、生徒が口を挟む余裕は無かった。ただその代わり、雰囲気を察した三人は小さな声で笑っていた。愛想笑いじゃないのかという質問については、受け付けない。


「そういえば服部さん、四時間目の授業の時には欠席だったと思うけれど……どうして学校に?」

「実はですね先生……六時間目が保健だったんですよ」


 緑山女史の問いに、エリは神妙な顔で答える。出席日数を考えて上手く欠席する彼女は、やはり狡猾な人間だった。




 幸いなことに登校の時間は別だったが、いつだって幸運は二度も続かない。


 悲しいことに、下校の時間は同じだった。そして不幸は続いてゆく。食事の時間は同じ、神の情けか風呂の時間だけはなんとか30分違い。同じ学校に通う同じ年齢の同居人と生活の時間が重なってしまうのは当然ではあるが、それが浅野十嗣にとって耐え難い不幸である事に違いは無いだろう。


 私が数えただけで、彼は放課後から今までため息を通算25回ついていた。


「……なんで俺の部屋にいるの?」


 我が物顔でベットで寝転ぶエリに、十嗣は尋ねた。


「中ボス倒せなくてイライラしてるから」


 今、26回目のため息が彼の口から漏れた。彼は読みかけの推理小説を本棚へ戻し、鞄から血のついた手紙を取り出した。


「……服部は、これがイタズラだと思うか?」

「逆にそれがイタズラ以外の何だって言うのよ」

「誰が? 何の為に?」


 実際の所、私は彼に手紙が出された理由を考えるのは後回しにしようと決め込んでいた。不確定要素があまりに多すぎるので、差出人の方が早く見つけられるだろうと確信しているからだ。


「……浅野くんってさ、結構格好いいよね。優しいところもあるし」


 品定めをするような目で、エリは十嗣の顔を見つめた。照れたのか、彼は顔を背けつまらなさそうな顔をした。


「何だよ急に」

「昔から女の子にはモテたんじゃない? ラブレター貰った事だって」

「何回かあるけど、そんな知らない人に好きって言われたって」


 ちなみに私は両手両足で数えられないほど求婚されたが、勿論全て断った。どんな女性も私の身を案じてくれるのだが、同時に探偵という仕事を辞めてもっと立派で地位のある職に就いて欲しいと懇願してくるのだ。


 例えば私がどこかの会社の社長になればそこは瞬く間に世界一の企業になるだろうが、私はこの仕事を気に入っているので辞めるわけにはいかない。


 ――全くご婦人をすぐ虜にしてしまうのは私の唯一の欠点だ。


「知ってる人なら誰でもいいの?」

「そうだなあ、可愛くて……優しくて、あとは気が利いて」


 普通だ。

 ただ十嗣よ覚えておくといい、世の中には男性が思い描く普通の女性など世界をひっくり返さなければ見つからないという事を。


「もしかして私の事?」


 唇に指を当て、エリは笑えない冗談を口にした。人間偏差値が40を切っている人間が何を言っているんだ。


「……あと、パチンコをやらない人」


 ついでに十嗣よ、迷惑を振りまかない人間という条件を加えておいてくれ。他ならぬ君自身の為に。


「そういう人って何て言うか知ってる? 一般的な意味じゃなくて、君にとっての意味で」

「運命の人」


 そんな奴いるか。


「夢見すぎ」

「理想の女性?」


 そんな奴もいないな、現実を見ろ。


「もうちょっと砕けた感じで」

「……興味のある人」

「正解」


 ようやく及第点を与えられそうな十嗣の回答に対して、エリは口元を緩めそんな事を言った。


「何が?」

「浅野くんの性癖として、身長が140センチが良いとか、髪の毛は黒髪ポニーテールが良いとか、ランドセル背負ってないと興奮できないとか、そういうのは置いといて」


 ひどい条件だ、当てはまるのはせいぜい子供しか……もしかして子供がいいのか? 理解できん、尻の青い子供に欲情するなど倫理的な問題はさておき生理的には不可能だ。可能な人間がいるのか? 


 世界は広いのだな……。


「そんな事、誰も言ってないけどな」

「要するに、浅野くんが女の子に少しでも興味を持つ事が重要なのよ」

「それが?」

「その謎の暗号を解読したとして、女の子の名前が出てきたらどうする? 君は何かヒントがあると思って当然話を聞きに行くでしょ?」


 エリはどうやら、差出人は年頃の女学生だと思っているらしい。確かに受取人が十嗣である事を考えると妥当かもしれない。今の時代、手紙なんてものは年賀状かラブレターか閉店セールのお知らせしか無いのだから。


「そうだな」

「その時点で女の子の勝ち。ラブレターを読んで君が来たんだもの……ね?」

「なるほど」


 彼女の理論はそれなりに筋の通っている物だった。私の名を騙り十嗣の気を引く。佐藤の考えと照らし合わせても矛盾はない。


 文法の間違いも、女学生なら仕方のないことだと割り切れるからだ。


「というわけで、私は佐藤先生のイタズラ説を支持します。ラブレターをイタズラって言っていいのかは別問題だけど」


 一理あるが、結論ではない。それが彼女の理論に対する私の評価だった。


「……逆を言えばさ」

「うん」

「暗号を解読して女の子の名前が出なかったら、ラブレターじゃないって事だよな?」


 彼女の理論を破綻される手っ取り早い方法。それは差出人がそもそも女性ではないと証明することだった。


「そうかもね。愉快犯っていうのは置いといて」


 ついでに同性愛者も置いておこう。


「俺は探してみるよ、折角名探偵に指名されたんだ」

「もしかして、本気でエドワードがいると思っているの?」

「思ってないさ……でも誰かが本気で何かを探しているなら、俺は喜んで手伝うよ」


 彼は笑顔でそんな事を言う。きっと彼は馬鹿なのだろう、出来るかどうか解らないことを、そんな顔で言うのだから。


 ただ私に無いその正直さだけは、これからも持ち続けて欲しかった。


「なるほど、これはモテるわ」

「何か言った?」

「なんでもありませーん」


 両手を広げ、間延びした声で彼女は誤魔化す。


「というわけで服部、手伝ってくれ。俺一人じゃ解読できそうにないんだ」

「私ちょっと世界救わないといけないから……」


 寝転がりながら、彼女は訳の分からない事を言い出した。何の事だか私にはさっぱり分からないが、それが碌でも無い事だとは何となく理解できた。


「二万円」

「そんな事もあったわね」


 忘れるほど昔のことじゃないはずだ、とぼけるのも大概にしろ。


「手伝ってくれたら、半額に負けてやるよ」

「……まずは、あの暗号を解読しましょう」


 ベットから起き上がり、彼女は目を輝かせて言った。



 まったく、わかりやすい女だ。

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