第15話『悲しみの染み』
では、後半戦。
今回はキリがいいので此処まで。続きはまた二日後。
その間に続き書かなくては…勉強しないといけないのに…
第15話…
もしも登校する時に、右ではなく左に曲がって、
女の子にぶつかったら……
~始まります
第15話『悲しみの染み』
………………………………………………………………
突如現れた男!!!
スリッパの男!!!!
スリッパパ!!!!!!
彼は何者なのか?!
ナイトメールの使者なのか?!!
味方なのか?!!敵なのか?!!!!
その答えは決闘の中にある!!!
ダダーンン!!!!!
今、決闘が始まる!!!!
「…さあ…準備はできたか…?魁斗君!!」
脇毛が丸見えなポーズを取る、スリッパの男…。
即ち、筋肉質な両腕を首の後ろで組んでいるのである。
(……………………………何だ…コイツ…)
魁斗は思った…
だが、これは別にスリッパパの見た目や容姿の感想だけではない…
魁斗は雰囲気を…空気を感じたのだ…
何時もの雰囲気ではないと!!
何時の間にかに慣れてしまった、あの強烈な殺意を感じないのだ!!!
(…本当にコイツはナイトメールか?…悪意と言う悪意が感じねぇ…
けどな…)
チラッ…
魁斗は後ろを振り向く…
そこには…自分が守りべき少女…アスカが…
(……例えコイツがナイトメールの刺客じゃなくても…俺やアスカの前に立ち塞がるなら…
悪いが容赦はできねええぇぇ!!!)
「先手必勝!!
物質硬化!!!!!!
硬化・玉砕弾!!!!!!!!」
何者かは解らないが、勝負を挑まれた以上!!!
負ける訳にはいかないのだあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
魁斗は胸ポケットからシャーペンを取り出し投げつける!!!!
鋭い!!
先は、鋭いぃぃぃぃぃぃぃぞおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!
「そう鋭い!!君は鋭い男だ!!!!
だが、しかああああああああぁぁぁぁぁし、」
スリッパパは避ける気配すら感じない!!!
何故?!!
それは避ける必要が無いからだ!!!!!!
スリッパパは、腰の巻いているスリッパパを一つ掴み……それを投げつける!!!!!!
ギーーーーーーーーン!!!!!!
ぶつかる!!シャーペンとスリッパ!!!!!!
だが、シャーペンは世界一硬いシャーペン!!!!
柔らかいスリッパを貫くことは意図も簡単であるぅぅぅ!!!!!!!!
「しかし?しかし何だよ?!スリッパの男!!!!!!!!」
「“君は若い”!!!!!」
ズズーンン!!!
何と?!スリッパがシャーペンを跳ね返したぁああ?!!!!
「な、なにぃ?!!」
どうなっている?!!!
グサッ!!!
投げた筈のシャーペンが、スリッパで跳ね返され、
自分の太腿を貫いている!!!!
「ちょ、か、魁斗!!」
魁斗の身を案じるアスカ!!
「グ……大丈夫だ…こんぐらいは…けど今のは?…
『スリッパでものを跳ね返す能力』か…?」
恐るべきスリッパパの能力!!!!!!!
「若い!!若いぞ!!!魁斗君!!!
その若さは常識外れへと君を導く!!!!」
「くっ、なら!!!!物質硬化!!!!!!
硬化・地獄・拳!!!!!!!!」
魁斗は太腿に刺さったシャーペンを引き抜き、右手に手袋を嵌める!!!!
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!!!!!!!!
硬化した手袋!!!
魁斗はそのままスリッパパを目掛け走り出す!!!
正に疾走!!!!
「若さはそうやって君に勇気をくれる!!!
若さは勇気の象徴!!!!勇気は若さの象徴!!!!!
しかあああああああああぁぁぁぁぁぁし!!!!!!!!!!」
スリッパパは、スリッパを一つ掴み…
「君の行いは“本当に勇気なのか”?!!!!!!」
投げつける!!!!!魁斗にぃぃ!!!!
ギーーーーーーン!!!!!
スリッパにぶち当たった魁斗は…
スリッパパの能力で…
大きく後方に吹き飛ばされる!!!!!!
「うわっ?!!」
「危ない魁斗!!!」
ドス!!
「ア、アスカ?!」
吹き飛ばされる魁斗!!
だが何かに受け止められる!!!
アスカだ!!
アスカが受け止めてくれた!!!!!
しかし、身体は魁斗の方が大きいので、共に吹き飛ばされ後方に倒れた!!!!
「ウグっ…だ、大丈夫?…魁斗…?」
「それは俺の台詞だ!!俺はお前を盾にさせる為にフラグを立てていたんじゃねぇーんだぞぉ!!!」
だが、彼女の行いでダメージを減らせたのも事実!!
悔しい現実だ!!!
「“無謀”と“勇気”は紙一重!!!
君の行いは本当に勇気なのか?!!!!!!」
問い続けられる問い…
その答えを出すことが出来ない魁斗…
今、魁斗は!!!
アスカを傷つけられた事と守るどころか、守られてしまった自分に怒りを感じているからだ!!!
「お前!!!ふざけるなぁ!!!
“無謀”?“勇気”?
そんな概念に囚われる若さ(常識)を俺は破壊する!!!」
怒り、若き怒りに燃える早乙女 魁斗!!!!!
そんな魁斗に…スリッパパはひたすら問い続ける…
「常識を壊すと言ったな…?
魁斗君…ならば、君の言う“常識”とは何だ?!!!」
「っ?!!」
「君は常識は壊す…常識を外れると言っているが…
本当は…恐怖して…否定しているだけではないのか?」
魁斗が恐怖するもの…それは…
「“自分自身の過ち”を…」
「ち、違う!!!!!!俺の…俺の常識は、そんな常識じゃ!!!!!!!」
魁斗は青ざめる…
らしくない魁斗だ…
このらしくなささが魁斗の冷静さを失わせる…
「ぶ、物質硬化あああぁぁぁぁぁ!!!!!!
千本・硬化・玉砕弾!!!!!!!!!!」
冷静さを失った魁斗…魁斗は判断力を鈍らせ…迂闊な行動へと取らせてしまう…
魁斗はありったけのペンをスリッパパに投げつけた…
己の過ちを否定するかのように…
「…苦しいか?心が痛いか?否定したいか?!過去を、過ちを!!」
スリッパパは…一歩たりとも動くことなく…スリッパを投げつける…
無数のペンに向かって…
ギーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!
スリッパにぶつかり合うペンたちは…全て跳ね返された!!!!!!!!!
グズッンン!!!!!!!!!!
「ウグ、ウガア…!!!!」
魁斗の全身に無数のペンが突き刺さる…
「か、魁斗…なんで避けないのよ!!!!」
魁斗は避けなかった…
確かに…自分で投げてしまった無数のペンを全て避けるのは難しい…
だが、少しは避けれた筈…避ければ…もう少しダメージを減らせた筈だ…
「…い…嫌なんだよ…」
魁斗はアスカに振り向くことなく呟く…
「自分の…せいなのに…俺のせいなのに…
誰かが代わりに傷つくなんて…もう…嫌なんだよ…」
“代償”…
それは受け継がれた思いでもあり…突き刺さる呪いでもある…
「魁斗…」
自分では肯定していた…代償の分…両親の分を生きないとと…
だがそれは自分自身を誤魔かす嘘…
罪の意識から逃れるための自分の為の嘘なのである…
結局…それが過去(常識)から逃れる方法だったのだ…
「なあ…魁斗君。
君は…否定することが常識を外れると思ってないか?」
「……?」
「それこそ“常識”だ、魁斗君。
嫌な過去…過ちは誰だって否定したい…思いだしくない…消えてしまえばいいと思う!!!!!!
そんなこと誰だって出来る!!!!!!!!!!誰もがそうする!!!!!!!!」
スリッパパは一つスリッパを掴み…
「本当に難しい事は!!!!本当の勇気はぁぁぁぁぁ!!!!!!
本当の常識外れはぁぁぁぁ!!!!!!!
“過去を受け入れる”ことじゃないかあああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
投げつける!!!!!
「過去を、過ち、己を“受け止めろ”!!!!!!!!!!!!!!!
早乙女 魁斗!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
魁斗の頭の中は困惑していた…
“過去”“勇気”“過ち”“常識”…
それらが頭の中を駆け巡る…
だが、魁斗は解った…自分に伝えたい何かが…
何だか解らない何かが…
(…過去を…過ちを…己を…受け止める?)
「…こうか…こうなのか?」
魁斗を狙うスリッパ…
真っ直ぐ…魁斗を狙う…
「か、魁斗!!避けなさい!!!!!!!」
アスカが避けろ叫ぶが…魁斗は…魁斗は…
ただ…
スリッパをキャッチした……
「えっ…?何で?…何で何も起きないの?」
魁斗は微動だもしない…
硬化したペンを吹き飛ばす程のスリッパが何故?
「…これが…答えなのか…スリッパの男?」
「…そうだ…それが答えだ」
説明しよう…
スリッパパの能力は、
『スリッパでものを跳ね返す能力』…
『跳ね返す』…ぶつかってきたものを勢いよくもとの方向へともどす…
即ち、
スリッパで跳ね返せるのはぶつかってきたもののみ…
魁斗は受け止めたのだ…スリッパを…
「君の勝ちだ…魁斗君」
………………………………………………………………………
「で…結局、アイツは何者だったのよ…」
傷の手当てをしているアスカと…
手当てされる魁斗…
「さあな…けど、ナイトメールの刺客だけは無いな…」
スリッパパは魁斗たちに自分の能力を託し…どこかへと…消えてしまった…
不思議な男だ…
「……………………………」
魁斗は考えらせられた…
自分の心の弱さ…
過去の過ち…
常識について…
どうも魁斗は…スリッパパが別れる前に残した言葉が頭から離れなかった…
『若さは…否定することだ…
それは必然だ…
しかしそれでは…否定しても否定できないものに心を折られてしまう…
時には、
素直に受け止め…向きあうことも大切なんだ…
“今”は否定したいものは否定しろ…
そして過ぎてしまった“過去”は…静かに受け止めろ…
早乙女 魁斗…』
ヒュュルルルルルルゥゥゥ~~…………………
それは…夕焼けを知らす…風の音
第15話…完
次回、第16話『努見る夢』