表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名前も知らない君に僕は恋をした  作者: 桐生桜嘉
君と過ごした日々 
9/13

君が──…… ~4月1日~

 『 翼くん!!

   娘が……倒れた───!!』


4月1日。


 その日の始まりは、君の親父さんの声だった。



『桜ノ宮公園の近くの病院にいる!

  えーと…名前は……』


『──わかりましたっ!

  すぐ行きますっ!!』


僕は急いで着替え、家を飛び出した。


桜ノ宮公園の近くの病院は一つしかない。


──『国桜こくおう病院』──


病院につき、君の姿を探す。


その時、『手術中』の文字が書かれた部屋に、

担架に乗せられ運ばれる君の姿があった。

そしてそのそばを離れまいと走る親父さんらしき人の姿もある。


君が部屋の中に入り、『手術中』の文字が赤く光り出す。


君の親父さんは、そばの椅子に力なく座り込みうつむいた。


「──親父さん…ですよね…?」


そう話しかけると、

親父さんらしき人は静かに僕を見上げ、


「翼くんだね…?座りなさい。」


そう静かに言った。


僕は言われたとおりに椅子に座る。



……──しばらくの間、沈黙が続く。


その沈黙はあまりにも重く、そしてつらいものだった。



「──あの…教えていただくことは…

 どうしても…できませんか…?

 彼女の名前…彼女のことを……。」



重さやつらさを残し、ただ沈黙を破っただけの僕の言葉は、

僕にとって心の叫びでもあった。


「こんな状態であっても

 名前を呼ぶことができないのは、

 つらいです……。」


「そう…だよなぁ……。」


親父さんは、『手術中』の文字が光る部屋の扉を──いや…

その奥にいる、君を見たんだと思う。



「──話すぞ…。」



そうつぶやくと再びうつむき、

少しずつ…ゆっくりと話してくれた。



   君のことを───……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ