君が──…… ~4月1日~
『 翼くん!!
娘が……倒れた───!!』
4月1日。
その日の始まりは、君の親父さんの声だった。
『桜ノ宮公園の近くの病院にいる!
えーと…名前は……』
『──わかりましたっ!
すぐ行きますっ!!』
僕は急いで着替え、家を飛び出した。
桜ノ宮公園の近くの病院は一つしかない。
──『国桜病院』──
病院につき、君の姿を探す。
その時、『手術中』の文字が書かれた部屋に、
担架に乗せられ運ばれる君の姿があった。
そしてそのそばを離れまいと走る親父さんらしき人の姿もある。
君が部屋の中に入り、『手術中』の文字が赤く光り出す。
君の親父さんは、そばの椅子に力なく座り込みうつむいた。
「──親父さん…ですよね…?」
そう話しかけると、
親父さんらしき人は静かに僕を見上げ、
「翼くんだね…?座りなさい。」
そう静かに言った。
僕は言われたとおりに椅子に座る。
……──しばらくの間、沈黙が続く。
その沈黙はあまりにも重く、そしてつらいものだった。
「──あの…教えていただくことは…
どうしても…できませんか…?
彼女の名前…彼女のことを……。」
重さやつらさを残し、ただ沈黙を破っただけの僕の言葉は、
僕にとって心の叫びでもあった。
「こんな状態であっても
名前を呼ぶことができないのは、
つらいです……。」
「そう…だよなぁ……。」
親父さんは、『手術中』の文字が光る部屋の扉を──いや…
その奥にいる、君を見たんだと思う。
「──話すぞ…。」
そうつぶやくと再びうつむき、
少しずつ…ゆっくりと話してくれた。
君のことを───……




