君への感情 ~3月26日~
次の日も同じ時間に、同じ場所に君がいた。
君は昨日と同じように、星空を見上げて涙を流していた。
僕は再び、君の隣のブランコに腰かけ、そして話しかけた。
「…名前、なんていうの…?」
でも君は、星を見つめたままたった一言──
「──教えられない…。」
と言った。
その声はあまりにも小さくて、悲しそうだった。
「そっか…。──僕の名前は佐藤 翼。」
そう言うと君は僕を見て、つぶやくように僕の名前を繰り返す。
「──つばさ…?」
「そう、翼。」
「翼…。──いい…名前だね…。」
「ありがとう。僕のことは『翼』って呼んでいいから。」
そう言うと、君は静かに頷いた。
……──しばらくの間、沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは、君だった。
「私、帰るね。」
そう言って、君は夜の闇の中に消えてしまった。
──また…明日も会えるよね…?──
僕は心の中で、君にそう問いかけた。
その時僕は、君と一緒にいたい。
もっとたくさん話したい。
……そう思った。
……そして、気づいたんだ。
──僕は君が好きだ、ってことに──……
これが───
───この恋が……僕にとって、
最初で最後の恋だ───………