首無しの月と囮作戦
さて、美味しくカレーを食べた所で、再び運営管理部に戻り、ログイン。ん、メニューが点滅していますね。
アリアーティ探偵が情報を入手したので来てほしいとメールがきていました。早速、転移水晶を使って移動します。
急に私が現れたので、慌てたようです。
アリアーティ「うぉ!?…転移水晶か。そんな高いものをぽんぽん使えるプレイヤーだったのか。報酬を貰うべきだったか。」
まあ、私は無尽蔵に使えますがプレイヤーの方からみたら高級アイテムを惜し気もなく使っているようにみえるんでしょう。
GM「そんな事はないさ。それより情報は手に入ったんですか?」
アリアーティ「デュラハ・ムーンは派手に暴れていたようだからな。目撃情報、それに使用スキルも判ったぜ。」
おお!なんと頼りになる探偵でしょう。賄賂を払わないと動いてくれない企画開発部とは比べものになりません。
情報をまとめていきますと、
①デュラハ・ムーンは深夜0時に出没する。
…ゑ?私、仕事は夕方で終わりなのですが…。
あくまで会社員ですから。
今日は残業ですね。はぁ。
②デュラハ・ムーンの外見は大柄な首無し騎士である。
なんだか魔物っぽいですが、ゲームマスターの私が知らない魔物などいる筈もなく。なんのつもりでしょうか?
③使用スキルは突進、振り下ろし、プチサンダー、高速軌道をメインで利用している様子。
最後ちょっと待て。高速軌道ですと?高速軌道は魔法使い用のスキルじゃないですか。GMの私じゃあるまいし、別職のスキルを使うなんてなんという違法チートでしょう!
ひとまず、相手の出現時間と戦力が判ったのは大きいです。
ふふふ、目にもの見せてあげますよ。残業させられる分はキッチリと。
GM「助かった。また何かあったら頼みます。」
アリアーティ「今度はちゃんと報酬を貰うけどな。」
アリアーティ探偵に別れを告げ、いざオウカの街へ。
とりあえず夜まで待ちますか。
VRマシンをスリープモードにして、私も仮眠しちゃいましょう。
………
……
…
ハッ?!ついうっかり本当に寝てしまいました。
時間を見れば11時40分。丁度なタイミングで起きれたようですね。
外は真っ暗。行き交う車も殆どないような時間に再度ログインします。
オウカ世界にも夜の概念が有り、現実世界と同期しています。まあ、日本時間ですから世界からログインすると時差が有るので大変なんですけどね。
簡単な作戦はこうです。
→私が0時にうろういて囮になる。そしてPvPで倒す。以上。
今が真夜中だからか、はたまたデュラハ・ムーンの噂が広がっているからか、他のプレイヤーの方とすれ違う事すらありませんね。
そして午前0時の鐘がなると同時に、私の前に大柄な首無し騎士が現れました。