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銀河舞踏会 ガンマ・ジュリエット  作者: やまなし
第十二話 「輝け スターシステム : vs. SURUGA Mikado」
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chapter 4


   4


 羽衣の不安は、放課後には胸騒ぎに変わっていた。

 雲がどんよりと黒く思い。

 予報では雨が降らないことになっているが、それは外れそうである。

 目の前には二本の分かれ道。

 自宅へは左へ。

 ウェスカーの家には右へ。

 羽衣は――、

「ウェスカー……」羽衣はつま先を右へ向けた。

 親友の自宅へは、なんども足を運んだことがある。なんでも、中島基地に勤務する兄と二人暮らしと聞いている。ただ、その兄とは一度も顔を合わせたことはない。

 距離はそう遠くない。

 そうと決めれば、羽衣の行動は迷いなく早かった。はじめ駆け足だった羽衣は、気づけば短距離走のように走っていた。

 脳裏には親友の頼りない、子犬のような笑顔ばかりが浮かぶ。

 気弱で、自分からは話しかけられないウェスカー。

 困って眉を垂らしながら、それでも助けを求められないウェスカー。

 それでいながら、気を許した羽衣には遠慮無い。

 彼女の部屋には物が少なく生活感も感じられず、小物を増やすのが苦手だから、と笑っていた。本棚もないのに本は多くて、タワーになったハードカバーは、演劇関係がよく目に付いた。舞台を見るのが趣味だと言っていたが、いまだに一緒に見に行ったことがない。

 今度こそ、約束しよう。

 その約束が、二人を繋ぎ止める小指の糸になるはずだから。

 嫌な胸騒ぎを晴らすため、羽衣はとうとうウェスカーの部屋の扉の前にたどり着いた。

 久しぶりに全力で走って腹が痛い。

 彼女の家は、ふつうの家族用団地の一階にある。

 鼻から空気を吸って、深呼吸。

 ベルを押す。

 しかし、返事がない。

 しつこいくらいにベルを鳴らしても無駄だった。

 焦りだけが心に積もる。

 ここまできてなんの成果も得られず、大人しく帰る羽衣ではない。彼女は裏手に回る。

 駐車場に面する居間の窓から中が覗けるかもしれない、と思ったからだ。

 もはやおせっかいを通り越して、犯罪の一歩手前のような気もしたが構わない。

 何食わぬ顔で駐車場を通りつつ、ウェスカーの部屋の前でそっと視線を向けると、

「空き屋……」

 カーテンはかかっておらず、中が丸見え。その部屋の内部に、家具の一つも見えなかった。

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