chapter 5
Bパート
5
ジュリエットは通称・湖公園のベンチに座っていた。天気は晴天。風も暖かい。絶好のひなたぼっこ日和で、陰鬱な空気の基地内にいるよりかずっと気分がいい。せっかく外に出られるようになったのだから、なおのこと。だが、彼女の心は空の青さほど晴れてはいなかった。
制服のまま平日の公園にいると職質を受けそうな事案であるが、あらためて登校する気分ではまったくない。早朝の気分のよさが夢のような曇り具合である。
「みんな隠し事ばかり……」ジュリエットの独りごとに、いまはツッコミを入れる人物はいあわせていなかった。だから自分でツッコミをいれる。「ってぼくが言えたもんじゃないか」
ため息を吐いて、ベンチに横になる。すると、スカートの端が重さでずり落ちた。
不可解に思いジュリエットが触れてみると、スカートの中に硬い感触。
そのままごそごそとプリーツスカートをいじっていると、折り目に切れ込みを発見した。
「ポ、ポケットだ――」どうでもいいことに、ジュリエットは感銘を受けた。「知らなかった。スカートって、ポケットあったんだ。しゅごい……」
取り出してみると、プラスティック製の板で、黒いテープが巻いてある。これがずっとポケットに入っていたから、腿に触れてなんとなく不快感があったのだ。
しかし、いつからポケットに入っていたのだろうか。すくなくとも、朝着替えたときにはなかったはずだ。すると考えられるのは登校中。もしくは、基地に戻ってからか……。
「そういえば」
ジュリエットが今日一日の自分の行動を思い返していると、下駄箱で発見した謎の贈り物を思い出す。本革のショルダバッグからそれを手に取った。
丁寧にラップされる。
ビリビリに破いて中身を確認。
中にはこれまた謎の機械。手のひらサイズで、ボタンがいくつかついている。
「なんだろなー」ジュリエットは仰向けに寝転ぶ。空は雲一つ無い。
いつのまにかポケットに入っていた謎の板。
下駄箱に投函されていた謎の機械。
天宮羽衣について隠し事をする基地の人々――。
「なんだろなー……」もう一度、覇気の欠片もなく呟いた。せかっくの天気もきれいな湖も、赤毛の美少女すらも台無しなもったいない絵柄だった。




