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銀河舞踏会 ガンマ・ジュリエット  作者: やまなし
第八話 「銀盤の天使は煤まみれ : vs. Miranda」
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chapter 2

   2


「羽衣ちゃーん」舌足らずな少女の声はウェスカーである。

 始業まえの時間帯、彼女は羽衣の前に小さめのレジ袋を片手に駆け寄った。

「ウチさあ、ポテチーの新しい食べ方考えたんだけどぅ、聞きたい」

「このまえはなんだっけ。チョコ味の麩菓子をパンに挟んでチョココロネ、だっけ。ふざけんな」

「今回のは画期的なんだから。ポテチをね、細かく砕いてね、ごはんに掛けるの」

「それただのふりかけや」

 中学からの親友は、こういうちょっと抜けたところがあって、おせっかいな羽衣がウェスカーと仲良くなるのは自然な流れであった。

「でも悲しいよねぇ。どの駄菓子もね、年々ちっちゃくなっちゃうの。お菓子のインフレねえ」

「そうなん。あたしあんまり食べんからなぁ」

「ギョーザ棒なんか、ウチ、小学校の遠足のときかならず買ってたけど、こんなんちっちゃくなかったもん」

「そーか。割とはじめからそんななもんじゃね」

「これだから最近の若い子は」

 ウェスカーは目をバツ印にして訴えるが、興味ない羽衣はさらりと受け流す。

「あそう。ていうか、朝からお菓子ばっかり食べてたら、あいつみたいになるよ、ってわあッ。びっくりした。ジュリエット」

 赤毛の少女は、お菓子でいっぱいの口をもぐもぐしなら、にこっと笑う。

「おはよ」

「おはよじゃないわ。あんたずっと休んで、なにしてたのよ」

「なにって。まあ」視線を斜め上に考える仕草をしてから、「舞踏会」とやや疑問系。

「ふざけてんのか」

「ジュリエットちゃん。これ納豆と一緒に食べたらおいしいよ」

「ナットーてなぁに。それもお菓子」

「ううん。腐った豆」微笑むウェスカー。

「しゅごい……。モッタイナイ精神……」

 なんとなく、他人とズレた二人だが、彼女同士では絶妙にマッチしているのだ。通じているようで、たいてい通じてはいないのだが……。

「ところでジュリエット――」と声を掛けたところで、予鈴が鳴った。

「おっと着席しないとね」ジュリエットは慣れた仕草でウィンクして、自席へ行った。

 観月に目を向ける。目が合って、彼は慌ててよそを向く。

「あれは『俺に聞いてくれ』というフリなのか」羽衣は小さく呟いた。

 ――にしても、昨夜の夢に見たジュリエットの涙の姿が、現実の彼女でなくてよかったと安堵する羽衣だった。

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