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chapter 5
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勝ちきれなかった――。
玉のような汗を額から流し、エドマンドは剣を振るう手を休めると、そればかりが脳裏によぎった。
前回の舞踏会、エドマンドはR2状態で灰炎のジュリエットに挑んだ。終始エドマンドが優勢だったことにかわりないだろうが、勝負に勝ったと誇らしげに胸を張ることはとうていできない結果に終わった。
侮っていたのだろうか。
過信していたのだろうか。
いや、もはや問題はその程度の次元を超越している。
R2状態の戦闘能力は、すでに人類の範疇を逸脱しているのだ。それは、たとえばあらゆる装甲を砕く単純にして最強の質量攻撃を持ち、地形を選ばず二秒弱で時速百キロ加速で突進する、対戦車砲をも諸共しない陸戦兵器、と説明されればいかに驚異的かわかるだろう。
そのエドマンドR2が勝ちきれなかったジュリエットとは、つまり……、
「やつは七世界最強の陸戦兵器に匹敵する怪物か――ッ」
ピピッと着信音が頭に響いた。
エドマンドは通話のジェスチャで接続する。相手は主人たるケント伯の侍女からだった。
「エドマンド様。旦那様がお呼びです」




