手掛かりは・・・
プー太です。
最近は忙しくてリアルでも小説を書いていないため上手く書けるか心配です。
携帯をトランシーバーのように使い、朝弥からの連絡を受けた真実は汗を拭うと一息つく。
どことなく楽しそうに見えるのはきっと気のせいではない。
「平方たちが被害にあったとこの真上が屋上にあたるらしい。なにか証拠が残ってるかもしれないから屋上に向かおう」
「お、おう」
女子もそれを感づいたのかどこか怪訝そうな顔をしているのを横目に見て、移動を開始した。
「そういえばさ平方、こないだの服ちゃんと汚れ落ちたのか?」
「見ての通りよ。うっすら残ってるじゃないの」
苛立ちを隠しきれない言葉が返ってきた。漂白剤など様々なものを駆使したのだが完全には落ちなかったようだ。
犯人が分かったら首を締めながら弁償しろと言いそうな勢いがあるのも無理はない。この制服バカ高かったもんな……と母さんが半泣きになりながら買ってくれた姿が頭に浮かぶ。
「ストップ」
突然真実が立ち止まったせいで真後ろを付いて行っていた中元が真実の背中にぶつかった。
「いたた……」
「これってあれじゃないか」
ごめん、と小さく呟くと足元を指差す。床に点々と続くそれは。
「黒い液体」
俺と平方の声が重なる。
「前から分かってたのを言い忘れてたんだけど、これの正体は絵の具よ。小学校の体操服にも似たような染みがあったから間違いないわ」
「あー、なるほど」
顎に手を添えてうなり声を洩らす。
そのまましゃがみ込むと液体を人差し指ですくった。
「東山くんどうしたの、うなったりして」
「いや、ちょっと気になることがあって」
「それって今考えないとだめ?これがあるってことはさ、また誰かがやられてたりしねえの?」
なんとなく言った言葉で空気が凍った。
「俺はこっちに行く。由輝はそっちに行ってくれ」
「わかった!」
黒い液体は屋上へと続いているが、それを逆に辿ると出所が分かると睨んだ俺たちは黙ったまま頷く。
「行くぞ平方」
平方の手を引いて走り出す。
「ちょっと、速いってば」
黒い液体を辿っていくと水道にたどり着いた。流しを見てみると使い込まれてボロボロになった筆が一本転がっていた。
「離してよ」
「あ、悪い」
息を切らしながら平方が睨む。すかさず離すと一歩後ずさる。
「ご丁寧に剥がしてあるわ。名前があればこのまま殴りこみに行ってあげたのに」
流しから筆を摘みあげるとこちらに突き出した。
乾いた笑い声しか出ない。
平方を怒らせるのはやめとこう。何されるかわかったもんじゃない。
「けどまあ、一つ分かったわ。犯人は確実に美術部員ではないわ。筆をこんな扱いするわけないもの」
「ふーん」
どんな扱いだ、突っ込みたいが我慢だ。下手に刺激してとばっちりを食らうのは避けたい。
「これはわたしが預かるわ。だから事件が解決する時にはわたしも呼んでよね」
フフッと不気味な笑い声が静かな廊下に響く。
ああ真実さん、早く犯人を確保してください。
女の子の恨みは恐ろしいことを身をもって知った今日この頃。
俺は意地でも事件を解決してやると決心した。
あとは任せた!
とか言わせてください。
…投げやりでごめんなさい。
お次は緋絽さんお願いします。