茜はというと
夕です!
「なんで私と西川が残されたわけ?」
「いやー…僕に聞かないで?」
みんながばらばらの方向へ散っていって、その場所から動いていないのは、僕と吉野さんだけになった。
「私達も歩く?」
「い、いいけど…」
「もちろん買い物は全部西川のおごりでね」
「……はぁ」
吉野さんがちょっとムッとした顔になる。
「私とじゃ楽しくない?みんなについていけば…って思ってる?」
「そ…んなことない、けど…うん…」
何の話をすればいいのか分からないのです…とは言えず。
「じゃあ、行こう。まずは食べ物、んーたこ焼きにしましょ」
一方的に手を引っ張られて屋台の前まで連れていかれる。
「おじさん、2つ。西川、お金払ってよー」
「はいはい…」
買ったたこ焼きを持って人ごみを抜けた。
人ごみは苦手だからこっちのほうがありがたい。
「真実どうなってるかなー…」
「あぁ、舞と東山君ね」
ついもれてしまった言葉に吉野さんは意外な反応をしてしめす。
「え、知ってた?」
「そりゃわかるでしょ。2人共わかりやすいから」
「それは同感。あ、たこ焼き食べる?」
「飛鳥はばればれよね。南沢のことだけ名前で呼んでるし、いっつもくっついてるし。…10個入りだから、5個ずつね」
そうしてまた無言に戻ってしまった。
たこ焼きが全部なくなるまでが僕にとってどんだけ長かったか…。
吉野さんは気にしてないみたいだけど。
「ごちそうさまでした。っと、次はどこ行く?」
「僕は…どこでもいいけど…」
「それなら西川のお金が尽きるまで回ろうか」
「………」
急に吉野さんがはぁと溜め息をついた。
「なんでそんなに静かなのよ…男でしょ?もっとさわぎなさいよ、せっかくの祭りなんだから」
あきれた、とでも言うように肩をすくめてみせる。
「やっぱり私とじゃ嫌なんだ……」
今度は目に手をやる。
「ひどいよ…せっかく来たんだし、楽しみたかったのに…っ…」
「え、え!?」
泣いてる…ぼ、僕が悪いの!?
「も…、最悪…っ、私帰る…」
そう言って僕に背を向けて神社の石段を降りようとする。
「ーーーっ」
「え!?」
そんな吉野の腕をとっさに掴んだ僕。
「…ごめん、そういうつもりじゃなくて、ただ…」
「……」
しどろもどろな僕を見て吉野はまた溜め息を吐いた。
「しょーがない、今からでも私を楽しませてくれたら許す。まずは――」
涙はあっという間になくなっている。
「え、今まで泣いて…」
「忘れた?私は映研部の紅一点なの、嘘泣きなんていくらでもできるの」
「だましたな!?」
「そうそう、その勢いでいいの。輪投げとかどう?私結構うまいけど」
「受けて立つ‼僕も意外にうまいから」
そんなこんなで普通に話せるようになってるのも気付かず、2人で輪投げの屋台のほうへ歩いて行った。
「はい、お金よろしくー」
「あのね、吉野さんも出してくれないかな。僕だけは不公平だって」
「これで私に勝ったら考えてあげる」
「わかった。僕が勝ったら最後まで吉野さんが払うんだね、うんわかった」
「ちょっと、そんなこと言ってない!」
「よーい、スタート」
「こらぁっ!」
――結局輪投げ勝負はどちらも1回も成功せず、ひきわけ。
「「……」」
勝負は次の金魚すくいに持ち越しになった。
「私金魚すくいは上手いからね」
「さっきも言ってたよね、それ。ま、僕のほうが上手いからいいけど」
ぎゃーぎゃー言いながらいろんな屋台を回って、それでも結局は引き分け。
最後の最後まで僕が払うことになった。
「あー楽しかった」
「そりゃよかったです」
「西川も普通に話してくれるようになったし。ほんと…よかっ…っ…」
「あーはいはい、また嘘泣きってゆうか演技でしょ…」
「よくわかったわね、今のがんばったのに」
その時、祭りのクライマックスを告げる花火が始まった。
「きれー…」
吉野さんにつられて僕も空を見上げる。
され、他のみんなはどんなかんじでこの花火を見てるんでしょうかね。
「花火を見ながらもう1度輪投げってどう?」
「…こりないね」
僕はこんな感じです。