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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
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由輝サイド

プー太です!

「平方行くぞ」って平方の手を掴んで遠ざかる俺。

真実…オトコを見せるんだ!心の中で真実を応援しておく。

にしても俺、いいことした。うんうん。1人で頷いて、ハッとした。

皆バラけていい感じになってくれればいいんだけどなぁー。

「どこ行くのって言ってんの!」

ぐいっと強く手を引かれて振り返ればけっこうな勢いで平方が怒っていた。

「どこ行きたい?」

「なんで聞き返すかな、もう…」

「平方、アレ美味そう。行くぞ!」

「ちょっと!」

はしまきって書いてある屋台の前に立つ。

「うまそー」

はしまきはお好み焼きを箸に巻いたことを言うのか、ふむ。

「あんたねぇ、人の手を引いて走らないでよね。ただでさえも人が多いのに」

「おじさん2つ!」

「あいよー」

ブツブツ怒る平方はどうも扱いにくい。

アハハーと笑い飛ばしておく。

「お待たせ。500円ねー」

お金を渡して、はしまきを受け取ると1つを平方にあげた。

「あんたのでしょ!自分で持ちなさいよ」

「だって手ぇつないでるし、2つ持てねぇよ」

「なら離せばいいじゃない」

「離したら迷子になるだろ」

「は!?」

「どっか人の少ないところ行くぞ。立ち食いは無理そうだし」

未だに怒る平方を無理やり引っ張ってまた移動する。

これ以上怒られるのは勘弁してほしい。

――けどさ、

「なんでぶつかってくるのよ!」

「お前がぶつかってんだろ!他の奴とぶつかれよバカ」

「誰がバカよ!バカって言った方がバカなのよバーカ‼」

なんで角1つないのにこんなにぶつかるかな…。

くつ踏むし、ぶつかるし、はしまき落としそうになるし。

平方の隣を歩くのは骨が折れる。

「ここらへんでいっか」

「ったく…私は飛鳥達と回りたかったのになんであんたと2人きりにならなきゃなんないのよ…」

人気の少ないところに来て、適当な物に腰掛ける。

「俺ってそんなに嫌われてんの?ま、食べれば?はしまき」

「別に嫌ではないわ。ただ…久しぶりに皆で遊べて嬉しかったのにって思っただけ」

はしまきを1口食べる。

時間が経ったせいか、少し固くなっていた。

チラッと平方を盗み見れば申し訳なさそうにはしまきをかじっていた。

「…ごめんな」

「謝ってほしいわけじゃないわ。どうせこれから皆を探そうとも無理だもの。ねぇ、悪いと思うなら何か1つおごりなさいよ」

「はいはい」

そのつもりではしまきあげたんだけどなぁ…。

はぁ、と1つ溜め息を吐いたら平方のはしまきはすでに姿を消していた。

「レッツゴー‼」

「うおっ」

今度は平方に手を引かれて走り出す。そのせいで少ししか食べてないのに落としてしまった。

「これが欲しい!」

おめあての屋台の前で立ち止まって指差したのは悪趣味なお面。

例のあのキーホルダーを思い出すようなナンセンスな代物だ。

苦笑いしながら買ってやると、空気を震わす大きな音が響いてきた。

「花火だ。たーまやー」

――真実は上手くやれてんのかなぁ…。

ようやく機嫌を直した平方と一緒に空を見上げた。


次は緋絽さん!

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