弟妹達!
緋絽です!
「「どちら様ー!?」」
小1ぐらいの子供2人が声をそろえて走ってきた。
女の子と男の子。
「茜とその仲間達だよ。朝弥いる?」
「おぉ茜兄ちゃん‼また来たの!?」
「だって世の中暑いんだもん。しょうがないよね、俊」
「あーそりゃしょうがねぇなー」
俊と呼ばれた男の子が頭の後ろで指を組む。
「茜兄ちゃん、いらっしゃい‼」
「お邪魔するよ、純」
「うん‼」
純と呼ばれた女の子が可愛く笑った。
俺と由輝は口を開いた。アルファベットのOの形のままぽっかりと開けている。
弟妹がいるなんて聞いてない。
「俊、純‼兄ちゃん出るから部屋にいろっていつも言ってるだろ‼」
奥から朝弥が足音をたてて走ってきた。
「あれっなんで皆いんの?なんか約束してたか?」
「ううん、そこで会ったから、じゃ朝弥ん家行くかって。ね」
「そ、そう」
朝弥が汗を浮かべる。
なんか今、朝弥が常識人に見えるんだが。
「よぉ、朝弥」
朝弥に向かって由輝が手をあげて挨拶した。俺も手を挙げる。
「まぁ、いいけど。上がれよ」
「おじゃましまーす」
「「お、おじゃましまぁす」」
中に入ると白い壁にたくさんのポスターが貼ってあった。
『昆虫戦隊 カブトマン』
「あーーっ」
俺は思わず声を上げる。
由輝も同じように、俺の視線の先のものに気付いて声をあげた。
「何?」
茜が振り返る。
「すげぇ‼これまだやってんの!?」
「これ?」
茜が首を傾げた。
「「カブトマン‼」」
「超おもしろいよな‼」
俊が飛び込んできた。
「な‼」
「兄ちゃんも好きなの?」
キラキラした目で俊が聞いてきた。
「今は見てないんだけど、小っさい頃超ハマってた‼カブトレッドが一番好きだった‼」
「俺も俺も‼」
俊とハイタッチをする。
「「イェーイ」」
「え~俺カブトブラックだったな~」
由輝が唇を尖らせる。
「あ~ブラックも捨てがたいよな~」
「うんうん」
俊がパッと部屋に飛び込んで何か持ってきた。
「これ見て‼」
「おぉ、フィギュアじゃん‼」
「かっこいいだろ~」
「うん、すげぇ」
もうコンプリート近い。いいなぁ、俺も集めようかなー。
「こーら、俊。出したらしまっとけよ」
「わかってますよ~」
俊が口を尖らせる。
それから俺の手を掴んだ。
「兄ちゃん、外で遊ぼうぜ‼」
「お?おう」
ちらりと朝弥を見ると、仕方ねぇなぁというように溜め息をついた。
朝弥って、お兄ちゃんなんだなぁと思った。
次は夕さん!