訪問
プー太です!
「でっけー」
「門から違うね、世界が」
「レトロ!写真取り放題ぃぃいい!」
「帰りたい」
「さっそく行ってみるか!」
帰ろうとする茜に封筒を押しつけて管理人さんに挨拶して元気よく大学に足を踏み込んだ。
「すっげぇ…」
とにかく写真を撮りまくる朝弥を真実がひこずって、
今にも逃げだしそうな茜を俺がつかまえてズンズン歩く。
「高校より広いな、大学って。建物も多いし、でっかいし」
「迷うなよー?」
「真実、俺をなめるなよ?俺にはハイテクなケータイ様がついてるからな!」
「ハハッ そうだよな!」
「あっかねー、なんかすげぇ女がいる。芸能人がいんのか?」
「答えてほしかったら僕を家に帰らせて」
「え″ー」
「アイスおごってあげるからさ?」
「ゔっそれは…」
異様に多い女子大生をかきわけて管理人室にたどり着く。
「すいませーん」
「はいはい。あら、見ない顔ね。どうしたの?ウチの学生ではないみたいだけど」
やけにはだけたお姉さんが登場。
俺が話しにくそうにしていると代わりに真実が話してくれた。
「鎌田 梨沙教授にお届け物なんです。どちらにいらっしゃるか教えてくれませんか?」
「んー…鎌田教授?あぁ、その人なら3棟の美術室にいるわよ。地図をあげるから行ってくれる?」
「はい。ありがとうございました」
ばいばーい、と手を振って管理人さんの下から去った。
やけに親しいな、朝弥。
「今の現在地がここで…3棟はぁー…一番遠いじゃんか」
「ねーアイスおごってあげるから帰らない?帰ろうよ?」
まだぐずっている茜に流石に疑問を抱く。
「なんでそんなに帰りたがるんだよ。大学なんて滅多に来れないのに」
「それは…」
「もうすぐ依頼終われんだからいいじゃんか」
「でも可能性は…」
「暑いんだから早く行くよ。こら朝弥!一人でどっか行くな!」
3棟にたどり着いて校舎に入ると、あら涼しい。
一気に力が抜けた。
「真実ぉー美術室どこぉー」
「アハハ、ハハ…ごめん。俺にはわからない。ほら」
「「うお…」」
地図を見れば書いてあるのは準備室と講義を受ける教室と…大量の美術室。
ですよねーここは美大ですよねー的な?
「片っぱしからつぶしていくか?」
「オレ、由輝に賛成!」
「いや、ここは生徒さんに尋ねて連れて行ってもらおう」
「「その手があったか!」」
「いいよね、茜?茜…?」
「この足音…」
茜の顔をのぞいてみると真っ青。
「だから来たくなかったんだ」
「茜?」
声優のように綺麗な声が茜を呼ぶ。
俺達3人はいっせいに振り返る。
そこにいたのは俺が女装した時とよく似た女の人がいた。
「姉さん…」
次は緋絽さん!