祭りー!
緋絽です!
ドンドンと太鼓の音が鳴っている。
昇天寸前だった俺は祭りに近づくたび元気になった。
「真実‼」
「おぉ‼」
朝弥とガッツポーズを作る。
「「遊ぶぞー‼」」
「うわ、ヤル気すごい」
茜が俺達を見て体を引く。
由輝が苦笑した。
「去年は受験ちらついてあんま自由に遊べなかったんだってさ」
「自由?」
茜が首を傾げる。由輝が真面目な顔で頷いた。
「精神がな」
「ふ、ふぅん」
由輝の携帯のベースの形をしたピックのぶら下がったストラップがついていた。
「お、由輝つけたんだ」
俺の言葉に由輝が携帯のストラップに目をやる。あぁ、と声を出した。
「あ、これか。気に入ったから」
「え、何?真実があげたわけ?」
茜が喧騒のせいで声が聞こえづらいのか声を少し張り上げる。ついでに耳を片方ふさいでいる。
「そう」
「なんで?」
朝弥が早速買ったラムネを飲みながら言った。
「誕生日だったから」
「「え!?」」
朝弥と茜が声をそろえて目を丸くした。
「何それ‼聞いてないよ‼」
「言ってないし」
「言いなよ‼」
「なんで!?物ねだってるみたいじゃん‼」
「オレ1月17日‼」
「聞いてない‼」
ヒデーと朝弥が叫ぶ。
「もー。何日だったの?」
茜が頭を掻きながら言った。
「5月の28日」
「けっ、結構前だね」
「あ、真実もうすぐじゃん?来月だよな?俺の記憶が確かなら」
「そー来月だから8月14日~」
「ほんとにもうすぐだ」
「茜は?」
「3月1日」
「それはかなり先だな」
「うん。プレゼントよろしく」
「言っちゃう!?言っちゃうんだ!?」
そうこうしてる間に綿あめ食べてお面買って、水の入ったヨーヨーを買って朝弥の背にぶつけて「あぁぁ手が滑ったー‼」と叫んだりした。
その後朝弥に追いかけられ、近くの河原に逃げ込んだ。
「そういやこの時期に祭りって珍しいよな」
「そうだな。いつもは盆の時期だよな」
「お盆にもやるみたいだけど。これはホタル祭り」
「へぇ」
すっかり暗くなっていた暗闇に何か光った。
「さすが、祭りの名の通り」
茜が満足気に光を仰ぐ。
「蛍…」
「すげー。超いるじゃん」
「な。今年は大量に生まれたらしいぜ」
由輝が蛍を捕まえて手の中に囲った。
「…蛍ってさ…今日で死ぬんだって」
「そうなの!?」
「そうなの。…不思議だよね。最後まで、燃えるみたいに」
パチリと音がしてそっちを見ると朝弥が写真を撮っていた。
由輝がその隣に並ぶ。
それからしばらく、4人で蛍を見ていた。
なんか最後らへん珍しいノリに…(^_^;)
次は夕さん!