2人組だったの!? しかも相手男かよ!
緋絽です!
「はぁ!?」
朝弥の素っ頓狂な声が部室に響く。
その声のでかさに俺は漫画から目を挙げて朝弥とその隣の小森ちゃんに目を向けた。
「早く言えよ‼」
「す…すみません…」
「何?どうしたわけ」
俺の右隣に座っている茜に聞くとこっそり耳打ちしてきた。
「撮影する時、いつも1人で映るんじゃないんだって」
「へ?」
「つまり、男と」
「あぁーそういう事」
「嫉妬?」
俺の左隣に座っている由輝が体を寄せ小声で聞いてくる。
由輝が目を朝弥達に向けたまま首を横に振った。
「どうも違うらしい」
「それならもっと男相手の撮影練習したのに‼」
「う…うん…」
「よし」
俯いている小森ちゃんが顔をあげた。
「これから男相手に撮る‼おい、茜――」
茜の顔を見て朝弥が止まる。ヒッと悲鳴を上げて顔を青ざめた。
「…はやめて、由輝――」
由輝の顔を見て朝弥が止まる。だらだらと汗を流して目を逸らした。
「…はやめて真実‼頼むな‼」
「は?いいやいいけど」
何故か他の女子3人は同じように撮影の手伝いをしてくれるようになった。
部活は?と中元に聞いたら黙って肩を竦めていた。
「撮るぞー」
最初は小森ちゃん1人で撮影するらしい。その途中から俺が入る。
「真実、入って」
「はーい」
制服のままカメラの前に立つ。
「よ、よろしくお願いします」
小森ちゃんが頭を下げた。
俺も片手をあげて返事を返す。
「よろしくー」
さっきまではなめらかな動きだったけどなんか俺が入ったらギクシャクしたな。
「……」
小森ちゃんのさっきの動きを思い出す。
「小森ちゃん、見て見て」
「え…」
クネクネと体を動かす。
ぽかんと見ていたがややあってから噴き出した。
苦しそうに笑っている。まぁ当然だろう。女性用の動きを俺がしているわけだし。
「何それ…っ、へ、変…っ」
「あっヒデー。俺小森ちゃんの真似しただけなのに」
「全然違…っ」
よし、柔らかくなった。
朝弥に目配せするとぐっと親指を立ててきた。
俺も親指を立てて返す。ニヤリと笑顔も忘れずに。
それからは話したり遊ぶようにして写るようにした。
その間、中元の視線が鋭いように思ったのは気のせいだろうか。
次は夕さん!