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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
29/111

メイキング

プー太です!

「あ、か、ねーいつまで姉さんを待たせる気なのー」

「声を変えるな、声を」

ぺしっと頭を叩かれる。

「いいっスね いいっスね!もう最高っスよ!」

「部長!これは大ヒット間違いないですよ!」

衣装さんとメイクさんの鼻息が荒い。

「茜!早くしなさいよ!」

「…もう知らない」

怒鳴ると出てきた茜。どうやら腹をくくったようだ。

「「「おぉ…」」」

変身した茜の髪は深い緑。なんかカラコンも入ってる。それに服は2次元並に豪華だ。

チョーかっけぇ。腰にさした剣なんかめっちゃカッコイイ‼

「かっこいいじゃないのよ!」

「悪ノリしすぎだぞ由輝」

また頭を叩かれた。

ちぇと不貞腐れてみる。今思えばこの格好も悪くない。

「じゃあセリフ合わせしてみて撮るの再開するとしますか」

「「「「はーい」」」」

映画を撮り始めて思ったのは、俺も演技はやればできるんじゃね?的な自意識過剰な考え。

「はいストップー!そこはもっと張り詰めた感じで!」

…あれ?

「だーかーらー!そこはこうしてくれないかな?うん」

あれれ?

「カットカットカットぉぉおお!そこはもっとこうオーラを出してほしいんだよ!殺気とかそういうのが欲しいんだ!」

…俺、演技向いてないのかな?

「笑うな朝弥」

「ププッ 高坂部長にここまで言わせるてすっげぇよ いろんな意味で プッ」

「棒読み」

「大根役者」

「無表情」

馬鹿笑いする朝弥は、必死に笑いをこらえる真実に、疲れ切った顔の茜。

思ったことをズパズパ言いやがって…。

「みんなは俺を泣かしたいのか?」

「「「うん」」」

…もう嫌だ。早く帰りたい。

「再開するから配置に付いてー」

「姉さ…由輝、行かないの?」

「俺、くじけそう。ここまでできないとは思わなかった…」

茜も剣士役で、俺より上手いしさ。女剣士代わってくれたら楽なのに。

「何その目。僕はこれ以上の役はしないからね。そんな顔されたって…」

「姉さんを助けようとは思わないの?」

「ゔぅ…。あ、撮影始まっちゃう!」

ちぇ、逃げられた。

重い重い腰を上げてカメラの前に立つ。

今撮ってるのは王子を追い詰めて捕えるところ。

目を閉じて大きくゆっくりと深呼吸する。

…よし。

「スタート!」

役に入り込んで王子になってる真実に剣を向ける。俺も本気でしないとな。

―――俺は怒りに満ちた女剣士。

コイツが憎い。コイツを倒すんだ。倒さないといけないんだ。

自分に暗示をかける。これ以上俺が皆の足を引っ張ったら駄目なんだ。

「はいオーケー!今日のところはこれで終了!明日でラストまで撮ろうか」

それからはあっという間に時間が過ぎた。

「さっきのゾッとした!本気で殺されるかと思った」

「うわぁーなんであんなシャッターチャンス逃したんだろオレ!くっそぉ…」

「もう二度とこんなのしたくないな俺は…」

汗かくし、上手く演技できないし、女装だし。

「人生の内に一回はいいんじゃねーの、こういうの。俺はそう思うけど?」

「そうだけど…物は考えようだよね」

それはそうだな。

次は緋絽さん!

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