え、これって…
夕です!
すかさずメイクさんと衣装係さんが由輝を連れていく。
なんか、投獄される人みたい。
うーん…女役はかわいそうだったかな。
「にしても、ここ異国じゃね?」
「確かにね」
金髪の朝弥がそのギラギラした髪をいじっている。
「真実は赤、中元が白、オレが金!茜もなんかしろよー」
「残念。残ってる主要キャラクターは“青の女剣士”だけでしたー」
僕がそんなへまするわけないじゃん。
ぜぇったいに登場人物はやりたくないからね。
周りを見ると真実はまた台本の世界の住人だった。
中元さんも一緒か。
隣に並ぶと、かなりの迫力。
と、そんなこんなのうちに、“青の女剣士”が完成したらしい。
「由輝ー、出てこいよー‼」
ノリノリの朝弥が由輝を呼ぶ。
…でも、出てくる気配なし。
まず部屋から出てきたのはメイクさんと衣装さん。
「なんか…疲れてるね?」
「俺、メイクであんなに汗かくとは知らなかった…」
中元さんと真実の言うとおり、2人ともゼエゼエ言ってる。
「部長‼俺達、あんなに抵抗する人初めてっスよ‼」
2人は同時に由輝の差し入れジュースに突進してた。
うん、なんだか期待できそうだね。
「朝弥、由輝捕まえてきて」
「かしこまりましたぁっ」
ジャンケン負けといてよかったー‼とか叫びながら、部屋に入っていった。
「「ぎゃあぁぁああっ‼」」
その直後、人2人分の絶叫が聞こえた。
「「…………」」
今度は沈黙。
「お前誰だぁ‼」
「北村 由輝ですけど!?文句あるか!?」
「ないないない‼だからこっちくんな‼」
「なんでだよ‼」
「カンペキ過ぎて怖いからっ」
…なるほど。
声だけでもなんとなくわかる、どうなってんのか。
「あっさみー、早くつれてきてー」
ドアが音を立てて開いた。
涙目の朝弥が引っ張って出てきたのは。
みんな顔が引き攣る。
「わ、私より女…かも」
「朝弥の気持ち…わかる、な」
「だろ‼」
ロングの青髪、化粧もされた由輝は…なんというか完全に“女”だった。
僕も目を疑った。
「もう…どうとでもしてくれよ…」
だって、目の前に立ってるのは…
由輝がふらふらと僕のほうへ来る。
だって、だってこれはどう見ても…
「姉さん!?」
「はぁ?」
「ちょっ、こっち来ないでよ‼」
由輝の目がキランとあやしく光った。
「茜、姉さんが見に来てあげたわよ」
「嫌だああああっ‼」
次は秋雨さん!