王女様
秋雨です!
固まっている中元をみんなが凝視する。
そういえば王女様いなかったもんなー。
茜、ナイス!
「白の王女…」
「そういえば、いなかったな」
「俺、てっきり誰かが女装するのかと……」
真実の爆弾宣言。
男子が全員固まる。
女装なんて誰もしたくねーもんなー。
「………衣装係」
高坂部長が口を開く。
「今すぐそこの女子を着替えさせてくるんだ!」
珍しく必死になって早口で衣装係に言う高坂部長。
衣装係の男子はそんな部長を見てポカーンとしている。
「何をしている、早くしろ!」
「あ、は、はいっ!」
未だに固まっている中元を連れて、衣装室らしき所に行ってしまった。
「高坂先輩、大丈夫ですか?」
若干顔が青くなった高坂部長を心配して、由輝が声をかける。
「あぁ、大丈夫だよ。……ちょっと昔のことを思い出して……」
遠いところを見ながらフフフフと笑い始めた部長。
トラウマってやつだな。
「部長、あの、大丈夫っスか?」
壊れた(?)部長を心配した部員の1人が話しかける。
「え、何がかな?フフフフ…」
部長は中元と衣装係が戻ってくるまでこの状態のままだった。
「……コホン。取り乱してしまってすまなかった」
咳払いをして謝る部長。
顔が赤いのは気にしないでおこう。
部長の名誉のためだ‼
「さて、西川君が連れてきた女子が着替え終わったみたいだ」
中元、着替え終わったのか。
うし、カメラの準備OK。
「入ってきて」
部長が呼ぶが、中元が入ってこない。
「はぁ、あきらめが悪ぃな」
真実が衣装室に入っていく。
「な、ひ、東山君!?」
「ほら、早く来いよ」
「え、あの…」
真実に手を引かれて中元が出てくる。
うっしゃーっ‼
ここぞとばかりにシャッターを押す。
出てきた中元は白いドレスに身を包んでいた。
「んー、なんかパッとしない……」
茜が腕を組んで考え出す。
「これでいいんじゃねーの?」
「ダメ。んー……あ、そうか」
手をポンと叩き、中元の肩をポンと叩く。
「髪、決めようか」
爽やかな風が吹き、メガネがキランと光る。
「えと、あの」
「メイクさーん、よろしくー」
「あ、はーい」
ノリノリのメイクさんが中元を連れていく。
茜と部長が笑いあってハイタッチ。
って、何で茜が仕切ってんだ?
次はプー太さん!