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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
23/111

臨機応変に

夕です!

「真実、お疲れ‼」

いやぁ、カメラ回ったら別人だね。

今撮ったシーンは真実演じる王子様が王座に座って家臣に命令してるとこ。

「一発OK‼」

「うっし‼あー暑っちー…」

コートをバサバサしてる真実に由輝が飲み物を渡す。

それを横目に見ながら、僕は台本チェック中。

次の場面はマンガを読みあさる王子様だ。

ここもたぶんすぐOKでると思う。

「茜ー、次はどんなやつ?」

「王宮での自分勝手ぶり、かな。あー楽しみ」

朝弥はずっとカメラにくっついている。

映研部の人が撮影してるのに、やりたいらしくて…むしろ邪魔になってると思うんだけどな。

「茜がごきげんだ…」

「あれ、なんで逃げてんの?朝弥」

思いっきり笑顔で聞いてからまた台本に目を落とす。

王子は国民から奪い取ったマンガを読むのが好きで、今日も自分勝手に振る舞う。そんな王子にも恋する人がいて…それは山の向こうの白い国の…

ん?あ、あれ?

その場にいるメンバーをぐるりと眺める。

もしかして…僕、すっごいミスを?

音を立てず後ろへ5歩バック。

誰もこっちを見ていない‼

後ろ手にドアを開けて、部室の外へダッシュした。



持ってきていた台本を読み直す。

王子が恋するは、山の向こうの白の王女。

そう、王女。王女、つまり女。

やってしまったよ…。

映研部の女子って吉野さんだけだったの忘れてた…。

そのまま男女逆転はまずかったなぁ。

「こんな単純ミス、みんなに知られたくないし…」

「あれ?西川君?」

「?」

ずっと台本とにらめっこしながら歩いてたから正面から歩いてくるその人に気づかなかった。

「何してるの?1人って珍しいね」

「えーーっと…」

「あっ、名前忘れてる?中元 舞だけど…」

そうだ、中元さん。

前に真実といい感じだった。

「で、何してたの?西川君が1人でいるなんて、何かあった?」

「別に」

「もしかして南沢君とケンカした?」

「違うよ。そんなんじゃなくて…ちょっと個人的なこと、かな」

「へぇー、西川君にもそういうことってあるんだー」

え、僕ってどういう風に見られてんの?

「それ、何?」

「え?」

「それ」

中元さんが指差してるのは、さっきまで読んでいた台本だ。

「あぁ、これは…」

そこで言いとどまる。

なんとなく、言いたくない、知られたくない…ような。

「見ていい?」

「うーん…」

「なんで?いいでしょ、見たらいけないもの?」

僕が書いたなんて絶対に言えない。

中元さんはしつこくお願いしてくる。

こういう場合ってどうすればいいんだろう。

「えー…あー…」

「…『悪ノ王子』?」

もたもたしていたら勝手に題を読まれてしまった。

「こ、これはっ…えっと…」

「あぁ、映研部の台本?学校中にポスターあるから知ってる。…そういえば西川君も万屋同好会だったっけ」

「そう、だけど」

あーなんだろ何言えばいいのかわからない‼

「今、練習中じゃないの?」

「それが、ちょっと台本にミスがあって…」

「どんな?それ、西川君が書いたの?」

なんで中元さんはそんなに当ててくるんだよ。

逃げたい。今すぐ逃げたい。

「私、撮影ってどんなことするのか見てみたいなー。今から行っていい?」

このままじゃ、ダメって言ってもついてくる勢いだ。

僕はなんとかして、この重大なミスをごまかさないといけないのに。

……ん?ごまかす…。

ニヤリと笑う。

「もちろんいいよ。好きなだけどうぞ」



映研部のドアを開ける。

「ただいまー」

「「「茜‼どこ行ってたんだよ‼」」」

3人にせまられても動じない。

「中元さん、入ってもいいよ」

「失礼しまーす。わぁ…」

中元さんが入ってくる。

「勝手にいなくなってゴメン。実はね…」

またニヤリとする。うまくいったよ、フフフ…。

「白の王女を捜しに行ってたんだよね」

「………え?」

中元さんが固まった。



次は秋雨さん!

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