一生ものの出会い
リレー小説第2弾です!!
昔、ばあちゃんが言っていた。
『人には一生ものの出会いがある。大抵人はそれに気付かないまま過ごしてしまうんだよ。お前はそれに気付いて生きていけたらいいねぇ』
俺は知っていた。ばあちゃんは嘘をつかないことを。
だから今でも信じて、その″一生ものの出会い″とやらを探している。
────春。
俺は自転車に乗って坂道を降りた。
今日は宝岳学園高等部の入学式で、俺は由輝と待ち合わせていた。
「おっせー」
「悪い、寝坊した」
「やっぱりな」
由輝───北村 由輝は俺の中学からの友達で、いわゆる″親友″というやつだ。
「真実はやると思ったんだ」
「うっせー」
再びペダルを漕ぐと少し花の薫りの混じった風が吹いた。
自転車を自転車置き場に置いて昇降口に向かうとクラス表があった。
その前に立つと隣に2人男子が立っていた。
「えーーっと……」
東山 真実は……。
クラス表を目でなぞって自分の名前を探す。
ん?
「みなみざわ…あさ…や…?」
朝弥。へぇ~こんな名前のやついるんだ。文字が青いから男かな。
「あさみだよっ!!」
突然胸にカメラをかけた方の隣の男子に怒鳴られた。
「え?」
「あ・さ・み!!あぁ書いてあさみって読むんだ!!」
「あ、そう…ごめん…」
「朝弥、うるさいよ」
「はぁ?」
「初日から大声出すことないんじゃない」
「でもよー茜ー」
「はい黙る。行くよ」
眼鏡をかけた方の男子に南沢はひっぱられた。
「ちょっ、ちょっと待って!!他に知り合いいないか探させて!!」
「しょーがないなー」
南沢が体勢を直して向き直る。
「あーこいつもいんのかー。……あ?ま…み…?」
「あ、本当だ。しんじつって書いて、まみかな」
「いや、それまこと」
「へ?」
「俺の名前だし」
「え!?うっそマジ!?あ、マジだ青で書いてある」
南沢が目を丸くして言った。
傍を離れて由輝のところに戻る。
「由輝、同じクラスだった」
「あ、ホント。よかった」
中に入って靴を脱ぐと教室に向かう。
「えーーっとB組は…」
「あった」
由輝が中に入っていくともうすでにたくさんの人で埋もれていた。
黒板に座る場所が書かれており、指定されたところに座る。
すぐに由輝がやってきた。
「楽しみそう?」
「まーまーかな」
「真実、何部入るわけ?」
「バスケ!!今はとりあえずバスケしたい!!」
「まぁまぁ落ち着けよ。すぐできるって」
「由輝は?」
「軽音も捨てがたいけど……弓道かな」
「へー」
「あっさっきの!!」
声がしてそっちを見ると南沢と…茜と呼ばれていたやつが入り口に立っていた。
「おす」
「えーーっと、何だっけ?ま…まことだ真実!!」
「呼び捨てかい」
「いーじゃん。あれ、そっちは?」
「あ、俺、北村 由輝」
「へー!!オレ南沢 朝弥!!よろしく」
「うん」
「じゃあ僕も自己紹介しておこうかな。僕は西川 茜。よろしく」
「おー」
南沢が隣に座った。
「え、そこ?」
「ここー」
「嘘つくな朝弥。もう2つ後ろ!!」
「いーじゃーん」
「嘘つきは泥棒の始まり」
「オレ泥棒じゃねーし」
南沢が口を尖らせる。
思わず噴き出す。
ヤバい。面白いぞこいつら!!
「…………」
俺の顔を見た南沢がカメラのシャッターをきった。
「……何してんだよ南沢……」
「いや、イイ顔してたからつい」
「はー?何、写真好きなの南沢は」
「そうなんですよねー。あ、朝弥な朝弥。名前でプリーズ!!」
「じゃあ必然的に僕は茜?」
「そうだな」
「こっちは由輝?」
「ご名答!!」
朝弥がケラケラと笑う。
「新入生の皆さーん体育館に移動しまーす」
────これが俺達4人の″出会い″だった。
お次は夕さん!!