告白!
緋絽です!
「好きです」
俺は大口を開けずにはいられなかった。
ぬわんどぅぁってぇ!?
思わず耳をそばだてる。
まぁそばだてる必要もないほど近くにいるのだが。
「付き合ってください、北村君」
東山 真実 16歳。
人生初にして人が告白されているのをこの目にしました。
「――――だから‼そんなんじゃないったら‼」
「なーにがそんなんじゃない、だよ。モテモテじゃねーか」
「たった1人に告白されただけだろ」
「そのたった1人を捕まえるのにどれだけ苦労がいるかご存じかね?北村君」
「そっ、それは…っ」
「おはよー」
「おっす」
朝弥と茜が教室に入ってきた。
「はよっす。なぁ聞いてくれよ。朝、こいつさ」
「おはよう‼」
由輝に口をふさがれる。
「何すんだよ」
由輝の手をどかして小声で怒る。すかさず頭を軽く叩かれた。
「バカだろお前‼人様のプライバシーの重さを知れ‼」
「おぅやその様子じゃ俺が知ってる以外にも告白されたことが御有りのようだね?」
ギクッと由輝が固まる。
その様子を見て興味津津に2人がカバンを置いて寄ってきた。
「えー、何々、由輝」
「告白されたんだ?」
俺の隣に茜が座り、由輝の隣に朝弥が座った。
由輝が溜め息を吐いて俺を睨んだ。
「やだ。由輝が俺に流し眼を…」
両手で頬を挟んで顔を背ける。それを見た茜と朝弥が便乗した。
「えぇっ‼そんなまさか‼」
「早まっちゃ駄目だ由輝。帰ってこい」
「ノるな‼真実に流し眼なんて送ってないよ‼」
「ゴーメンゴメン」
不貞腐れたように由輝が唇を尖らせた。
「で?告白されたって誰に?」
茜が体を乗り出した。朝弥も乗り出す。
「……吉野…」
「吉野‼へぇ美女じゃん‼やったな由輝‼」
「もちろんOKしたんでしょ?」
「こいつ断っちゃったんだよー」
「「なんで!?」」
吉野――――吉野 初流は映研部の1年ルーキーで結構可愛い。
なかなか可憐な姿をしている。
にも関わらず断りやがったこいつ‼
「謝れ‼全国の吉野ファンに謝れ‼」
「全国って…」
「そーだそーだ‼」
「無反者‼」
「だー‼ちょっと黙れ‼」
野次を由輝が手を広げて制す。
ピタッと野次が止まった。
「皆の衆落ち着くがよい。顔をこちらに寄せい」
「「「何事だ」」」
体を乗り出して顔を寄せる。
「仕方ないだろ、恋愛的には好きじゃないんだからさ‼」
「でーもーさー」
「無理してつきあうのは失礼だし」
「う…」
思わず口を閉じた。耳が痛いぞ。
「由輝って・・・紳士だよね」
「なぁー」
「なぁなぁ、そこの4人‼」
同じクラスの男子に声をかけられた。
「変な部始めたんだって?依頼来たのかよ」
「1件解決したところ‼お待ちしてます」
平方さんの件で全校生徒の大半に我が部の存在が知られたらしい。
もっと依頼くるかな。
平方さんが友達とか部活で話してくれたおかげだ。サンキュー‼
――――その3日後。
朝弥と茜が由輝を従えてバスケ部に来た。
「失礼しまーす」
バッシュを脱いで体育館を出る。
「こらー東山ー‼」
「すみませんっ、ちょっとだけ‼」
ドアを閉めて声を遮る。
「依頼‼」
「そう‼それもさ‼」
「映研部からなんだよ‼」
次は夕さん!