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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
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大事なもの

お久しぶりです! 改めまして、緋絽と申します!

リアルで世の学生さんと共に闘っておりました!

言い訳です、すみませんごめんなさいもうしません。


今回は短いです。どうぞ!



「んーこれって、用務員のおじさんじゃだめだったのかな?」

茜が首を傾げる。

「まー用務員のおじさんとはあんまり関わる機会少ねーから、頼みづらいってのもあるんじゃねーの?」

「あぁ」

なるほど、と茜がソファーに深く座り直した。


『カラスにアクセサリーを取られました。取り返してもらうことはできますか?


3年A組 坂本実さかもとみのり


由輝が、ん、と俺に依頼の紙を渡してくる。

「まさか、敵がアニマルだとは」

「思ってもみなかったなー」

それを受け取ってもう一度読み直してみたが。

うん。どっからどう見てもカラスだ。カラスと戦わねばならない。

「おー楽勝だな!」

朝弥が飴を噛み砕いて笑う。

「どこが。巣のある木をまずは探さなきゃいけないのに」

茜が呆れたように朝弥に返した。

もうすでにゲッソリしてるな、おい。

「げー俺、カラスちょっと怖えんだけど」

あいつら超襲ってくるくね!? そんで報復しにも来るよな!

「石投げるふりしたらどっか行くって姉さんに言われて、やってみたら追い回されたことあるよ」

「まじで!? ギャハハハハ!」

「朝弥、うるさい」

「はいすみませんごめんなさいもうしません」

目が怖ええって、目が。

「木登りできるのって誰々だ? はい挙手ー」

由輝が言うと茜を除く三人が手をあげた。

「茜ー」

「言っとくけど今時木登り出来る方が少ないんだからね。したことない人の方が多いはずなんだからね」

茜が鼻で息を吐きながら言う。

え、そうなの? 俺、小学校の木とかかくれんぼでよく登ってたけどなあ。

「つっても俺、そんな高くまでは登ったことねえけど、それカウントしていい?」

俺の言葉に全員頷く。

「朝弥は……」

「心配ないよ。多分誰よりも登れるから。おサルだから、朝弥は」

「おサルって言うな!」

「あーまぁ、野生児って感じはするな」

由輝がウンウン頷く。

「おぉ、なんか野生児ってかっけー」

瞳キラキラさせてるけどな、朝弥。全っ然褒めてねえからな。

「サル?」

「オレ、じいちゃんちの裏山の木に暇さえあれば登ってたんだ。一回茜も連れてったらおサル扱いだぜ! ひどくね!?」

「あぁまぁそれはそうとして」

無視!? 無視なの!? と朝弥が喚いているのをさらに無視して話を戻す。

「とりあえず、話聞きにいってみるか」



坂本先輩を訪れると、彼女も丁度そのアクセサリーを探しているところだった。

「ちわっす!」

朝弥が笑顔で挨拶をすると驚いたように目を瞠った。

「こんにちは。その、………万事屋同好会?」

窺うように聞いてきた先輩は切れ長の目のショートヘアーの人でした。

「はい。もうちょっと詳しく話を聞かせてほしかったので。いいですか?」

由輝が聞くと顔を赤らめてブンブン頷く。

ちょっと、そんなに態度違うと流石に傷付くんですが!

「えーと、まず何をカラスに?」

気を取り直して尋ねると、またまた目を瞠った。

「………信じてくれるの?」

「え? イタズラですか?」

茜がピリッとした空気を出す。

「ち、違うけど。だって、カラスよ? 友達も信じてくれなかったのに」

「まー余程のことがなきゃ俺らに頼む人いませんから。まさに猫の手も借りたい状態しかね」

由輝が苦笑して茜の頭を力強くグリグリする。

そろそろやめてあげて! 茜も落ち着いたから! むしろ逆立ってるから!

「それで? 何を取られたんですか?」

茜が眼鏡を押し上げて由輝をジトッと睨む。

「ネックレスなんだけど……、その、骨董品みたいな感じの」

「骨董品みたいな?」

朝弥が首を傾げる。

「滴型の銅板に一回り小さいサイズの滴型のターコイズが埋まってるの。その、首にかけたら重そうなやつって言ったら想像できる?」

「あー。ばあちゃんが持ってるみたいな?」

確かばあちゃんが大事にそんな風なやつ持ってた気がする。“ばあちゃん”の時も、“御当主様”の時も、それだけは肌身離さずに。

そう俺が言うと何度も深く頷かれた。

「まさにそれ。…………もう日がないの」

必死な風で坂本先輩が拳を強く握った。

そうか。あと3日で卒業式だ。もしかしたら坂本先輩は遠い所の大学に行くのかもしれない。

「絶対に、見つけたいんだ。お願い、一緒に探して」

「……大事なんですね」

茜が尋ねると唇を真横に引き結ぶ。

「……なくしたくないの。そんな酷いこと、したくない」

先輩の言葉に俺達はニッと笑った。

「心得ました! お任せを」

とりあえずはカラスの巣探しだ!


次は夕さん!

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