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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
107/111

自然と集まるらしい

夕です。

頑張ります。



3月14日。すなわちホワイトデーが過ぎて、また落ち着いた日々が戻ってきた。

「はずなのになー…」

「ん?茜どした」

「別に」

柄にもなく部室の片付けなんかをしている朝弥を横目で見る。

「あ、えと……私のせいだよね…。ご、ごめんなさい…西川、君…」

「いえいえ」

と、それを手伝おうとしておろおろしている小森さんを見る。

小森さんは部室に着く前に朝弥が見つけてつれてきた。

真実と由輝がいない今、お花からの逃げ場がなくて辛い。

「掛け持ち組は向こうの掃除だっけか?」

棚に足をかけた朝弥が頭だけこっちを向ける。

「そう。僕は図書室が部室みたいなもんだし、どうせ活動してないからこっち来たけど」

名前だけの文芸部は3年の卒業によってそろそろ崩壊の危機に瀕している。

まあ僕のメインはこっちの同好会なんだけどね。

「それに途中から抜けて、ここの手伝いに来るつて言ってたよ」

「ふーん。この部屋のほうが汚いしなぁ」

今日の放課後はどの部活も部室の掃除をすることになっている。

つまり大掃除だ。今年度もあと少しで終わるから。

「あ…朝弥君!わ、私も、その…手伝うね」

真っ赤な顔をした小森さんが棚の上の朝弥を見上げている。思いきりがついたらしい。

「西川ー、南沢ー…あ、飛鳥ちゃんもいる。手伝いに来たげたわよー」

そんなときに入ってきたのは、珍しく髪をあげてくくっている吉野さん。

掃除モードか。

「…僕、呼んでないけど」

「細かいことは気にしなくていいの。ほら、西川も座ってないで床でも掃いて」

「…細かくないと思う」

なぜ部室の構造を知っているのか…吉野さんは部屋の隅で埋もれている箒を迷わず探しあて、僕に押し付ける。

そうして自分は中の物を整理するために棚のひとつを開けた。

「あ、そう言えば。ホワイトデーのクッキー、美味しくいただいたからね」

「それは、どうも」

「うん」

そこで吉野さんは小森さんをチラッと見て続ける。

「飛鳥ちゃんはチーズケーキだっけ?手作りの」

手作りという言葉が妙に強調されている気がする。

「なんとなく、言いたいことは分かるんだけど。吉野さんはバレンタインにくれたものを覚えてるよね、もちろん」

今度はもちろんを強調して返す。

チョコ味の飴を、口に入れるタイミングを逃して家まで持って帰り、さらには弁当袋を出したときに一緒に台所において、それが姉さんに見つかって弄り倒されたというあの日のことを僕は忘れないだろう。

「ええ、もちろん」

「なんだなんだ、多いと思ったら小森ちゃんと吉野も来てるのか」

挑発的な態度で応じる吉野さんにのせられかけたところへ、また誰か入ってきた。

今度は――真実だ。

「手伝いに来たのよ」

「お…おじゃま、してます…」

吉野さんは真実にも箒を渡す。

だからなんで場所を知ってるんだろう。

「バスケ部は終わったのかー?」

棚の上を拭き終わった朝弥が飛び下りてくる。

「いや早くない?僕が思うかぎりでは…真実、抜け出してきた、とか」

ほら、目をそらす。

また文化祭の時みたいな目に合っても知らないからね、僕は。

それに真実が来たってことは、そろそろ…。

「真実!」

「げ…由輝…」

息も立っているのは由輝。

体育館からここまでの間にあるからね、弓道場は。

「しっかりと抜け出すところを見たからな」

真実が閉めようとするドアを無理矢理こじ開けて、由輝は中まで入ってきた。

吉野さんが呆れ顔で言う。

「どうせ北村君も帰らないでここに残るんでしょ?」

由輝が頷いたのは言うまでもない。



次は秋雨さん!

お願いします。

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