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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
105/111

ド緊張するのです

プー太です。

無事進級が決まりました!



今日はホワイトデー。そう、バレンタインにチョコをくれた人にお返しをする日である。

無難に平方の好みであろうものを渡すつもりだが、なぜこう、緊張するのだろう。

そのおかげでとっくに日は変わり、もうじき日が昇り始める時間になろうとしている。

鎮まれ心臓。鎮まれ……。そう暗示をかけていると流石に前日の部活の疲れもたまっていたためにいつの間にか眠っていた。

「はっ、寝坊したー!」

おかげで見事に寝坊した。


なんとか始鈴が鳴り終わると同時に教室に駆けこんだ。もちろんお返しの品も忘れていない。

「由輝くますごいな。遅くまでなにしてたんだよ」

「べっつに……」

一限目の教科書を鞄から出しているところで中身を目撃されて真実がニヤニヤと笑いはじめる。

「ふーん。初心だね、純情少年」

おまけに肩をポンとたたかれる。穴があったら入りたい程の羞恥に襲われた。

「じゃあ逆に真実はなんでそんな平然としてるんだよ」

「なんでだろ。ああ、たぶんあれだ。チャイム鳴るから帰るな」

薄情者め。

無意味な過度の緊張はこうして放課後まで続いた。

「真実、やっぱ俺ダメだ。代わりに渡してくれよ」

「なんで俺が。一緒に行ってやるから自分で渡しなさい。こら、放せバカ」

さっさと中元のもとに行こうとする真実の服を握り引き留めようとするもその抵抗も虚しく階段まで引っ張って来られてしまった。

踊り場でごねていると上から朝弥がプレゼント片手に駆け下りていった。

「朝弥を見習って潔く渡せって。突き返されないって分かってんだし、大丈夫だって。ほら、由輝よ。巣立つ時がきたぞ。女の子を長く一人で待たせるのはジェントルマンにあらず」

とかなんとか言って真実に突き放されて渋々平方のもとに向かい始める。

手汗が異常分泌し始めたのは気のせいではない。

平方までの距離は約10メートル。こっちに気付いて平方が寄ってくる。

「平方、その……」

「なんでそんなガッチガチなの。私相手に緊張してるの?」

してる。寝不足で寝坊するくらいには。おかげで今日の授業はほとんど上の空だった。

「あり得ないくらい緊張してる」

大きく深呼吸して平方の目を見つめる。

「これ、うけとって」

「ありがとう」

いままでの悩みはなんだったのだろう。あっさりとし過ぎて拍子抜けだ。

「なによ」

そう、だよな。平方ってこういう奴だったもんな。

一気に肩の力が抜けた。

「なんでもない。帰ろうか」

物を渡し終えたらいつもの調子がかえってきたのか、自然に平方の手を取り歩きだしていた。





文才がほしい!


次は緋絽さん

よろしくお願いします

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