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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
103/111

バレンタイン?

バレンタイン…終わってた…


夕です


「この日が来たなー、茜君やー」

「ついに来たねー」

放課後、僕と朝弥は部室の机に向かい合って座っていた。

「…一応聞いとくけど。去年は何個だったんだ」

机に伏せった朝弥が顔を上げずに言う。

「朝弥が先に言いな」

「……やだ」

だいぶ弱ってるな。これは。

髪のぴょんぴょん跳ねた頭を見ながら、例年を思い出す。

と、携帯が鳴った。

「…朝弥さん、何がしたいのさ」

画面には『2』の文字。

口に出したほうが圧倒的に速いと思うのですが、どうせ教えるのなら。

「お母さんと、…純ちゃん?」

こくん、で肯定。

どうせだから僕も携帯に打ち込んで返信した。

「笑うな、朝弥」

「イテッ」

「ごめん、足が当たった」

――そんなわけで、バレンタインだ。




毎年2月14日がくると僕の幼馴染みはこうなる。

「そういえば真実と由輝は?」

最近ほんとの部活はどうなったのか、よくふたりもこの部室にいる。

だけど今日はその姿がなかった。

「裏切り者共はご帰宅したらしいぜ」

「帰宅?帰ったの?」

「真実は知らねえけど。由輝は平方と帰ってるとこ見た」

………ふぅん。

じゃあ由輝、そういうことになったのか。

「由輝とかだったらさぁ、なんか靴箱からどさーってのありそうだよな」

「漫画でよくあるアレのこと?開けたらバラバラーみたいな?」

「そうそう。いやさすがにそれはないか!」

モテない男子に見つかったら殺されるぜ、とヘラヘラ笑っている朝弥はようやく復活したようだ。

でも、朝弥ってどっちかと言うとチョコ貰えそうな気がするんだけどな。女友達多そうだし。事実多いし。

僕は女子とは関わりたく派なんだけど、そういうこと言ったら朝弥がしつこく問い詰めてきそうだから言わない。

茜貰えないのかーそうかー。にっこり。…すごく思い浮かぶ。

「…ん?ところで朝弥」

「はい?」

ちょっと不自然だと思った。

こういうイベントで朝弥とあのこの間でお花が飛ばないはずがないと。

「小森さんは?」

とたんに死にそうに落ち込んだ顔になる友人。

「あいつな、飛鳥な、風邪引いて学校来てねーの」

なるほど。

あ、こら。また電源オフになるな。

でもこの時期ならインフルエンザもあり得るからなー。

「チョコ、貰えそうにないね」

「一昨日甘いもの大丈夫か聞かれたんだ、来た!って思ったのに…」

あ、お花飛んではいたんだ。

「まあまあ。チョコなら買ってあげるからさ。どうせコンビニ寄って帰るでしょ?」

「男に貰うチョコほど虚しい物はねぇ!」

叫ぶ朝弥を無視して立ち、かばんを拾う。

ふたりが来ないなら帰ろう。

依頼は来てなかったし。

「朝弥ー置いて帰」

「あ、いたいた!」

帰ろうと歩き出したところでいきなりドアが開いた。

「やっぱりここか」

そして我が物顔で颯爽と押し入って来たのは、

「吉野!もしかしてオレに…」

なぜか笑顔の吉野さん。

「どうも。…南沢、期待してるとこ悪いけど違うからね」

ああ、追い打ちかけないであげて。

めんどくさいから。

「はい、これ」

そう言って紙袋を渡す―――相手が朝弥。

「お?え?おお!?」

「違うからね。それ飛鳥ちゃんからあんたに、学校来れないから代わりに渡してって。…本当に来れないからだけとは思えないんだけどねー」

飛鳥ちゃんチョコ渡すだけで心臓止まっちゃいそう。とかそんなこと言ってニヤニヤしている。

「で、西川はこれ」

握った手を目の前につき出される。

反射的に手を出すと、ぽとりと何かが手のひらに転がった。

「……何これ」

「私今日がバレンタインってこと忘れてたのよね。もともと誰にもあげる気なかったから、学校来る途中で飛鳥ちゃんのチョコ預かって気づいて。だからそれで我慢して」

ひらひら手を降って出ていった吉野さんの背中を見送る。

「うーん……」

貰ったそれをつまんで目の前に掲げた。

「チョコ味」

の飴。

来年は本物のチョコが欲しいです。

って言ったらどんな反応されるんだろう。

なんか……怒られそうだなぁ。

「飛鳥ー!ありがとーう!!……ん?茜なんでにやけてんだ?」

「うるさい。帰るよ」



次は秋雨さん。

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