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白紙に綴る夢  作者: 緋絽
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顧問と部室

緋絽です‼

「失礼しまーす」

職員室に入って鎌田先生の所へ行く。

ネームプレートに“鎌田 久美ひさよし”って書いてある。

俺は初めてこの名を見たとき間違って読んでしまった。男の先生なのにありえないだろうとは思ったのだが、間違えた。

『く…くみ…?』

『バカ‼ひ・さ・よ・しだろ‼』

由輝に小突かれたのを覚えている。

「カマさーん、お願いがあるんですけどー」

「なぁに?」

先生はオカマで、それに名前もかけてカマさんと呼ばれている。

「部、立ち上げるって言って紙貰ったじゃないですか。で、よく見ると顧問がいないとダメなんすよ。だから先生にやってもらえないかなって」

「へぇ…そうねぇ…」

カマさんが考える素振りを見せる。頼むよ先生‼

「いや、顧問つっても一応なんで、その肩書だけ背負っててもらえれば…」

「何部?」

「え?」

「だから、何部の顧問なのよ」

「え…っと、万屋部…いや4人だから同好会です」

「ふぅん…どうしましょうかねぇ」

「活動内容は、困ってる人を助ける部です‼あ、いや同好会です‼」

「いいわよ」

「ま…マジですか!?ありがとうございます‼」

顧問欄に名前を書いて判を押してもらった。

「やったカマさん最高‼」

「えーっと部室は顧問がいればもらえるのね?じゃあこれは私が出しときます、後で部室のことは言うから」

「はい‼失礼しました‼」

職員室を出て廊下にしゃがんでいる3人にピースをしてみせる。

「マ…マジ!?」

「やった‼」

「カマさん‼」

全員が万歳をする。大きな声に周りの目が集まった。

「部室とかは後で連絡してくれるってさ」

「おぉ、部室ももらえんのか‼」

「そういえばそうだったね」

「あー早く活動してぇなー‼あ、そうだ悪かったな真実。もう少し早く日直終わらせられればよかったんだけど」

「ほんとだよ。そんで朝弥も茜も中入ってこねぇしさ。俺1人だけ判決待ってる罪人の気分だったよ」

「わかりやすいようなわかりにくいような微妙な例えだね」

「ゴメンゴメン。だってドキドキしちゃってさー」

フンと鼻を鳴らす。

「あーバスケしてー」

「まぁまぁ落ちつけよ」

「真実、放課後にバスケするんだしさ」

茜が立ち上がりながら言った。

「そうだけど‼俺は嬉しいことがあるとバスケしたくなる‼」

「それでさらにテンションあげるってか」

朝弥が棒付き飴を口の中で転がす。

「そう‼さすが朝弥」

「昔からそうだもんな真実は」

由輝が苦笑した。由輝の手が目に入る。

あれ?

「由輝、何、怪我したわけ?」

指に絆創膏をしているが、それが前俺がやったやつじゃなくなっている。

「そう」

「俺があげたのは?」

「使い切った」

「マジか。1箱丸々あげたのに」

「弓弾いちゃってさ。その上俺貼るのヘタで。またちょうだい」

「いや、いいけどさ」

中庭に移動して木の下に座る。丁度日陰になって木漏れ日が揺れた。涼しい。

「さぁ皆の衆。ここからが本題だ」

「「「おう‼」」」

「朝弥と茜はまぁいいとして、問題は俺と真実だ」

輪になるように座って顔を寄せ合わせる。

「2人共、毎日それぞれの部、活動してるもんなぁー」

「休みの日ないわけ?」

「弓道は水曜」

「バスケも水曜」

「あ、じゃあ水曜だけ活動ってのは?」

「それじゃ部立ち上げる意味がないでしょ」

茜につっこまれた朝弥が飴を噛み砕いた。

「依頼がきたらこっち活動ってのは?」

「うん、まぁいいんじゃねーの?」

「じゃ決定‼」

 ―――翌日、カマさんから部室の場所と鍵を渡された俺達はさっそく行ってみることにした。

「では、いきまーす‼」

由輝がニヤリと笑う。

「「「イエーイ‼」」」

鍵を差し込んで回すと音をたてて鍵があいた。ノブを回して開ける。

「じゃーん‼……うっ…」

「なんだこれ…」

「埃がすごいな…」

中に入って窓を開ける。

「あ、けどいい位置じゃん。校門とグラウンドがよく見える」

茜が目に手をかざして言った。

「よし、じゃちょっくら掃除道具借りてくるわ‼」

朝弥がドアを開けた。

「お、なんか行動的だな」

「茜が気に入ったからな」

新しい飴を咥えた。それを見た茜が隣に立つ。

「じゃあ僕もいこうかな」

由輝と顔を見合わせる。ニヤリと笑った。

「好スタートだな」

「あぁ」

朝弥と茜が鼻歌を歌いながら出て行った。


次は夕さん!

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