表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/132

 フイッシー・クッサスメル大司教の鼓舞して煽る演説

 翌朝。ノルトハン国王王都の噴水広場から真西に太い街道を城の方へ向った城の手前の教会跡地。

 瓦礫と化した建物の残骸が山積みの教会の敷地。

 東西南北に三百メートルほどの正方形。

 周りを二メートルほどの壁が囲み、その上にデザインされた鉄柵が立っている。

 入り口は東西南北に各一ヶ所で幅は十メートルほどの両開きの鉄柵。


 周囲は白々と明るくなってきた。

 瓦礫の山の西側には凡そ千人の教会側の兵士や元冒険者が烏合の衆のように集まっていた。

 瓦礫の大きな柱の上にフイッシー・クッサスメル大司教と副司教のヨガブットが立った。


 「フイッシー・クッサスメル大司教。どうぞ」


 「敬虔な信者の諸君。偉大な冒険者の諸君。おはよう。

 わたくしがフイッシー・クッサスメル大司教だ。

 (五秒空け、口元を緩め見まわすのだな)


 わたくしの呼びかけに応じてくれた偉大なる力を有した君達のお陰で、ついにこの時が来た。

 皆聞いて欲しい。

 見ての通り、我々が代々受け継いできた教会が十年前に破壊された。このようにだ。

 そしてこの瓦礫と化した教会の下には救出できなかった当時の司祭や信者が今尚英霊として眠っている。


 それは創世主のエルファサ女神様自らの行いだった。

 しかしそれは創世のエルファサ女神様が悪いのではない。わたくし達教会が悪いのでは無い。君達が悪いのでは無い。

 全ての諸悪の根源は創世のエルファサ女神様との誓いを裏切り、英雄を殺したマッドジョイとその家族だ。


 その報いを受けてもらう。


 今、東の地にエルファサ女神様が新たな大教会を建立なされたと、昨日神託をわたくしに賜った。

 (笑いを誘うようにだな)

 実はな。その神託を賜って、驚きのあまり大司教のわたくしがわたくし自身を疑ってしまったよ。

 (おっ。笑いよった)

 なにせ創世の女神エルファサ様は十年間沈黙をなさっているのだから。

 それでだ。創世の女神エルファサ様を疑う訳では無い。わたくしの空耳。妄想。ボケたか?そう思い。

 (クソがっ。大笑いしよって)

 確認の為、東の地に部下を派遣した。

 部下からの報告。

 (目を閉じ沈黙五秒)


 直径にして二キロの砦。その中心にトウショウ王国の旧教会を凌ぐ、高さ三十メートルを超える教会の建立を確認した」


 「「「「うおぉぉぉ」」」」


 「東の地に住まう住民によれば。一夜にして建立成されたようだ。正に。正に神業」


 「「「「すげぇぇぇ」」」」

 「やっぱエルファサ女神様はすげぇぇ」

 「「「「エルファサ女神様ぁぁぁ」」」」


 「嘘でも冗談でもない。わたくしがボケた訳でもない。

 何故なら今から諸君達が巨大な教会を目の当たりにするのだからな


 「「「「うおぉぉぉ」」」」


 「そして君達が。敬虔な信者の諸君が。偉大な冒険者の諸君らが十年目にして初の教会に、この世界初の信者としてその教会に足を踏み入れる事となる


 「「「「うおぉぉぉぉ」」」」


 「そう。諸君は創世の女神エルファサ様に認められた信徒なのだぁぁぁぁ


 「「「「うわぁぁぁぁぁ」」」」


 「その地に向かいその大教会を治め、世に創世のエルファサ女神様の教義を広めよとの思し召しだ。


 しかし、その地は長きにわたり放置されて来たゆえに魔物の巣窟となっている。

 故に君ら元冒険者を集い、魔物討伐を行ってもらう。君らにかかれば魔物も物の数では無かろう。

 しかし、苦労もあるであろう。故に一人金貨一枚と言う破格の提示だ。既に手元に行き渡っているはずだ。

 そして先程、新たな神託を賜った。

 成功報酬として更に一人当たり十枚を出しなさい。

 望む者は無償で彼の地に親類縁者を受け入れなさい。

 住居を無償で渡しなさい。

 と。言う内容だ。


 創世のエルファサ女神様からの思し召しだ。故に教会は全てを受け入れた。

 そして、功績有る者は教会独自に可能な限りの望むもの全てを受け入れよう。

 望む仕事を斡旋して欲しい。保証しよう。

 何もせず一生、食べて行きたい。保証しよう。

 教会の幹部になりたい。保証しよう。

 毎日一定のお金が欲しい。保証しよう。

 子供を学校に通わせたい。保証しよう。

 婦女子を侍らせたい。これは経典に抵触する。残念だが諦めてくれ。

 「あぁぁはっはっはっは」「それは無理だぁ」「ちっ。ダメなんかよぉ」


 「静粛に」


 「そして、ついにこの時が来た。

 それはどう言う事か。

 君達。我々から豊かで快適な生活を一瞬で奪い去ったマッドジョイ一族を教会で全力を以って処刑せよとの思し召しだ。

 カミミヤファミリー涙のバースデー以降、創世のエルファサ女神様は実力行使が出来なくなっていらっしゃる。相当なご負担を強いられたのであろう。

 故に君達。教会で殲滅せよと仰った。


 皆、思い出して欲しい。

 奴らは君達、親類縁者から職奪い、食べ物を奪い、命すら奪った。可愛い子供らを路頭に迷わせた。

 そして、マッドジョイは一切の救済処置を講じなかった。謝罪の言葉も心さえ示さなかった。

 あいつは今尚苦しむ民から搾り取った税で安全な場所で贅沢の限りを尽くし、幸せに暮らしている。君達の頭を踏みにじってっ。

 そんな奴を許せるのか。許していいのか。許せるはずがない。許してはならんのだっ」


 「「「「殺せぇぇ「「「復讐だぁぁぁ「「「思い知らせてやるぅぅ」」」


 「その気持ちは痛いほどよくわかる。

 それでだ。

 わたくしは更に神託を受けている。

 そう。アイファウスト・カミミヤ王子殿下のお住まいの地を教えてくださったのだ。

 皆。何処だと思う?

 もしかしたら会っているかもしれない。すれ違っているかもしれない。隣同士で食事をしていたかもしれない」


 「「「「「まさかぁぁ」」」」」


 「そう。ノルトハン王国。ここ王都にお住まいなのだ」


 「「「「「え”ぇぇぇぇ」」」」」


 「故にノルトハン王国に教会を建立成された。故に噴水が稼働した。故に噴水上に愛の女神ヴィーナス様と共にご降臨なさったのだぁぁ」


 「「「「マジもんだぁぁ「「「本当にいらっしゃったのだぁぁ「「「教会すげぇぇ」」」


 「そして間もなく東の地の教会はわたくし達が治める。

 アイファウスト・カミミヤ王子殿下をお招きして一国と成し、偉大な冒険者諸君がアイファウスト・カミミヤ王子殿下の護衛を務める任に就いてもらう事となる」


 「「「「俺達がぁぁ「「「「滅茶苦茶名誉ぉぉ」」」」


 「そうだ。とても名誉な事だ」


 「わたくしアイファウスト・カミミヤ王子殿下のお嫁さんになれますかぁぁ」


 (ヨガブット凄いな)

 「可能性は否定しない」


 「「「わたくしもぉぉ「「「わたくしもですぅぅ」」」


 「ただ、問題は在るぞ」


 「「「「何でしょうかぁぁ」」」


 「アイファウスト・カミミヤ王子殿下のお好みが解からない」


 「「「「あ”ぁぁぁぁ」」」」

 「そりゃそうだぁぁ「選ぶ権利はあるよなぁぁ「胸がでかい方が良いとか」


 (マジで出た。凄いな)

 「創世の女神エルファサ様は大きい方だからな(ここでわざと)痛い。何方か石でも投げたか?」


 「フイッシー・クッサスメル大司教。突然、頭がぶれましたぞ。

 胸の件で、まさか創世の女神エルファサ様が失礼だと小突いたのでは


 「「「「「あ”ぁぁぁぁ」」」」」

 「「「「「本物だったぁぁぁ」」」」」


 「創世の女神エルファサ様。失礼な発言でした。謝罪いたします。

 それでアイファウスト・カミミヤ王子殿下とのお見合いの場を設けましょう」


 「「「「「お願いいたしますぅぅ」」」」」


 「見ての通り。わたくし達は認められた教会だ。

 大陸全土の者が成し得なかったこの偉業を君達と我々教会で行う時が来た。

 君達は英雄殺しを処刑する栄誉をエルファサ女神様より与えられた聖なる騎士なのだ。

 アイファウスト・カミミヤ王子殿下の護衛を務める騎士なのだ。

 そこらを闊歩し、民を頭ごなしに押さえつける国のちんけな犬どもとは違う。

 君達はエルファサ女神様に選ばれし、本物の騎士なのだ。唯一無二の騎士なのだ。

 復讐の時は来た。立ち上がれ諸君。立ち上がれ栄誉ある聖なる騎士たちよ。わたくし達教会と共にいざ行かん。聖なる東の地へ」


 「うおぉぉぉぉ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ