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 ハルサーラ達の我儘に苦慮するララブール

 「皆。ご苦労であった。

 遺体と投降者は王都の警察本部の地下牢に収容した。ジャックレイ署長が班長となり取り調べを行うことになっている。

 それでは今より実技試験の発表を行う・・・全員合格」


 「いやったぁぁ「やったぁぁ「ありがとうございますぅぅ」


 マルックが。


 「静粛に」


 「はい」


 「当初十名の予定であったが皆が優秀なのでわたくしでは甲乙つけられなかった。

 アイファウスト王子殿下に陳情し、全員の合格とせよ。と、ご回答を賜った。

 よって全員合格。おめでとう」


 「ありがとうございます」


 「今、横に居る白馬は全て君たちの相棒となる。心から愛するように」


 「はい」


 「そして。マルック隊長」


 「あいよ」


 「今よりマルック隊長が各個人に渡すポシェットは君たちの愛馬を収容でき、心に決めた名を呼べば出てくる。

 出す場所は主次第だ。例えばトイレのような個室では出てこない。往来の激しい場所も同じだ。

 愛馬が困惑しないように周りをよく見定める事。

 君たちが愛馬を収容するとわたくしの持つ収納に収まる。

 わたくしの収納内は無限に広がる草原や森、川も流れている。そこで自由気ままな放牧を楽しめる。

 夜間にはスケルトンたちがお世話をする。

 ただし、たまには自分で愛でることも忘れないように。初めのうちはわたくしが計画的に指示を出す。

 皆装着したか」


 「はい」


 「では名を呼び ポシェットにお帰り。言ってみなさい」


 「はい」


 「全員出来たな。今度はポシェットを押さえながら名を呼び 前へ と」


 「きたぁぁ「わぁぁ会いたっかたよぉぉ「いい子いい子」


 「では、今よりエルファサ女神様真教会近衛公安騎馬隊の徽章を与える。

 本来は階級章の位置だが他の国軍や近衛兵と同等に扱われるのは癪だ。と、アイファウスト王子殿下がおっしゃたのでそこに隊の徽章を付ける。

 ちなみに階級は両腕を見ると良い」


 「えぇぇ何時の間にぃぃ「二本金の刺繍?「わたくしは一本です「隊長は三本だ」


 「そう。その本数により階級が分かれている。

 既に言い渡されていると思うが、試験の時の班長が小隊長二本三名。他の者は一本。隊長のわたくしが三本となる。

 徽章について少し説明をする。

 徽章は六角形。カラー糸で刺繍となっている。わたくしが張り付けた時点で何をしても剥がれ落ちることも破損することも無い。腕に付けた盾となる。

 六角形はエルファサ女神様がこの大陸を創世された一番初めの国の数だ。今では知る者もいない。

 その中にイサム様とサチ様がこよなく愛したサクラの花。今ではどこにも現存しない。

 そのサクラの前にエルファサ女神様が少し下を見て微笑むお姿。見つめる先の両手を合わせた手のひらに三つの玉。

 イサム様。サチ様。アイファウスト王子殿下である。

 その目線の下の雪を冠した山。イサム様とサチ様が元居た国の国を象徴する富士山。国民にとても愛されていた山だそうだ。

 国民が愛する山をイサム様、サチ様を通して見ていらっしゃるエルファサ女神様となる。

 武器は表記されていない。戦う兵隊ではない。守る兵隊だ。挑発はしない。

 以上だ。

 今より呼称を呼ぶ。親愛なる親御さんが付けた素敵な名で呼べないのは非常に心苦しいのだが、君たちの周りのお方達に危害が及ばないようにするための処置だ。

 先のようにスパイが潜り込んでいても気付かない。君達や教会を強請るために誘拐の可能性も否定できない。

 そして、わたくしは君達の本名を知らない。申し訳ないが理解してほしい。すまない。


 一人づつわたくしの前へ」


 「はい」


 「アルファ。おめでとう」


 「ありがとうございます」


 「両腕だ。良し。いいぞ」


 「はい」


 「次。ベータ」


 「はい


 


 「全員に行き渡ったな」


 「はい」


 「では、マルック隊長の説明に有ったように王都に向かう。

 質問は?」


 「はい」


 「アルファいいぞ」


 「スケルトンさん達にお礼が言いたいです。全員の意見です」


 「うぅぅん。彼女等は君達を育てて、終了なのだが」


 「ララヴール殿。お別れは必要ですよ。それで済むかは別ですが」


 「判りました。各人名を呼び挨拶を」


 「はい。ああぁぁぁありがとぉぉ「合格だった。合格だったよ「ありがとうありがとう


 「シュルキーさん。娘達をありがとう。とっても嬉しかったわ。ねぇあなた。わたくしの元にこのまま来ない?」


 「あっあのハルサーラ様?何を?」


 「可愛いの。でも、年上ね。でも娘が増えたみたいで。わたくしの五女。シュルキーよ」


 「わたくしの姉です「わたくしもそうです「離れたくありません


 「マックストールは俺の兄。譲らん。持って帰る」


 「はぁぁぁ。確認です。本当にそう思っている方は?」


 「全員ですよ」


 「その恰好で町中が歩けるとお思いですか?」


 「はい」


 「何とかなりません?ララヴール殿」


 「ここに置いて行くと言う手もありますが?」


 「それは違うわよねぇ」


 「「「「はい」」」」


 「判りました。アイファウスト王子殿下に確認します。って早っ。うっうん。許可が出ました。

 しかし、もう一点確認します。

 元の人になります。いいのですか?人相や身体つきが変わっても」


 「性格は?」


 「シュルキーの場合なら、言わばハルサーラ様の性格に近くなります。死ぬ以前の歴史や風習は忘れます。ハルサーラ様の記憶を継承する形で現代に馴染みます。

 百年前に何があったかを聞いても今のハルサーラ様の記憶程度となります。

 身体能力は継承。普通の人間として衣食住が必要となります。喜怒哀楽も出ます。ただ、わたくしや皆さん。女神様への忠誠は絶対。裏切ることも欺く事もありません。

 御親族に対しも同じです。

 ただ、ご家族の中に悪事や敵対心を持ったお方がいた場合はわたくしの元に来てこの世から消滅します。

 それでもいいですか?」


 「その方が人間味があっていいわ。シュルキーさん達が人に戻る事を拒むことは?」


 「有りません」


 「みんなの願いを叶えてあげてくれない?あなたからの卒業祝いとして」


 「公安が三十人になりますが?」


 「御心次第よ」


 「判りました。ですが。ハルサーラ様大変ですよ」


 「大丈夫。燃えたグレーゾーンのギルド長が泣くだけよ」


 「はぁぁ。わかりました。

 今から皆に配る瓶に髪の毛を一本入れ、スケルトンに渡すように。

 一時間後にここへ。その間に食事を済ませて下さい。

 まだ、いらっしゃいますよね」


 「クリアスカイ達ならおりますわよ」


 「では」




 一時間後。ララヴールの前に整列した十五人と、ララヴールの左手にハルサーラ、マルック、ナルッシュが並んだ。

 その後ろにはクリアスカイ達。


 「では皆少々待たせたな。

 一気に出てくるから解からない可能性もあるが君達から出迎えてやって欲しい。

 出ていいぞ」


 「キャルスお姉様ぁぁ」


 「アルファ。嬉しいわ」


 「もう離しません。もう離しません」


 「ずっと一緒よ。宜しくね」


 「はい。はい」


 「シュルキー」


 「はい。お母様」


 「もうわたくしの娘よ」


 「はい。宜しくお願いいたします」


 「可愛いわ」


 「嬉しいです」


 「やっぱ。おめぇでけぇな。マックストール」


 「弟に負けてはいられねぇからな」


 「カッコつけやがって。おっおぉぉまたお姫様抱っこかよ」


 「軽いな。俺が鍛えてやるよ。神聖軍の部下で」


 「ぬかせぇぇ」


 「「あぁぁはっはっはっは」」


 「でも、おめぇ馬は?乗れるのか?潰れちまうぞ」


 「シャイアと言う種類の馬。名前はエレン。メス。見てもらった方がいい。

 エレンおいで」


 「でけぇぇ。馬なのこれ?」


 「乗ってみるといい」


 「うひょぉぉ。世界が見えるぜ」


 「大袈裟。ララヴール隊長ありがとう」


 「あなたの側にいた愛馬です」


 「エレンちゃん大きい。ララヴール殿。彼女たちの馬は?」


 「全員いますよ。全員。愛馬を出し、騎乗」


 「了解」




 「小隊ごとに整列」


 「了解」


 「第一小隊。二列縦隊で闘技場をウォーク右回り一周」


 「了解」


 「第二、第三、マルック隊長、ハルサーラ様、ナルッシュ殿続け」


 「了解」




 「ぜんたぁぁい。トロット」




 「ぜんたぁぁい。キャンター」




 「全体。集合。整列」




 「エレンちゃん凄いわね。ちゃぁぁんと付いてこれるのね。いい子ねぇ」


 「間隔を崩さず奇麗だった。合格」


 「ありがとうございます」


 「では、クリアスカイ殿たちに感謝」


 「「「「ありがとうございました」」」」


 「「こちらこそ」」


 「では、順次エマルサーラ商会東門支部の転移の部屋から王都の本社に向かう」


 「はい」

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