表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/101

 エマルサーラ商会。ヤブヤを購入

 その頃、マルックの家のキッチンでフジミヤとハルサーラがテーブルを挟んで向かい合っていた。

 フジミヤがリノシャイラの件を話し、ハルサーラは。


 「はぁぁ。あの状況でしたらバレますわよね」


 「はい。全てはヴィーナス様の痛ったぁぁぁ。ヴィーナス様ぁぁ何にするんですかもぉぉ背中叩かないでくださいよぉ」


 「ヴィーナス女神様を悪者にしようとするからですよ。

 で、サプタミン・ビーシ・チョザイキョク侯爵様ですね」


 「はい」


 「感じとしてはお付き合いを?」


 「許嫁が居ないと」


 「そうでしたわねぇ。

 承った以上は無視も出来ないでしょうね。どうしたものでしょうか。

 一度、それとなくマウレス宰相様にご相談なさるとか?」


 「それは出来ません。

 今現状、こちらが優位な位置に居ます。

 恋愛事などを持ち込めば見下されることは明らか。

 絶対に笑いの種にされ、こちらの権威が・・・

 いい事思い付きましたよ。

 ハルサーラ様。少々近くへ」


 「はい」




 翌朝。木こり君はハルサーラ達と共に噴水広場に面したヤブヤの宿屋の中に居た。

 三階建てで広場に面した側は凡そ三十メートルで一階が酒場と厨房。

 二階、三階が広場に面した五部屋。奥に三部屋だった。いわゆるホテルだった。


 「木こり様。お風呂とトイレだけ修復すればそのまま使えますね」


 「そうですね。これと言って悪い所はなさそうです。

 噴水の向こう側がベル・ユイミナですね」


 「木こり様。もう人が並んでる」


 「マーガレットお嬢様の宣伝効果抜群です」


 「おぉぉほほほ。でもね。わたくしのブティックの方も大変みたい。任せて有るけど」


 「良かったではありませんか」


 「ありがとう」


 「ガトリング。ここをお幾らで譲って頂けるのかしら」


 「もうお決めに?」


 「えぇ。経緯は別としてとても気に入りました。初めて入りましたが良い物件です」


 「一つ条件が有ります」


 「何でしょうか?」


 「三階の真ん中の部屋。こちらは常時貸し切りとして頂きたい。

 理由はユーミルナ王妃様とアイファル姫様のお忍びお泊りの部屋として欲しいとのご要望です」


 「既にわたくしが買うと?」


 「はい」


 「判りました。その要望を飲みましょう。

 で、お幾らで」


 「こちらをどうぞ」


 「はぁぁ」


 「お母様」


 「スカッシュ。ご覧なさい」


 「はい。王妃様の一泊二食の宿泊代を無料とするなら、王家から貸与?地価税は別途徴収。税額は昨日現在を固定?

 貸し切りとするなら宿泊代無料は意味をなさいなのでは?」


 「対外的な明文ですよ。

 何かの拍子に表に出てしまうと民に対しての脅迫とも取れてしまうのよ」


 「すごいわぁぁ。全く解かんないけど」


 「ガトリング。昨日とは?」


 「今日においてこの周辺の土地建物が既に倍の価格になっています。

 転がしの対象とならぬようにこの一帯はギルド長の許可無く売り買い、賃貸、貸与、増改築出来ません。王命です。

 ギルド長が木こり様に怨んでいましたよ。

 今日も寝られない。復讐はいつまで続くのかぁぁ。と。

 理由はベル・ユイミナの右隣は国の所有。左の一軒はスカッシュ殿。残りの二軒の買戻しや購入依頼が殺到。

 二軒は国所有に変わり、エマルサーラ商会に貸与された事情説明におおわらわ。

 他の空き家もオークションでほぼなくなりました」


 「あぁそれで荷馬車がひしめき合っているのですね。危ないですよ」


 「物資に関しては皆店舗の裏が搬入路のはずでは?」


 「一昨晩から続く 色々 で、警官が足りていません」


 「ガトリングさん。ギルド長に念話可能ですよね」


 「はぁぁ。フジミヤ様。また何か思いつきました?」


 「ハルサーラ様。商工協会で警備費用を負担し、暫くクエスト依頼を出しませんか?」


 「今朝いきなり議会長に祭り上げられ就任でしたが、それを使いますか?」


 「はい。先ずはここが経済発展の中心地となります。

 頭のいい方の集団です。直ぐに理解できると思いますよ」


 「事後報告で十分ですね。判りました。

 ガトリング。特警の準備が整うまでの間、C級冒険者の男女五名を広場の治安維持に当たらせなさい。

 担当冒険者はユーミルナ王妃様の箔が付きます。一人一日大銅貨五枚でいいでしょう。夜間は警察に巡回してもらいます」


 「今来ます。準備していたようです。ギルド長が。

 あれですね」




 「我々はギルドから派遣され、ユーミルナ王妃殿下の直命を受け、この広場の治安維持を担当する事になったBランク冒険者パーティー、ドラゴンの盾だ。

 五人のこの腕章はユーミルナ王妃殿下の紋章だ。

 この広場はユーミルナ王妃殿下の管理区域となった。広場の使用規約に則り、今より警備を開始する」


 「荷馬車は即刻路地に回せぇぇ」

 「馬は走ってはダメぇぇ。フンの始末は所有者の責任ですよぉぉ」

 「言っただろう。ここはユーミルナ妃殿下の管理地だぞぉ。美観を損ね、汚せば処罰対象だぁぁ」

 「逮捕権も有しているぞぉぉ」

 「そこの冒険者ぁぁ武器の手持ちは禁止よぉぉ。装備なさぁぁい」

 「喧嘩をするなぁぁ。両成敗で連行するぞぉぉ」


 「あらあら馬車が蜘蛛の子を散らしたようにぃぃ。

 腕章迄用意するとは王妃様もお熱が上がったようね・・はぁぁぁご存じでしたか」


 「準備なさっていたようですね。

 それとフジミヤ様のギルドでの大立ち回りも」


 「ひぃぃやぁぁ」


 「冒険者達も襟を正したようですね」


 「そりゃぁもう凄いですよ。例のホワイトゴッドネスの叙爵の件でやる気が爆上がり。

 飲んだくれもビキニアーマーも一掃されました。

 クエストが一気に無くなり、今外縁のギルドに問い合わせ中ですよ」


 「それそれは。フジミヤ様のお手柄ですね」


 「えへへへぇ・・・って、ガトリングさん。お食事コーナーの売り上げが」


 「イデピッドのパーティーやらギャバットのパーティー達飲んだくれの溜まり場で、他の冒険者があまり寄り付かず売上なんて元々ありませんでしたよ。

 ようやく正常に戻って朝食や弁当が売れようになってきましたよ。

 ギルドの食事コーナーとしての機能を果たすようになりました。

 ありがとうございました」


 「いえいえ」


 「後これはお耳に入れておいた方が良いかと。

 孤児院出のサンドダックを虐めていたのはイデビットのパーティーです。仲間迄募っていましたよ。

 仲間はギャバットのパーティー。

 孤児院上がりだと父親や母親の事をバカにしていましたよ。

 何度も止めるようにきつく言っていたのですがねぇ」


 「殺しておくべきでしたね。

 少々お待ちください。

 マウレス宰相様。えぇ僕です。でですねぇ・・・・・

 ガトリングさん。ギャバットさんのパーティー。裏にオレアシン・タミン・バレシアン子爵が居ましたか?」


 「さすがにそこまでは。恐らくエウマイアーギルド長も知らないと思いますよ」


 「サプタミン・ビーシ・チョザイキョク侯爵と長女のリノシャイラお嬢様の調査対象に成っていたようです。

 殺人。殺人未遂。恐喝。強姦などですね。何で燃えないんだろう。

 ちょっと待ってくださいね。上に確認を取ります。・・・・はぁぁぁ。燃えない件は後程。

 で、ギャバットさん達はもう間もなく捕縛されるそうです」


 「ありがとうございます。で、お父様とお母様に問い合わせを?」


 「たまぁぁに気が向くと声を掛けて来るんですよ。気まぐれであだぁぁぁん。痛っいなもぉ。父さん殴り過ぎぃぃ。母さんに・・・・お母上様ぁぁ嫌わないでぇぇ。お父上様は素敵でカッコいいですぅぅ。

 はいっ。はいっ。判りましたお母上様。

 ガトリングさんはお母上ともう接触に?」


 「文面ですが、アイファウスト・カミミヤ王子殿下の事を任されています」


 「こちらのメモをどうぞ。ハルサーラ様もスカッシュさんもアルミスさんも見てください。

 僕は内容を知りません」


 「「「「うふっ。うふふふふっ」」」」


 「はい。承りました。サチ妃殿下」


 「畏まりました。サチ妃殿下」


 「「お任せください。サチ妃殿下」」


 「「「「メモが消えたぁ」」」」


 「何が書いてあったんですか?」


 「「「「内緒です」」」」


 「えぇぇぇぇ」


 「それで、ハルサーラ様。ご承諾頂けると」


 「あれぇぇぇ?僕の件わぁぁ」


 「はい。契約いたしましょう」


 「あぁぁぁハルサーラ様ぁぁぁ」


 「お母様。裏に商隊部の寝具などの入れ替え品が届きました。総勢十五名。清掃担当十名。改築員五名」


 「あのぉぉシュカッシュさぁぁぁん。僕居るよねぇ。透明化してる?もしもぉぉし」


 「そちらもご準備がよろしいようで。はい。サインを頂きました。契約成立ですね」


 「木こり様」


 「はい。アルミスさん」


 「少々こちらへ」


 「はい」


 「ここで見ていてください。良からぬ輩が来ましたよ」


 「あのお方ですか」


 「はい。例の伯爵の妻のお相手様です」


 「ああ。そうなんですねぇ。名前までしか知らないんですよねぇぇ」


 「お静かに」


 「はい」




 商人風の装いの優男が背後に三人の同じような男を引き連れ、ハルサーラの前に来て。


 「おやおや。今日なりたての議会長ハルサーラ殿が、もうこのような密会を?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ