表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/106

 侯爵令嬢リノシャイラの協力の意図

 「それでスタッドレースお嬢様。

 あなた方三人の振舞はエウリマデ・リン・ゼウガリー子爵がなさった事と同義ですよ」


 「何処がでしょうか?」


 「他国ですがマウレス・ジルミナ宰相様がお認めになった伯爵のご令嬢を相手に何をなさったのでしょうか。

 店の規則にも従わず、子爵を振りかざし、お茶の時間を台無しに。

 まるでエウリマデ・リン・ゼウガリー子爵がアイファル姫様の器を奪ったかのように。

 そして力ずくで押しのけようとなさった。

 その暴挙は警察が認め、ユーミルナ妃殿下のお耳に


 「「「あ”ぁぁマーガレットお嬢様ぁぁ申し訳ございませんでしたぁぁ」」」


 「下位の爵位のご令嬢がわたくしの名をまたもや叫んだ?

 二度目ですよ。

 わたくしの国では大変な事になりますが?

 ルミアス。抜剣」


 「はっ。

 お前達、今以上に声を上げれば問答無用で切る。

 マウレス・ジルミナ宰相からも許可が出ているぞ」


 「「「うぅぅぅ」」」


 「お嬢様。娘達をお許し願えないでしょうかぁ」


 「許す?

 貴族のお嬢様でないならまだしも、教育を受けて来たのですよね。

 それを子爵のあなたは許すのでしょうか?」


 「も 申し訳ございません」


 「その言葉は理解できかねますが?

 まぁ良いでしょう。考えます。

 ルミアス。収めよ」


 「はっ」


 「次は無い」


 「スタッドレースお嬢様。

 あなた方は、侯爵家のわたくしより遅れていらっしゃった


 「申し訳ございませんでした」


 「そして、混乱を招き、ベル・ユイミナに多大な損害を与えた。

 あなたのお父様はそんな民を何人殺めて来たのでしょうかねぇ」


 「あぁぁお父様ぁぁ」

 「お お許し下さぁぁい」


 「お二人共。自分の番は怖いですか?」


 「「あ”ぁぁ」」


 「ユイミナ店長。ご処分を」


 「はい。

 オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下のご家族。使用人。及びそちらの取り巻きのお方のご家族を含め全員。

 わたくしの母が取り仕切るエマルサーラ商会のベル・ユイミナを含めた各店舗への出禁を宣言いたします。

 取次も含めます。

 こちらをご覧ください」


 「水晶で出来た、真エルファサ教会認定。ケーキ優良店第一号店の盾?」


 「はい。意味は解りますよね」


 「ははぁぁ」


 オレアシンは傅いた姿勢で深々と頭を下げた。


 「この店の立ち位置を知らなくても貴族の階位を振りまき理不尽で横暴な態度。

 貴族でないわたくし達から見ても目に余るお嬢様方の振舞。

 内緒でどうこうしても創世のエルファサ女神様と愛のヴィーナス女神様もお見通し。

 どうなってしまうのでしょうか?」


 「お お許しを」


 「一介のケーキ屋の店長ですよ。

 わたくしにどうこう出来ることでは有りませんよ」


 「その・・罰の内容を」


 「お嬢様?

 お父上が仰いました十分に寛大な処分と思いますが?」


 「その・・態度を


 「貴族の娘のわたくしから見ても横暴の度を越えておりましたものねぇ。

 今更、正せる訳が無い。

 そう仰りたいのでしょうか?

 わたくしも父からお城内でオレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下の処遇を公開して頂きます。

 もちろんわたくしも学校内で公開いたします。

 エルファサ女神様が認めユーミルナ妃殿下がお認めになった処遇です。

 いつぞやのように燃えるでしょうねぇ。今なお続いているようですが。

 スタッドレースお嬢様と取り巻きの今までの生徒や校長も含めた相手に対する目に余る横暴な振る舞いはどのように返って来るのでしょうか?」


 「「「えっ?」」」


 「あらぁ。ご理解が出来ないのかしらぁ。

 いい事。ユイミナ店長は処罰の内容をこう仰ったのですよ。

 貴族にあるまじき横暴な振る舞い。

 出禁となった根源ですよ。


 よろしいですか。

 貴族の子息が威張って往来を歩く時代はとうに終わりを告げていますよ。

 何故なら、創世のエルファサ女神様がご降臨なさって、ベル・ユイミナの店を大切にするならばと、あの噴水の稼働をご許可なさった。

 オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下も謁見の間で既にお聞きですよね。

 アイファウスト・カミミヤ元王子殿下がこの世界に出てて来た事を。

 つまり、アイファウスト・カミミヤ元王子殿下の住みよい環境を整える為に全力で無慈悲にいらっしゃいますよ。

 使徒様や女神様に逆恨みは通用しませんよ。

 あなた方が権威を振りまいて国民を蔑んできたのですからね。悪いのはあなた方。

 そして十年前のあの日以後、王族や貴族はエルファサ女神様の目の敵ですよ。

 ご存じの通り選別は既に始まっていますよ。

 いつまでもわたしは貴族だ。お前は下民だ。と、横暴に振舞っていると女子供関係無く悪は断罪され。


 燃えますよ。


 既にご存じの通りの事態になっています。

 横暴に振舞って来たあなた方を擁護するのは同種の者達だけ。その者も処罰の対象。

 後方のお方達も気を付けないと。

 そこを直さないと創世のエルファサ女神様と愛のヴィーナス女神様のお怒りを買うでしょうねぇ」


 「「「あ”ぁぁぁ」」」


 「オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下も世襲の三世で全くの功績無し。

 で、たかが子爵でかなりおやりになっているようですが、大丈夫でしょうか?」


 「うぅぅぅ」


 「お嬢様と取り巻きを見れば推して知るべしです。

 父もかなぁぁり厳しくご注意をしていましたよねぇ。

 わたくしもスタッドレースお嬢様に事ある毎に言っておりましたが。

 もしかしたらこれが最後の顔見せになるかもしれませんね」


 「あ”ぁぁぁ」

 「何でぇぇぇ」


 「何でぇ?ですかスダットレースお嬢様。

 お父様からお聞きではありませんでしたか?それともお忘れ?

 知らなくても許される蛮行ではありませんよ。

 ここ。ベル・ユイミナはエマルサーラ商会の系列店。

 十年目にして復活した教会のエルファサ女神様が御自ら指名したハルサーラ大司祭と特別司祭アルミス様。

 その長女でありお姉様であるユイミナ様が店長なのですよ」


 「「「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」」」


 「わたくしがその店長のユイミナです。

 オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下。そして後方の方達。即刻、お引き取り下さい」


 「「「「「はいぃぃぃ」」」」」


 蜘蛛の子を散らすように逃げ帰って行った。


 「リノシャイラお嬢様


 「いいのよユイミナ店長。

 わたくしも胸の痞えが取れてスッキリ致しました。

 エルファサ女神様とヴィーナス女神様がお認めになる程、更に美味しくなったのでしょ。

 順番を待って楽しみにしていますよ」


 「はい。ありがとうございます」


 「リノシャイラお嬢様。いつも


 「モリッツ」


 「はい。今しばらくお待ちくださいませ」


 「はい。元の位置に戻りますよ」


 「「「はい」」」


 「サクラ様。お耳を」


 「はい」


 「オレアシン・タミン・バレシアン子爵一家はお取り潰しの上、十五歳以上は・・・です」


 「理由は?」


 「ユーミルナ妃殿下に父とわたくしが提出した証拠の行先がナーガ橋に届いたようです」


 「そうでしたか・・・って


 「長々と茶番を演じましたが、これもベル・ユイミナを後方に居たご令嬢たちから守るためです。

 噂は広がり、他の貴族や大店も手が出せなくなりますよ」


 「なるほど。凄いですね」


 「サプタミン・ビーシ・チョザイキョク侯爵が長女、リノシャイラと申します。

 アイファウスト・カミミヤ元王子様。今後も良しなに」


 「えぇぇ。はぁぁ。はい。宜しくお願いいたしますリノシャイラお嬢様」


 「フジミヤ様。の方がよろしかった。で、しょうか?」


 「えぇぇ?」


 「内緒ですね」


 「はい。お願いいたします」


 「では・・そうそう、わたくし十七歳。許嫁がおりませんの


 「えぇぇ?」


 「エルファサ女神様は謁見の間で


 「リノシャイラお嬢様ぁ


 「今度お食事でも」


 「承りました。今の件はご内密に」


 「はい。落ち着きましたらご連絡ください」


 「はい」


 「では」


 (はぁぁ。貴族のお嬢様相手。ハルサーラ様にご相談しないとぉ。

 クラウスぅぅ。一人旅が何処かへぇぇ。

 何で初っ端にノルトハン王国の王都にしたかなぁぁ。

 だからねぇクラウスくぅぅん。世直し道中はしないって言ったじゃぁぁんもぉぉ)

 



 色々有ったが総じて大盛況のうちに閉店となった。


 「いやぁぁ。最後のお客がようやく帰ったな」


 「あなた。お客様に失礼ですよ」


 「デービッシュさん凄かったですね。途中参戦で魔法を駆使して」


 「ギリギリでしたよ。冷やしながらの泡立てや生地のコネ。プリンを冷やすのなんか一気にやったら巣穴だらけでした」


 「頂いた在庫が無くなり、途中からわたくしの作ったものをお出ししましたが変わらぬ売れ行きでした」


 「ユイミナさんの腕が元から良かったからですよ」


 「まぁお陰で明日の分が既に二百近くあるからな」


 「午前中頑張りますわよ。あなた」


 厨房の間仕切りの奥から。


 「店長。お席のご予約だけで五十組ですが?」


 「モリッツぅぅ受けすぎぃぃ」


 「ついうれっしくって。てへ」


 「「今夜は徹夜ぁぁ」」


 「ユイミナ。何人欲しいの?」


 「あ あとお店が四人。厨房に二人。会計に一人」


 「配達要員もいた方がいいんじゃない?」


 「お母様どうして?」


 「お妃様が必ず明日の午前中に宣伝しちゃうわよ。

 創世の女神様と愛の女神様がご降臨なさったケーキ屋さんで」


 「足らないんじゃないのか?」


 「デービッシュさん。モリッツさんのアイデア。【配達ご予約承り中】の看板を出せば大丈夫ですよ。数量限定で」


 「その手があったかぁ。モリッツでかしたぁぁ」


 「モリッツは凄いわね」


 「えへ」


 「じゃぁ七人と二人ぐらい見繕って明日の朝、出勤させるわ。

 サクラ、メイドの服は売って頂ける?」


 「新装開店祝いのわたくしからのプレゼント。

 もう裏の更衣室のロッカーにサクラ、チェルッシュさんデザインのものを用意してあります。体形に自動で合わせますので問題はありません」


 「お代は?」


 「販売は禁止です」


 「ありがとうございます」


 「お待たせいたしました。デービッシュさんがぶっ壊した分です。

 頂きましょう」


 「モリッツ。その言い方は無いだろう。今日初めてのものばかりだったんだぞ」


 「にしてもやらかしましたね」


 「義母上ぇぇぇ」


 「この人数に対しては、少し多いですねぇぇ。ユイミナさん。代金はお支払いします。僕が半分頂いても?」


 「はい。代金は要りません。お持ちください」


 「スカッシュさん。これを持ってシャラースシスターの元に。

 明日のおやつです。

 崩れていますので上手に言い訳してきてください」


 「ありがとぉぉ木こりくぅぅん。絶対みんな喜ぶ。二日分はあるかな」


 「あちらに大型保冷庫が在ります。そちらで保管してください」


 「ありがとぉぉ」


 「ユイミナさん。サロンの方は大丈夫でしたか?」


 「本日はここと同じように新装開店の為の閉店。

 明日から予約を受け付けて、明後日以降に開店予定にいたしました。

 既に二百名程が殺到したそうです。

 白シャツの子はヴィーナス様の特別認可でお受けしました。

 出て来た白シャツの子を見て余計に凄い事になったようです」


 「良かったわね」


 「はいお母様」


 そのユイミナが立ち上がって。


 「さぁぁ皆さんで頂きますわよぉぉ」


 「木こり様?」


 「はい。チェルッシュさん」


 「お買い物はいいの?」


 「えっ?あぁぁ真っ暗ぁぁ


 「「「いただきまぁぁす」」」


 「あぁぁ


 「「「美味しぃぃ」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ