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 今度は貴族の我が儘お嬢様

 店の前のルミアスが。


 「お嬢様方。本日はこちらの三組で閉店でございますよ」


 「何を私設兵如きが物を申しているのかしら?」


 「頭が高いですわよ。会釈位も出来ないとか、主の底が知れるわね。スタッドレースお嬢様」


 「下民に用は無いわ。店に入るわよ」


 「お待ちください」


 「うるさいわよ。

 店内の下民共今直ぐ立ち去りなさい」


 「ルミアス。下がりなさい。

 わたくしの護衛が何か致しましたか?」


 「あなたがこの下賎の主かしら?」


 「そうですが何か?」


 「店の入り口に立ちはだかるとは良い度胸ですわね」


 「それで?」


 「おどきなさい」


 「ベル・ユイミナの臨時警備員のルミアスが閉店の告知を致しましたよ。

 意味が・・あぁ失礼。言葉が理解できないかしら?」


 「なっ何ですってぇぇ」


 「そうではなくって?

 無理に入店をなさろうとしておりますが?」


 「あんた何処のお嬢か知らないけど、お嬢様に逆らうと、とんでもない事になるよ」


 「それで?」


 「いいのかい」


 「何が?」


 「このお方のお父上様は子爵様だよ。あんた死ぬよ」


 「さようでございますか。それで?」


 「下民には貴族の階位も理解できなようですわね。

 もう一度言いますわよ。

 わたくしのお父上はここノルトハン王国。オレアシン・タミン・バレシアン子爵と言うの。お解り?」


 「それそれは高貴なお方のお嬢様で」


 「判ったのなら、おどきなさい」


 「お引き取り下さい」


 「お前達。この下民を強制排除」


 「「「はい」」」


 「ルミアス」


 「はい。スタッドレースお嬢様こちらをご覧ください。

 御名前を声に出した時点で不敬罪ですよ」


 「えっ?マウレス・ジルミナ宰相様のノルトハン王国滞在許可書?」


 「はい」


 「「マーガレットお嬢様ぁぁ」」


 「はい。他国ではございますが伯爵の娘でございます」


 「そうであったとしても、この店に何ら関係が


 「あなたがあそこで美味しいお茶を召し上がっていたら、お店の前で騒ぎが。

 そちらの取り巻きはどのようになさいますかしら?」


 「うっ」


 「それで、あの馬車はどちらの馬車でしょうか?かなり慌てていらっしゃるようですが?」


 「お父様?」


 「あなたのお父様、飛び降りましたわよ」


 「バカ者ぉぉ」


 「お父様。このバカ者が


 「バカ者はお前だぁぁ」


 そう言ってマーガレットの前に跪いた。

 それを見たスタッドレースは。


 「へっ?」


 この間に続々と馬車が停まり貴族の令嬢たちが降りて来た。

 そしてマーガレットに傅くスタッドレースの父親を見て驚愕していた。


 「異国の伯爵ご令嬢。

 わたくしは、ここノルトハン王国。オレアシン・タミン・バレシアン子爵と申します。

 この度の娘のご無礼をお許しください」


 「お父様?」


 「オレアシン・タミン・バレシアン子爵様。

 そちらのお二人はお知り合いかしら?」


 「はい。娘の友人でございます」


 「その二人、伯爵の娘であるわたくしの名を大声で叫びましたよ。

 いかがいたしましょうか?」


 「も 申し訳ございません


 「オレアシン・タミン・バレシアン子爵様はその場合はお許しになると?」


 「いえ。しかし、


 「マウレス・ジルミナ宰相様にご采配を委ねましょうか?」


 「はぁぁぁ?幾ら伯爵令嬢と言え、そこまでの権限は


 「バカ者がぁぁ控えぬかぁぁ。

 警官を通じ、こちらの伯爵令嬢様の件でユーミルナ妃殿下に報告があった。

 お前達がベル・ユイミナで騒ぎを起こしていると。

 そして王城に居たわたくしにユーミルナ妃殿下が直接・・・


 口ごもったオレアシンに聞き耳を立てた令嬢たち。

 オレアシンはいきなり野太い大き目の声で。


 「こちらのご令嬢はガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵の直接のご友人で、マウレス・ジルミナ宰相様とも直接お話しが出来るお方だ。

 そしてユーミルナ妃殿下が懇意になさっておられる


 「「「「えぇぇぇ?」」」」


 「大変申し訳ございませんでした。

 何卒。何卒、寛大なご処分を」


 「全てをマウレス・ジルミナ宰相様に一任致します」


 「畏まりました。

 そしてここベル・ユイミナはノネジット・ファウス・ノルトハン国王陛下並びにユーミルナ妃殿下並びにアイファル姫様の御用達の指定を受け、庇護下に在る。

 騒ぎを起こせば重刑もありうるのだ」


 「「「「えぇぇぇ?」」」」


 「ベル・ユイミナの店長。ユイミナ様はどちらに?」


 「わたくしが店長のユイミナでございます」


 「娘達が大変失礼を致しました。

 それでユーミルナ妃殿下より言付けを賜っております。

 こちらでございます」


 「これは?」


 「ユーミルナ妃殿下並びにアイファル姫様の指定店の盾と壁掛けでございます。お納めください」


 「では確かに受け取りました」


 「娘達に寛大なご処分を」


 「良いのですか?マーガレットお嬢様の方もございますよ」


 「はい。重複の刑となります。

 そしてユーミルナ妃殿下からユイミナ店長の処分を甘んじて受けるようにと。

 もし、いただけなければご令嬢の件も含め、ユーミルナ妃殿下の命により爵位剥奪。しょ・・処刑も含めた処分が下ります。

 どうか寛大なご処分を」


 スタッドレース達は驚き。


 「「「爵位の剥奪?処刑?」」」


 「お前達」


 「「「はっはい」」」


 スタッドレース達全員が慌てて傅いた。


 「判りました。

 オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下。こちらの看板をご覧ください」


 「はい」


 「ここに【店内でお嬢様の優雅なひとときを】と、有ります。

 これは貴族様のお嬢様も含まれています。

 こちらにお越しのお客様は優雅にお過ごしの、そんなお嬢様に憧れていらっしゃっているのですよ。

 オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下のご令嬢からはその片鱗すら見受けられませんでした。

 そちらの後方に集まったご令嬢もそうです。何ですか店の前に馬車を無秩序に並べて、騒がしい。

 スタッドレースお嬢様が我々に向け発した下民のこちらのお方達の方が余程貴族や商家のお嬢様と言うに相応しいですよ。

 あなた方全員、新装開店早々にわたくしの店の品位を貶めてくれましたね。

 ユーミルナ妃殿下に異議を申し立て、損害賠償請求も辞さない覚悟ですよ


 「「「「お許しくださいぃぃ」」」」」


 「モリッツ」


 「はい。オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下。その姿勢のまま。その姿勢のままですよ。首だけ横を向けてください」


 「はぁぁ・・・あぁぁぁぁ」


 「お久しぶりでございますね。オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下。スタッドレースお嬢様」


 「サプタミン侯爵閣下の」


 「サプタミン・ビーシ・チョザイキョク侯爵が長女、リノシャイラでございます。

 モリッツから新装開店とお聞きして参りましたのよ。

 遅かったので後ろから二番目に侍女達と並んでおりましたの。

 スタッドレースお嬢様があまりに我が儘を仰っていらしたので前に出ようと致しましたら、こちらのサクラ様に止められました。

 こちらのサクラ様。

 愛の女神。ヴィーナス様がご友人でいらっしゃいましたわよ」


 「「「「えぇぇぇ?」」」」


 「あなた方は遅れていらっしゃったのでご存じ無いかもしれませんが、つい先程まで凄いお方がいらしていたのですよ。

 ユーミルナ妃殿下。アイファル姫様。ハルサーラ大司祭。ガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵のイサラーサ奥様。

 ネイナとウイール。

 エウマイアーギルド長様。

 そしてエルファサ女神様がこちらの席でケーキをご堪能されていました」


 「「「「えぇぇぇ?」」」」


 「そしてサクラ様はヴィーナス女神様のご友人。

 その様なお店に怒鳴り込みとはいい度胸をなさっていますわね、スタッドレースお嬢様」


 「し 知らなかったのです」


 「それで済むと真剣にお思いなのでしょうか?

 こちらの伯爵令嬢のマーガレットお嬢様の事もご存じだった。

 子爵令嬢の立場で、大変な事になりましたよ。お可愛そうに」


 「あ”ぁぁあ”ぁぁ」


 「そうそう、ここを買い取ると息巻いて駆け付けたエウリマデ・リン・ゼウガリー子爵がそちらの方達に妾になれと暴言。ご存じ無かったようですよ。

 そして狼藉を働いた上にアイファル姫様がお召し上がり中の器を取り上げる暴挙


 「「「「え”ぇぇ?」」」」


 「さらに、皆様がお名前と身分を明かした後に、その器をアイファル姫様の背中に投げつける暴行


 「むちゃくちゃだぁぁ」

 「その様な事をぉぉ?」

 「お父様ぁなんてことをぉぉ」


 「アイファル姫様は痛さで悲鳴をお上げになりました。そしてそのドレスはべっとりと汚れましたよ。

 ユーミルナ妃殿下は即刻、王家への反逆罪を適用


 「なんだとぉ」

 「「「「何ですってぇぇ」」」」


 「良かったですねぇ。器が割れていれば凶器。

 もしかすれば剣であったかもしれません


 「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」


 「当たり所が悪ければ最悪の事態に


 「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」


 「反逆罪の適用は間違いではありませんよね。

 そして、例え相手がどのような身分に居ようが、食べている器までは取り上げませんわよねぇ。

 それがましてや子供の物を。

 ユーミルナ妃殿下がお怒りになるのも納得できますわねぇ。取り巻きのサッスネスお嬢様。

 お父上がとんだことに


 「あ”ぁぁあ”ぁぁ


 「恐らく打ち首は免れないでしょうね」


 「そんなぁぁ」

 「「「あ”ぁぁぁ」」」


 「そして今頃はお屋敷も含め近衛兵が家宅捜索


 「そんなぁぁ

 「まさかそんな事にぃ」


 「平気な顔で器を取り上げましたもの。

 日常的になさっていたのでしょう。そうでなければ容易く出る行動ではありませんからねぇ。

 エウマイアーギルド長様が日常の行動をユーミルナ妃殿下にご報告なさっていましたよ」


 「そんなぁぁ」

 「ギルド長が貴族の事を直訴だとぉぉ」


 「オレアシン・タミン・バレシアン子爵閣下。

 目撃者が多数いる中。

 そしてヴィーナス女神様のご友人のサクラ様がいらっしゃる前で。

 侯爵令嬢のわたくしが嘘を言っていると思いますか?」


 「い・・え」

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