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 噴水が稼働して王妃も交えて歓談のひと時

 店の前に大きなパラソルの五組ほどのオープンカフェが出来上がった。

 そこに既に座るエルファサ達の前に騎馬隊の護衛を伴った馬車が到着した。

 そしてエルファサは馬車から降りてきた女性に向かって。


 「おお来たか。ユーミルナ妃殿下。アイファル姫」


 「侍従長のハウラサでございます」


 「ご苦労だな」


 「滅相もございません」


 「ネイナとウイール。そこに座ると良い。で、そちが?」


 「ガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵の妻で二人の母。イサラーサと申します。以後お見知りおきを」


 「エルファサだ。宜しくな」


 「はい。この度はお招きに預かり光栄に存じます」


 「硬い挨拶は抜きにしよう。ネイナ達が食べたくて、うずうずしているぞ」


 「「エルファサ様ぁぁ」」


 「サクラ。全ての種類を」


 「はい。ただ今」


 「アイファル姫はリンゴジュースでいいか?」


 「のんだことがありませんがのんでみたいです」


 「おぉぉ良い答え方だな。頼む」


 「はい」


 「それとアイファル姫用の椅子も」


 「こちらです」


 「母上」


 「はいここへ座りますよ」


 「はい」


 「近衛騎士隊第三隊長サジタリエ・リートッシュ」


 「はっユーミルナ妃殿下」


 「あなた以外は散会警備」


 「了解」




 「お待たせいたしました。全ての種類とアイスティー。こちらのポットは温かい紅茶になります。

 わたくしサクラと」


 「モリッツでございます。こちらの給仕を務めさせて頂きます」


 「物怖じしないその所作。モリッツさんは何処かの給仕を?」


 「昔、こちらの店の配達もしておりました。

 その時貴族からの注文も多く、給仕の手伝いもしておりました」


 「素晴らしいわね。わたくしの元に欲しいですわねハウラサ」


 「はい。既に基本的な所作言動と姿勢は出来ております。即戦力になります」


 「申し訳ございません。わたくしは店長の元を離れたくはございません。お許しの程を」


 「ごめんなさいね。そんなつもりでは無かったのよ。ただ、良い子も市井にもいたのねと言うお話しよ」


 「意見を申し上げ、申し訳ございませんでした」


 「構わないわ。紅茶をいただけるかしら」


 「はい」


 「ユーミルナ。本気であっただろう」


 「少し?」


 「モリッツ。近寄ると連れて行かれるぞ」


 「もう。エルファサ様ぁぁ


 「あぁぁぁはっはっは」


 「アイファル姫様はプリンでございますよ」


 「さくらおねえちゃんぷでぃん(プリン)?」


 「はい。美味しいですよ」


 「まふ


 「サクラ。姫はよほど気に入ったようだな。言葉も出ぬと」


 「美味しい時はそうなりますよ」


 「あら?この紅茶は・・エルファサ様がご提供を?」


 「いいや。ユーミルナは判るのか?」


 「この茶葉は十年前に製法が途絶えたトウショウ王国の南の沿岸地域。セルロン産の茶葉?」


 「サクラ」


 「はい。さすがですユーミルナ妃殿下」


 「もう生産が出来ないはずでは?」


 「こちらベル・ユイミナでしたらいつでもご提供できますよ」


 「だから少々お高い?」


 「それも在りますが、模倣店舗が必ずできます。

 値段を格安にして対抗しようとなさるお店が必ず出てくるでしょう。

 しかし、今この紅茶の風味を味わったお客様が他店舗で味わった時にどのような反応になるのでしょうか」


 「なるほど」


 「こちらのケーキに使用しております小麦やミルク、タマゴに至るまでエルファサ様による厳選された素材を使用しています。

 製法も他店舗では絶対に味わうことが出来ない風味と食感を出しております。

 エルファサ様が十年以上ご堪能なさった味わいでございますよ」


 「まさか」


 「サチが献上していてくれたケーキとほぼ同格だ」


 「そのような高級品。高貴なケーキをわたくし達が?」


 「さようでございます。

 格安店舗や模造でできる品ではありません。

 ベル・ユイミナはお客様を選別します。

 品のある所作言動に美味しさと雰囲気を楽しんでいただけるお方。

 お値段が高いと避けるお方もいらっしゃるでしょう。

 食べたいけどお値段が。

 そのようなお方たちはベル・ユイミナに来れるようにお仕事を頑張っていただきたいと思います。

 ベル・ユイミナは品格を重んじる高級ケーキ屋さんです。

 エルファサ女神様を唸らせたケーキの数々をユーミルナ妃殿下も皆様もお召し上がりください」


 「「「「はい」」」」


 「それとムースとプリン。アイスクリームは他では許可を出さん。

 エマルサーラ商会にエコ贔屓だ」


 「大陸で随一?」


 「ああ。客が集まるぞ」


 「なるほど。それでよろしいかと。

 とても美味しいですわぁぁ」


 「サクラ」


 「はい」


 「噴水の周りが寂しい。許可する」


 「はい。出しました」


 「あぁぁぁ噴水がうごいたぁぁぁぁ「奇麗ぃぃぃ「十年ぶりだぁぁ」


 「どうだ。アイファル姫」


 「うんすいもいいでしゅがぷでぃん(プリン)がおひいれふ」


 「そうかそうか。まいったなぁぁ。プリン負けたぞサクラ」


 「五歳ですよ。花より団子です」


 「出せるか?」


 「桜。白。ヨモギの三色団子でしたら」


 「アイファル姫は危険だからな」


 「ぷでぃんはあげません。あぶなくないです」


 「「「「「お可愛ぃ」」」」」


 「では大きいお方様に。積み上げます」


 「あぁぁ見た事あるぅぅ」


 「ネイナは知っておったか?」


 「はい。昔絵本で。えぇぇっとぉぉはなさかじいさん?」


 「よく覚えておったな」


 「サチ妃殿下がお書きになった、はなさかじいさん。

 はなさかじいさんが咲かせた桜の木の下で、おばあさんが作った団子を殿様が美味しそうに食べているのを覚えています。

 食べてみたかったぁぁ」


 「食するがいい。ただ、絶対に慌てるな。ゆっくり噛んで味わえ」


 「おいひぃぃ。もちもちぃぃ。アイファル姫様は危険の意味が解かりました」


 「慌てるなよ」


 「はい。ピンクが美味しい」


 「良かったな」


 ネイナが。


 「サクラさん。この緑は?」


 「ヨモギと言う草です。薬草なんですよ」


 「食べた事が無いですが、独特の風味が美味しい。

 殿様がご満悦なのが判りました。もう一本」


 「ありがとうございます」


 ウイールが。


 「ピンクは?」


 「エルファサ様が大好きなサクラの香りでございます。

 はなさかじいさんが咲かせたあの桜ですよ」


 「「いい香りぃ。美味しぃぃ」」


 イサラーサが。


 「サクラさん。この大陸に桜の木は在るのでしょうか。

 イサム陛下とサチ妃殿下のお造りになった金貨やエルファサ女神様の御旗の象徴にもなっていますが、現物を見た事が御座いません」


 「エルファサ様」


 「そうだなぁ。近日中に存在できるように考えようか」


 「「「「お願いいたします」」」」


 「ユーミルナ妃殿下もか?」


 「是非に」


 「判った」

 サクラ。店の中も満席か?」


 「はい。在庫が足りるか心配になって来ました」


 「また明日でも良いではないか」


 「はい」


 「ハルサーラどうだ」


 「とても嬉しいですわ。娘の店が流行っている所を見るのも」


 「やっと来たわねギルド長」


 「遅くなりまして、申し訳ございません。ユーミルナ王妃様」


 「そちらは?」


 「秘書のガトリング。と、申します。以後お見知りおきを」


 「エウマイアーギルド長。フジミヤの友人となったガトリング。

 わたくしがエルファサだ。よろしくな。傅くな。今はいい」


 「「はい。よろしくお願いいたします」」


 ユーミルナが。


 「あぁちょっと待ってね。

 近衛騎士隊第三隊長サジタリエ・リートッシュ」


 「はっ」


 「噴水の向こうから、バカが馬車で乗り付けようとしている。

 面白くなるまで放置」


 「了解。五人ここへ」


 「はい」


 「全員で路地の方へ行く」


 「はっ」


 「ユーミルナ。やる気満々だな」


 「エルファサ様も期待に満ちた笑顔ですわ」


 「お手並み拝見と行こう」


 「はい」

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