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 ホワイトゴッドネス。Bランク昇格の快挙

 ポートハウスの朝食後。

 露店や店が開店し、ユイミナ。チェルッシュとジムで街に繰り出し、大はしゃぎの木こり君。


 (滅茶苦茶楽しいけど、滅茶苦茶視線が気になる)


 キョロキョロオドオドする木こりをチェルッシュが見て。


 「木こりさん。気にしないでいいですよ。私達冒険者が護衛をしていると見れば近寄っては来ません。

 ごゆっくりお買い物を楽しんでください」


 ジムが。


 「マジで女性の視線。特に木こり様と同世代の女の子の視線が気になりますねぇ。

 立ち止まったり、物陰から覗くように。何ですかこれ。

 得物を見付けた獣のようですよ」


 「もうジムは。

 心配はいりませんよ」


 「はい。ありがとうございます。でも、何処にも冒険の印は有りませんよ」


 「そこは経験と風貌で解りますねぇ。しょっちゅう見ていますから」


 「なるほどぉぉ。あっ。焼き鳥屋さんです。一本づつ食べませんか?」


 「あそこも悪く無いんですが庶民向けです。冒険者には味も薄く、量も少々少ない。お店の前を見ると判ります。

 お客さんは全員、町の子です」


 「なるほどぉぉ。そう言う見分け方もあるんですねぇ」


 「それに私達が行くと逆に迷惑になるんです。

 頼みごとが有るとこびへつらって来るんですがそれ以外の時は関わりたく無いって感じですね」


 「怖がられている?」


 「一部には横暴な冒険者も居ますから。

 でも、少しは減るかも。

 夕べここのギルドで楽しい事をなさったと、聞いていますよぉぉ」


 「あぁぁ言わないでくださいぃ」


 「はいはい」


 「そう言えば喫茶店は?」


 「昔、トウショウ王国の都には在りました。それこそ一店舗目が開店して一年で全てなくなりました」


 「コーヒーのお味は?」


 「知らないです。緑茶と紅茶だけです」


 「ユイミナさん」


 「はい」


 「コーヒーを知る人は?」


 「トウショウ王国で短期間でしたから冒険者の方々は判りませんが、このノルトハン王国ではほぼゼロです。

 その後は消滅」


 「全く?」


 「はい」


 「ユイミナさんのお店でケーキを食べる事は?」


 「致しておりません。店舗で販売のみです。

 他もそうです。

 飲食できるのは酒場と食堂。露天です」


 「何か規制でも?」


 「いえ。ギルドと税務署に出店許可と出店登録すれば合法な物であれば問題無く経営できますよ」


 「ユイミナさんのお店は遠いですか?」


 「あと少し先です。

 ですが色々有りまして・・


 「なるほど。

 スカイメインやポートハウス。ですか?」


 「は  い」


 「見に行ってもいいですか?」


 「それは構いませんが、見てみます?」


 「いいですか?」


 「勿論です。こちらです」


 お勉強にも一生懸命の木こり君。




 ポートハウスでは引っ越しの準備に入った。

 ギルドにクエスト完了報告のために向かったガーリッシュ達に同行するオルデイルは借金返済の手続きだった。

 ギルドに入りオルデイルは事務所の方へ入って行き、ガーリッシュ達は受付へ。


 受付前のガーリッシュ達。


 「ガーリッシュさん。おはようございます。今日はお早いですねぇ」


 「まぁな。おはようユリナ」


 「大変だったそうで、ご苦労様でした。確認取れました。こちらが報酬の金貨二十二枚です」


 「ユリナちゃん。おかしくありませんかね?」


 「足りませんか?そうなっていますが」


 「ユリナ。逆。逆なの。多すぎ。フジ君の報酬は金貨二枚よ」


 「はい。金貨二枚がクエスト完了報酬。

 賊の討伐報酬が警察から出ています。金貨二十枚。計二十二枚ですが?」


 「いつ決まった」


 「つい今朝がた。

 これが署長のサイン入り感謝状です」


 「何で感謝状まで?」


 「さぁ?初めて見ましたね」


 「判った。もらっておく。おいっカード」


 「あいよ「おうっ「はぁい」




 「皆さん四人共Bランクへ昇進です。おめでとうございます」


 「「「「はぁぁぁ?」」」」


 ギルド内の冒険者がざわつき始め。


 「おいおいなにごとだぁぁ「ガーリッシュ達が雄叫び上げてんぞぉ」


 フジミヤを笑った十三人も含め、全ての冒険者が受付前に集まり始めた。


 「お返しします。当然ですよ。護衛任務で賊討伐。今までの蓄積が有ってランクアップです」


 「夢かしら?」


 シュベッタはそう言いながら横に居たエリンキの左頬をつねった。


 「姉ごぉぉなんで僕のほっぺで試すのぉぉ。痛いよぉ」


 「夢じゃないのね」


 「痛ったぁぁ。なんでドンコじゃないの?」


 「エリンキは。回復魔法持ち。痛くない」


 「ドンコ酷いぃ。痛いのは痛いの。痛くなかったら夢になっちゃうし。

 で、ユリナさん。真面目に本当?」


 「ギルドカードに不正は出来ません。

 それで、皆さん。後ろの掲示板をご覧ください。

 正真正銘ノルトハン王国ギルド初。他の三か国でも初のパーティーメンバー四人全員のBランク同時昇進


 ギルド内四十人程の冒険者が。


 「「「「すげぇぇぇ」」」」


 「メンバー交代無しの四人全員がBランクのパーティー、ホワイトゴッドネスです」


 「「「「うおぉぉぉぉ」」」」


 「それとBランク同時昇進とは別でノルトハン王国。ノネジット・ファウス・ノルトハン国王陛下から今までの功績を称え、謁見の間で表彰され金一封が授与されます。

 金貨一枚や十枚ではないと思いますよ。恐らくお一人三桁


 四人を含めて


 「「「「えぇぇぇぇ?」」」」

 「「「「金貨三桁ぁぁ」」」」


 雄叫びを上げた。


 「こちら王城への四人分の招待状です。どうぞ。

 それと各国の陛下からも招請状が届いていますのでエウマイアーギルド長と相談してください。

 ホワイトゴッドネスは偉業と快挙を成し遂げました。冒険者の鑑です。おめでとうございます」


 「やっぱ、きのうのあれ「だなぁ「大まじめだったんだぁ」

 「すげぇぇ「ついにやったなぁガーリッシュ「シュベッタぁぁお酒奢ってぇぇ」


 「あんたらが祝ってくれるのかい?」


 「担当受付としてとても嬉しいのですが、後ろがつかえています。お祝いは食堂の方で」


 「あぁすまん。ユリナ。

 で、あの受付何?」


 「ユリナ。

 冒険者辞退受付って何さ」


 「ああ。ホワイトゴッドネスには全く関係の無い受付です。

 全てのギルドに設置が義務付けられた。

 そう思ってください」


 「「へぇぇ」」


 「ああ、それでホワイトゴッドネスには国王陛下やギルドから普通の冒険者では一生かかっても手にできないような多彩な褒賞が用意されています


 「「「「何だってぇぇぇ」」」」


 「エウマイアーギルド長との打ち合わせがあります。

 食堂の方でお待ちください」


 「「「「マジもんだぁぁ」」」」


 「判った。ありがとうユリナ。

 シュベッタ、茶でも飲むか」


 「そうしようか。で、何であいつらクエスト掲示板にいきなり群がった」


 「一気に一枚も無くなったな」


 「どうなってんだぁ?」


 受付はクエスト用紙を持った冒険者で溢れかえり。

 ユリナが立ち上がって。


 「あぁぁ押さないでぇ。順番に受け付けますからぁぁ。みんなぁ手伝ってぇぇ」


 「「「はぁぁい」」」


 「後ろの方ぁこちらへぇ「こちらへもどうぞぉ「こっちもいいですよぉ」


 「おぉぉいクエストはもう無いのかぁぁ」


 「暫くお待ちくださぁぁい、今行きまぁぁす」




 食堂の方で。


 「あぁぁ居た居た」


 「どうしたオルデイル。茶が飲みたいのか?」


 「えぇまぁ。じゃなくて、昨夜の賊討伐で私の借金がちゃら。おつりが来ちゃいました。どうしましょう」


 「どうしましょうって。俺達もその件で泡くってんだよ。

 気付いたらBランクにランクアップ。で、落ち着くために茶を飲んでんの。

 付き合う?」


 「おめでとうございます。ご一緒します」


 言われるままに目の前の椅子に掛け、エリンキがお茶を淹れた。


 「ありがとうございます。ふあぁぁぁ


 シュベッタが。


 「オルデイル。向こうに行くの?」


 「はい決めました。抵当権も何故か白紙になっていまして、あの土地建物をエマルサーラ商会に売りましたので」


 「そう」


 「俺達もやっぱ行くか?東の地へ」


 「あたしはそのつもり」


 「僕も行きます。フジミヤ様に付いて行きたい」


 「俺も問題無い。独り身。リーダーはどうする」


 「一昨日会って来た。商家のボンボンと結婚したんだと」


 「夕べはやけ酒かい」


 「まぁな。いや逆かな?」


 「だから言っただろう。あんな女、冒険者の嫁に相応しくないって。それでも報酬を巻き上げられつつ、三年も付き合ってバカだねぇ。

 どうせ言いたいだろうから聞いてやるよ」


 「万年Cランクに愛想が付きたそうだ。女神様の誓約書で結婚。二度と顔を見せないで言われた。すんげぇ結婚指輪見せて。

 んで、ボンボンはガジサーダ・ド・ファドレ男爵の息が思いっきりかかった商会の次男坊」


 「「「終わったぁぁぁ」」」


 「オルデイル。馬車を借りて東の門まで一か月から二か月近くかかる。

 それで借り賃は凡そ金貨十枚。返すのに返却場所がある町まで戻って三日かかる。そしてまた十日掛けて歩いて戻る。

 俺達四人で行く。同じ場所だ。馬車一両分の荷物なら持って行ける。野宿で良けりゃぁ安くすむ。金貨四枚でどうだろうか?」


 「お願い


 「ガーリッシュ」


 「デービッシュ。二日酔いは?」


 「治ったよ。で、向こうに行くのに転移使って、金貨四枚はダダ安だろう。

 エマルサーラ商会の直接の依頼を受けてくれ」


 「どんな」


 「まぁ待ってくれ」


 「オルデイル様。おはようございます。

 わたくしはエマルサーラ商会の外商商隊部のチキルータです。

 今よりお引越しのお手伝いをご一緒にいたします。

 あちらにはお気に召すかどうか解かりませんが、ポートハウスの倍以上のお宿をご用意しております。

 内装はほぼ同じです。賃貸料につきましてはあちらでご相談を。

 今後、東の地は大きく発展します。

 お二人の経営力を今のまま眠らせておくのは勿体ないとフジミヤ様がご判断なさいました。

 今まで通り、酔い潰れて食堂でごろ寝する冒険者達をお世話してあげてください。

 既にこの都の管理者ノネジット・ファウス・ノルトハン国王の転移許可書こちらと。

 ガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵の移住許可書を頂いております。

 ギルドの方も手続きは終わっております。

 本来でしたら東門の地のご当主様になるのですが国の手続きが追い付ていません。こちらで間違いなく転居可能です」


 「デデデデービッシュ殿?」


 「家で二人が待ってる。行ってやりな。家の護衛が付いているから安心していいぞ。

 チキルータ。後は頼む」


 「畏まりました。では、参りましょう」


 「あのぉぉおぉぉい


 「お前たちは、上でギルド長様がお待ちだ。家の依頼の件で。

 まだ、準備に少々時間が掛かる。後で呼びに来る」


 「おぉぉい待てぇぇ」


 「行っちまったよ」


 「エリンキ。ギルド内偵察」


 「了解」

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