ホワイトゴッドネスとポートハウスを救う計画
フジミヤ達とガルカク兄妹も風呂を済ませ、食事も堪能した。
食堂にポートハウスの三人。
ガルカク兄妹三人。
ガーリッシュのパーティー四人。
フジミヤ一行六人が席に着いた。
「ミレッシュ。母さんはなんだか嬉しいわ。
昔は。と言うとお年寄りみたいに聞こえるけど、十年以上前までは今みたいにとっても沢山の旅人さんや行商の方。冒険者たちがこうやって集まって、夜遅くまでお話ししてたのよ」
「行商さん」
「はい」
「冒険者さん」
「「おうっ」」
「旅人さん」
「はい」
「全員揃っちゃったぁぁ」
「「おうっ」」
「「はい」」
「本当ね。嬉しいわ。
こうやってあなたも皆さんに可愛がってもらっていたのよ。
それでね、朝になるとここでみんな寝ているの。お部屋が有るのに」
「楽しかったと言う事?」
「そう。大変だったけど、それを忘れるくらい楽しかったわ。
今こうして皆さんのお顔を見ながらお話しが出来る日が来るなんて・・・
「姉さん。ハンカチ」
「ありがとう。シュベッタ」
「いいえ。で、フジ君。話しは?」
「僕の真後ろ。屋根の上と軒下」
「いるねぇ。中々の手練れで隠蔽の熟練者だね。カスミナ。見えるかい」
「完璧に見えていますよ。一般人だと全く見えないはず」
「フジ君。背中向けて矢でも飛んで来たらどうするんだい?」
「今この宿全体に僕の結界魔法が張ってあります。ドラゴンのブレスでも壊れません」
「そういやぁいきなりAランクだったね」
「えぇまぁ。その話しは後です。
で、さきほどシュベッタさんが仰ったガジサーダ・ド・ファドレ男爵。
やはりこのポートハウスを裏で手引きして狙っていました。
オルデイルさんを襲っていたのもその配下です。
貴族の地位を利用して巧妙に情報を操作していたようです。
それでガジサーダ・ド・ファドレ男爵様はと言うと。
既にお城の地下牢に居ます。屋敷は近衛兵達が包囲して家宅捜査中」
「えぇぇなんで?」
「昼間のスカイメインでの騒ぎを知っていますか?」
「あぁ詳しくは知らないな」
「簡単に言いますが、ガジサーダ・ド・ファドレ男爵の傘下のイギノット商会の頭取でホラノベール・アジキが他国の貴族相手にド派手にやらかし近衛兵達に連行された。
手引きしたのはガジサーダ・ド・ファドレ男爵だ。
と、聞いてもいない事までをユーミルナ妃殿下に大暴露。
スカイメインの権利を手に入れる為、ギルドの銀行部まで巻き込んでいた。
で、どうでしょうか?」
「じゃぁなにかい。今日一日で都から悪党が二人も消えたのかい?」
「正確に言えば二組織ですね。今、近衛兵と警察の手が領地まで伸びています」
「「「「いやっほぉぉぉ」」」」
「なぁ。その正義の味方の立役者は誰なんだい。お礼が言いたいよ」
「「ああそうだ」」
「目の前にいらっしゃいますよ。ハルサーラ様です」
一瞬でガーリッシュ達が傅き。
「ハルサーラ様。この度は
「「「「「ありがとうございました」」」」」
(やっぱかっけぇぇぇ)
「席にお着きなさい。恥ずかしいわ」
「はっ」
「で、ですね。シュベッタさんの仰った脅威の片方は無くなりました」
「姉さん良かったですね」
「ハルサーラ。ありがとう」
「いいのよ。フジミヤ君。続きを」
「はい。ヤブヤのドラ息子もそれを知っている。
貴族相手に勝ち目が無い勝負だった。しかし、敵は消えた。チャンス到来。
見張りを付け、慎重に行く矢先、Cランクパーティー、ホワイトゴッドネスが客では無く護衛で現れた。
そう言えば、ガーリッシュさん。ホワイトゴッドネスはどこで聞いたんです?」
「昔、トウショウ王国で流行ったって。あぁホワイトとゴッドネスは別で。なぁんかゴロがいいんでくっ付けてパーティーに付けちまった。
こいつらも気に入ってるが意味は解らねぇな。まぁ悪くねぇだろう。ってことで」
「フジミヤ様は判るの?」
「はいハルサーラ様。
意味を言う前に確認なんですが、ホワイトゴッドネスの皆さんはエルファサ女神様の事をどう思っていらっしゃいますか?」
「えらく突然だな。そりゃ俺達冒険者は創世のエルファサ女神様の魔法の使用許可を貰って冒険者を稼業としている。
お前も当然知っているよな」
「はい」
「十年前に創世のエルファサ女神様はイサム陛下とサチ妃殿下の件で地上に対してお怒りになった。当然だ。
しかし、俺達冒険者から仕事は奪わなかった。一部の者達は恨みも有るだろう。だが、それが事実だ。
俺達の仕事。そして正規のギルドを残して頂いた。
そして・・・そうだ、お前は小さかっただろうから知らないだろうけど、今から言う事は持論だぞ。だが、この三人も同じ認識だ。
いいか。あの十年前。創世のエルファサ女神様は魔法の一部を奪った。
誰からだと思う。魔法が使えるのが創世のエルファサ女神様の御力だと感謝しなかった奴ら。それを子供に伝えていなかった者達。その当時の十五歳以上だ。
ハルサーラ様はどう思う」
「言われて気付きましたよ。その考え方は間違っていないと思う」
「デービッシュ殿も特殊な能力が残ったままだろう」
「ああ。何も変わってはいないな」
「あんた達はずっと今も感謝しているからな。
十年前はこいつらとはバラバラだったがこいつらも魔法が使える事に感謝していたそうだ。
で、そうでない奴らは魔法が消えた。エセ教会がいい例だ。
それで創世のエルファサ女神様の事をどう思っているか?
俺達四人はAランクとなったフジミヤ。お前に今から先輩として怒りを込めて一言いう。
Aランクだからこそ言っておく。それもこれからのお前の為だ。いいな」
「はい。お願いいたします」
「「「「創世のエルファサ女神様だ。公の場では可能な限り【創世の】を付けろ」」」」
「はい。以後、気を付けます。ありがとうございました先輩方」
「「「「良し。座れ」」」」
「はい」
「簡単に理由を言っておく。
今の冒険者ギルドはイサム陛下とサチ妃殿下が魔王戦の最中から考えていた構想が現実になった。
それは戦いながら。休憩しながら。食事をしながら。寝る間も惜しんでお考えになったシステム。
そして今俺達が何の苦労もせずにそのシステムに乗っかて稼がさせてもらっている。イサム陛下とサチ妃殿下に銅貨一枚も支払わずにだ。何も手伝う事も無くだ。
そして元から在ったギルドがより良くなるのであれば。
創世のエルファサ女神様の思う仕事の手助けをしてくれるのならと、この世界をお造りになった創世のエルファサ女神様がご許可した。
いいか。創世のエルファサ女神様がこの世界を。俺達を創造なさったのだからな。俺達人間からすれば最高位の神様だ。
解かったか」
「はい。はい」
「そんに泣くほど怖かったか?」
「あんたの顔が怖かったんだよ。
少しきつく言い過ぎちまったかね。でも、フジ君がAランク冒険者として生きてい行くためには必要な事なんだ。
冒険者である以上。そうでなくてもイサム陛下とサチ妃殿下。創世のエルファサ女神様への感謝を忘れちゃいけないよ」
「はい。はい」
「なんてキラキラした奇麗な涙なんだい。いい子だね。本当にいい子だね」
「ありがとうございます」
「あたし達の創世のエルファサ女神様への気持ちが解ったかい?」
「はい」
「お茶を飲んで落ち着いたらホワイトゴッドネスの意味を教えてくれるかい?」
「はい」
「大変失礼いたしました。
それでホワイトは色の白。純白でもいいですね。で、ゴッドネスわぁぁ。女神様の事です」
「「えぇぇぇ?」」
「純白の女神様?」
「はい。僕も創世のエルファサ女神様の事は大好きです。とてもいい響きです。皆さん言いません?オウマイゴッドって」
「あぁたまぁぁに使っている奴いるなぁ」
「やらかしたぁぁなんでぇぇ神さまぁぁ。って感じです。ゴッドは男の神様。ゴッドネスは女神様です」
「凄いわガーリッシュ。褒めてあげるわよ」
「ハルサーラ様に褒められると照れるなぁ」
「ホワイトゴッドネス。皆さんにピッタリのパーティー名だと思います」
「「「「ありがとう」」」」
「因みに。わたくしとフジミヤ君。スカッシュとアルミスがパーティーで
「「「「えぇぇぇ?」」」」
「パーティー名は【暁のエマルミューズ】。意味は。
十年の目覚めとそれをお手伝いするエマルサーラ商会。見守って下さる女神様。よ。
色々疑問は有るでしょうけど、追々判って来るわ」
「何かすげぇ。名付け親は?」
「フジミヤ君」
「お前凄いなぁ」
「ありがとうございます。
それで話しを戻しますね。ギルドのクエストに無かったポートハウスの護衛依頼。
仲がいい知り合いでも料金がお高いCランクの四人。
ドラ息子君は大混乱。で、今外で遠巻きに監視」
シュベッタがせかすように。
「経緯は判ったよ。これからどうすんのさ。売るほど金が有るならいいけど」
「まぁありますが
「えぇぇ?」
「長期戦は精神衛生上よくありません。ミレッシュちゃんが安心してお買い物にも行けません」
「はい。時々、怖いおじさん達が付いてきます」
「やっぱり許せませんね。
僕達も明日には都を出なければなりません。
ですから今夜決着を付けます。ヤブヤをぶっ潰します。僕はすっごく怒っていますので。プンプン」
「お兄ちゃん怖くないよぉぉ
「だなぁぁ。方法は?」
「ミレッシュちゃんとお父さんとお母さんの協力が不可欠です。
先程伺いました抵当権の件も含めてお力を貸して頂けるなら、全てを解消させます。
そして半永久的にこことミレッシュちゃんを狙う輩は現れません。
いかがいたしますか?」
「具体的には何をすればいいのさ。それ次第だろうよ」
「具体的に話します。少々近くへ」




