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 アイファウストを慕うお友達が出来る

 「ただいまぁ」


 「ご苦労様でした。

 それで皆さん。

 今日今のこの機会に冒険者ギルドの規律をもう一度正します。

 冒険者の義務を果たせず、死にたくない者。規律を守れないものは即刻辞退なさい。明日より受け付けます。

 これはわたくしの権限で全ギルドに通達します。王命でもありますよ。逆らえば処刑一択ですからね。

 先程のフジミヤ君の様に甘い処置では済ませんよ。

 そしてここの七十名の冒険者諸君。職員。一般の見物人。今見聞きした事は特級の極秘案件。許可有るまで他言無用。

 既に冒険者の規定事項が発動していると思いなさい。エルファサ女神様の誓いが発動していると思いなさい。

 何が有ってもギルドも国も責任を持ちません。事実燃えましたからね。

 ここの十三名を残し、今日この場のギルドに用の無い者は帰りなさい。掲示板に依頼は残っていますよ」


 「「「「はいぃぃぃ」」」」


 「ああ、外で寝ているイデピッドは持って帰りなさい」


 「「「はいぃぃ」」」


 「はぁぁ。フジミヤ君。盛大にやってくれましたねぇぇ」


 「燃えたのは僕のせいではありませんよ」


 「解っています。それ以外です」


 「もう我慢できませんでした。棚ざらしのクエスト。半裸で歩く女性達。この場末の酒場のような雰囲気に」


 「それで先程の件を全てご報告に?」


 「いえ。この十三人の事だけです。

 燃えた事やビキニアーマーのお姉様方の件はエルファサ女神様に誓って報告していませんよ。

 ギルド運営費にまでも話しが発展するとは上の三人もびっくりですよ。僕も驚いちゃいました」


 「まぁわたくしの責任でもあります。本当に申し訳ございませんでした」


 「いえいえ。一緒に頑張りましょう。

 それであなた方は今後も不敬罪の対象者です。辞めてもそれは継続されます。

 僕を殺しても後見人がいらっしゃいますので継続されます。まぁ闇討ちだろうが


 「その様な事は一切致しません。お許しください」


 「許しません。陛下も仰っていたように、先ずは冒険者としての資質を見せてください。それからです。

 あなた方の魔力は既に検知して僕の中に登録されています。意味は解りますね。

 先輩方。色々酷い事を言いましたし酷い事もしました。しかしこれは先輩達に無駄死にして欲しくないからです。

 実際に燃えてギルドの約定の恐ろしさを身に染みて実感なさったでしょう。

 普通の仕事場では無いんですよ。国民のため。弱者のために冒険者になった。今一度思い出してください。

 それともう一点。

 国もギルドも先輩達に『冒険者になって下さい。お願いします』と、お願いした事は一切無いのですからね。

 先輩たちの願いを聞き入れて、冒険者を認めている方なのですよ。

 極論を言えば、生殺与奪をエウマイアーギルド長が握っているのです。

 到底逆らえる立場にない事を理解してくださいね」


 「「「「「はい」」」」」


 「今夜はよく寝て。明日から頑張って下さい」


 「は はいっ。ありがとうございましたぁぁぁ


 十三人は転がるように玄関へ向かって行った。


 「全員帰るのは早いですねぇぇ」


 「エウマイアーギルド長様。確認ですが、半裸の女性が襲われたりしないんですか?」


 「当然、襲われますよ。周知の事実です。

 でも、居なくなりませんでしたね」


 「そうですかぁ。仕方ありません


 「フジミヤ様」


 「ガトリングさんどうされました?」


 「ちょっとこちらへ」


 「はぁぁ?」




 (えっ?壁にドン)


 「あんた。本当の身分を明かしな。大方の予想は付いているから大声で言っても良いんだぜ」


 「怖いなぁぁもぉぉ


 「何時までも俺をのけ者には出来ないさ。今は秘匿でいいんだろ?」


 「アイファウスト・カミミヤ。です」


 「イサム陛下とサチ妃殿下はやっぱすげねぇぇ。こんな最高級品をお産みになるとは。

 で、それを大切にお育てになったクラウス様。いや。アバター様か。

 本当に凄いお方達だ。

 アバター様が引退したのはアイファウスト・カミミヤ王子殿下が動きやすいようにか?それとも成人になった証明か?」


 「父と母との約束で成人まで。と、なっていたようです。

 突然言われてかなりショックでした」


 「そうかい。そんな約束がな。

 で、こちらでの見守り監視役がハルサーラ様か」


 「はい」


 「ギルドの監視役は俺に任せな。エウマイアーギルド長よりは頼りになるぜ。

 表はギルド長に任せておきな」


 「もうその気でした。宜しくお願い致します。ガトリングさん」


 「よっしゃ。任せておきな」


 「一点伺っても?」


 「どんぞ」


 「何の権力も無い僕を


 「バカだねぇ。

 いいかい。他の奴らは知らねぇぞ。

 少なくとも俺はイサム陛下とサチ妃殿下に恩義を返さなきゃならない。でも今はあちらにいらっしゃる。

 で、そのご子息が目の前に居る。お返しするチャンスじゃねぇか。

 それとイサム陛下とサチ妃殿下はそこいらの王様のおっさんやお妃のおばはんとは格が違う。本物の陛下とお妃様だ。

 何がって。本当の意味での民思い。自分達の身を粉にして民の幸せを願った。命懸けで民のために頂点に君臨なさっていた。

 他の奴らはお二人の爪の垢でも飲んで反省しろってんだい。

 そんなお二方に何も感謝せずに俺達がエルファサ女神様のお怒りを買ってあんな事になった。俺達は自業自得だ。本物のドアホウだ。

 だが、殿下は違う。被害者だ。とてつもないほどの被害者だ。本当に申し訳なく思う。

 でも、こうして目の前で元気なお姿を。冒険者を思いやる御心に触れて感激している。

 お元気で本当に良かった。

 十年辛く寂しい思いをさせちまった。両親が居ないこれからもその辛さは変わらないだろう。

 だから。だから皆、謝罪がしたいんだ。償いたいんだ。幸せになって欲しいんだ。

 権力?地位?便宜?

 そんな事はどうだっていいんだよ。

 今のここをみりゃぁ解る。

 イサム陛下とサチ妃殿下が成し遂げれなかった事を殿下が継承して変えていくんだろ」


 「ガトリングさん。抱き着かなくとも」


 「す すまない。いや、うぅぅ。ほん 本当に 申し訳なかった。

 本当にイサム陛下とサチ妃殿下はいいお子をお産みなった。

 クラウス様は心健やかにお育てになった。お強くお育てになった。俺達が自然に敬えるように。

 頼む。手伝わさせてくれ。償わさせてくれ。遅ればせながら謝罪を言わせてくれ。

 僅かでもいい。何か力になれる事を言いつけてくれ」


 「ハルサーラ様達の事もいいですか?」


 「勿論だ。何が何故でなく、任せて欲しい」


 「では、これからよろしくお願いいたしますね」


 「ああ。任せておきな。エウマイアーが言うこと聞かない時は言いな。ケツを蹴っ飛ばして全身の毛を引っこ抜いてやる」


 「はい。戻りましょうか」


 「そうだな。行こうか」


 「涙を拭った方が良いですよ。はい、ハンカチです」


 「ありがとう」




 「ガトリング。失礼はしていませんよね」


 「お友達に成ったんだ。なっ」


 「はい。素敵なお友達が出来ました」


 「何かこう、お尻がムズムズするのは何故でしょうか」


 「パンツん中で燃えてんじゃねぇの」


 「えぇぇ?」


 「燃えてはいませんよ。

 さてとエウマイアーギルド長様。今度はこのお方ですね。ガルカクさんでしったけ」

 

 床に横になっていたガルカクにフジミヤが回復魔法を施し。


 「あん?ギルド長。ここは?」


 「ギルドの受付前です。意味は解りますねガルカク」


 「奴隷落ちかよ」


 そのタイミングで男女二人が入り口から入って来て。


 「「ただいまぁ」」


 「えらく今日は静かだよマスケット兄さん」


 「開店休業か?猫探し終わったんだけど・・・兄さん?」


 「あれぇぇ?ガルカク兄さん、さぼって何寝てるの?」


 エウマイアーが二人に歩み寄って。


 「やぁお帰りマスケット。カスミナ」


 「「ただいま。エウマイアーギルド長」」


 「色々有ってねぇ。ガルカクは彼に模擬戦を挑んであっさり負けて、自ら望んだ奴隷に落ちた」


 「兄さぁぁん。猫探しに行ってるうちに、何やってんだよ。こう言う事は止めろって言っただろうがぁぁ


 「すまねぇマスケット」


 「兄さん。あたしたちどうすんの?マスケット兄さんだけじゃ食べていけないよ」


 「カスミナ。申し訳ない。ごめんな。本当にごめんな」


 (あれぇぇぇ?ガルカクさん全く鼻に付くような悪い人じゃないんですがぁぁエウマイアーギルド長さぁぁん。

 さっきのおっさん連中の方がいやぁぁな奴らなんですがねぇ)

 「エウマイアーギルド長」


 「はい。何でしょうか」


 「ガルカクさん。悪い人なんですか?」


 「誰から聞きました?」


 「エウマイアーギルド長」


 「鼻に付くとは言いましたが、悪い人とは言っていませんよ」


 「えっ?あのっ」


 「正義感が強くて歯止めが効かなくなり、言う事を聞いてくれなくなるんですよ。だから鼻に付く。

 わたくし、選ぶ言葉を間違えましたかね。

 確認して下さればよかったのに。もしくは模擬戦を辞退するとか」


 「あぁぁぁ。やってもうたぁぁ。

 仕方ない。

 ガルカクさん。食べていけないって、どういうことですか?」


 「フジミヤ様。前回のクエストをドジっちまってギルドに借金が有るんだ。

 それの返済の事だ」


 「エウマイアーギルド長。幾らです?」


 「金貨で七枚」


 (だから十枚かぁ)

 「意外と多いですね。どんなドジを」


 「それ以上は守秘義務があります」


 「判りました。それは全て主に来ると?」


 「そうなります」


 「観客席と木剣の弁償も?」


 「そうなります」


 「最初っから?」


 「な なんのことでしょうか?」

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