ギルドと冒険者をあるべき姿に導く
「エウマイアーギルド長の靴も燃え始めていますよ。カリーナさん達職員の髪の毛も燃え始めていますね。
燃えていないのはハルサーラ様ご家族とそちらの女性。そして冒険者以外の傍観者だけです。
考えれば解かる事では?」
「ガトリングは職員なのにぃぃあぁぁ何故燃えて・・あぁぁ燃えていないのですかぁ」
「しゃぁぁねぇぇなぁぁギルド長。
てめぇぇらぁぁ。ギルド規定に沿って謝罪し、冒険者の精神を思い出し、改心しろぉぉ」
「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」
「「「「「消えたぁぁ」」」」」
「今燃えた奴らはフジミヤ様に文句を垂れた奴らだ。ほぼ全員だな。アホかお前ら。
ぶっ刺されて生き返ったブーヨウジンやブン回されて死んで生き返ったイデピッドの時に勘付けよ。
フジミヤ様が如何程の能力をお持ちか。いかに創世の女神エルファサ様に愛されているかを。
そのお方に向かって文句を垂れるとかバカか。舐め腐るのも大概にしとけドアホウ共が。
イデピッドとおんなじで年端もいかねぇガキにド正論言われて腹が立っただけだろうが。
自由に。自由に。自由に。
火が消えて解かっただろう。そんな掟は何処にもねぇよバーカ。
フジミヤ様が仰った通り冒険者は近衛兵や国軍規定に則って行動が定められてんだよ。
俺が常日頃から注意してやっていただろうが。
ギルドを愚弄した貴様らなんぞ死んじまえばいいんだよ。ったくぅぅ。クソバカ野郎が。
で、フジミヤ様。まぁギルド長が燃えたのは解かる。カリーナ達は?」
「さぁぁ?まぁ多分。エウマイアーギルド長に現場としての意見を進言していなかった。からじゃないでしょうか?」
「なるほどな。見て見ぬふりをしていたと」
「そうじゃないでしょうか?」
「俺は良かったのか?」
「燃えなかったから、そうじゃないんですか?」
「治してやっては貰えねぇか?装備も可能ならお願いしたい。
ビキニアーマーのドアホウ達はほぼ全裸になっちまった。
火が消えた。改心が出来た。どうだろうか?」
「ガトリングさんでしたっけ?」
「自己紹介がまだだったな。ここの職員の統括。ガトリングだ。一応女をやっている。宜しくな」
「皆さん。ガトリングさんに感謝をなさってくださいよ。ヒール。リ・クリエイト。錬金」
「「「「「えぇぇぇぇ」」」」」
「カリーナ。どうだ」
「か 髪の毛が元通り。火傷の痛みも無く、着衣迄元通りになっています」
「良かったな」
「「「「「ありがとうございましたぁぁぁ。そして申し訳ございませんでしたぁぁぁ」」」」」
「で、フジミヤ様よぉ。この事態に一気に陥ったのはリューカの発言が発端か」
「発端ではあるでしょうが責任は有りませんよ。
今燃えた方々の各個人の行動が誓約しているにも拘らず規定違反だった。それが赤いビキニのお方の発言で堰を切った。
赤いビキニのお方に責任を擦り付けたお方は僕が責任を持って殺します。そこのお方のように」
フジミヤは一瞬で弓を出し、矢をセットして壁際で座り込んでしかめっ面で赤いビキニを睨んでいる男の眉間に矢を射った。
男はその姿勢のまま矢が刺さった状態で動かなくなった。
「「「「きゃぁぁぁ」」」」
「ギャバットか。あいつならそう思うわな。
燃えるんじゃねぇのな」
「個人個人の恨みにまでギルド規定は反応しませんよ。
それであのままでいいですかガトリングさん?」
「見せしめでいいんじゃね。肩を並べてギルド違反をしたこいつらがリューカを怨むのはお門違いと知らしめるために。
フジミヤ様は世界の何処でも察知できるんだろ」
「はい。赤いビキニのお方は僕が魔力を登録しました。
魔力にこの件で変化が有れば助けます。相手は殺します」
「そうかい。で、そろそろ名前で呼んでやってはくれねぇか?」
「ビキニのまま存在を認める訳には行きません。それに、僕の承認が必要ではありませんよね」
「だな。つまらんことを言った。申し訳ない」
「いえいえ。ガトリングさんがいらっしゃって良かったと思いますよ」
「フジミヤ君」
「エウマイアーギルド長。ご復活ですか?」
「はい。生まれて初めての熱さと激痛を味わいましたよ。
それでギャバットはあのままですか?」
「また生き返らせるんですか?」
「是非」
「はぁぁもぉぉ。
その隣のお方。矢を抜いてください」
「えぇぇ。俺ですかぁぁ」
「嫌なんですか?お友達が生き返りますよ」
「は はい」
「あれ?俺って・・・フジミヤさん殿様ぁぁ。申し訳ございませんでしたぁぁぁ。もう。もう。いい子にしますぅぅ。お許してくださいませませませぇぇぇ」
「許しはしません。二度と馬鹿な事は考えないように」
「はいぃぃぃ。もう、何も考えませぇぇん」
「まぁいいでしょ。
冒険者の先輩方々。これで解りましたね。
冒険者登録をなさった時点で皆さんはギルドと言う規則や規定。約定。誓約のがんじがらめの巨大組織の極端に言えば『奴隷』と、なったのですよ。理解できました?
狩人さんや農夫さん。漁師さん。織物のお方や商家のお方以上の働きを求められているのですよ。
先輩方にこう言っては失礼かもしれませんが、おバカですよねぇぇ。
何処がだクソガキがぁぁ。
と思われたでしょう。
だって、Sランクのアバター。貧乏ですよ。この中で大金持ちのお方はいらっしゃいますか?お知り合いに裕福な冒険者はいらっしゃいますか?
居ないでしょうねぇぇ。
つまり命を対価に生業としている仕事内容がその対価に一致していません。
対して商家のお方や地主様は大金持ち。
大した約定にも縛られず安心安全のお屋敷で、美味しい物を一杯食べて、可愛い。お美しい女性達と暖かぁぁいベッドで眠る。
先輩方はそれを望んでいらっしゃるのですよね。
なら、冒険者では無理ですよ。
ですが、方法は有るんですよ。気付いていらっしゃらないだけです。理解なさっていないだけです。約定を読んでいらっしゃらないだけです。
Sランクのアバター。
キューレット王国の王城勤務。貴族最高位の公爵を蹴っているんですよ
「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」
「それは国王陛下が認めれば、AランクでもBランクでも所作言動に問題が無ければ貴族階級を叙爵される可能性だってあるんですよ。
五十年以上前の冒険者ではかなりのお方が貴族や王城勤務になっていらっしゃいますよ。
今でもそのお方の二代目三代目のお方がいらっしゃる事をご存じのはずですが?」
「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」
「それをより良く。解かりやすく。そして国が認めやすいようにギルドを変えたのがイサム陛下とサチ妃殿下なんですよ。
因みに赤いビキニさんが仰った冒険者の理想が、消滅した『裏ギルド』なんですよ。
依頼を受けて何もせずに報酬を受け取る。払わなければ暴力沙汰。
わざと魔物をけしかけて襲わせ、報酬をせしめる。
盗賊と結託して、商人からせしめる。
知っていましたかぁ?
つまりあなた方は盗賊や野党になればいいんですよ。
どうですかぁ?自由がいっぱいですよぉぉ」
「フジミヤ君」
「エウマイアーギルド長。またですかぁぁ。判りました。ここまでにしておきます」
「エウマイアーギルド長」
「リューカ君。まだ何か有るのですか?」
(あ”ぁぁやっぱり言い過ぎたぁぁ。今度こそ殺されちゃうかもぉぉ。止めておけば良かったぁぁ。自己嫌悪ぉぉ)
「これだけの知識と私達を諭した行動力。ギルドカードの剥奪の権限。ギルドの閉鎖の権限。
こちらのフジミヤさんのご身分を公開してください」
(へっ?)
「詳細は省きますよ。
それでSランク寸前も考慮しません。アバターの知り合いも考慮しません。良いですね。
ノネジット陛下とマウレス宰相をフジミヤ君が今この場に呼びつければ・・・実際に呼びつける。ですからね。
この場でノネジット陛下は頭を垂れ、マウレス宰相は跪きますよ」
「「「「「え”ぇぇぇぇぇ」」」」」
「この国の近衛兵。国軍すら跪きますからね」
「「「「「え”ぇぇぇぇぇ」」」」」
「ハルサーラ」
「はい。わたくしの目の前で事実そうなっていますよ。
既にノネジット陛下直下でマウレス宰相の近衛兵をお二人の目の前でねじ伏せていますからね。ですが何のお咎めも無しですよ」
「「「「「あ”ぁぁぁぁぁ」」」」」
「Sランク寸前を除いてもそれだけ高貴なお方です。
フジミヤ君が冒険者であなた方も冒険者。仲間として認識されているからこうして面と向かって立っていられるのですよ」
「「「「「申し訳ございませんでしたぁぁ」」」」」
「エウマイアーギルド長。ノネジット陛下が『たまにはいいか』って、仰っていますが?」
「転移で?」
「はい。ノネジット陛下とマウレス宰相様。新たな近衛兵様十人」
「皆さん。そこを開けなさい。あれでいいですか?」
「はい。連れて来ます。三秒お待ちください」
「「「「「連れて来ますぅぅ?」」」」」
「皆傅けぇぇ」
「「「「「はいぃぃ」」」」」
「初めましてだな冒険者諸君。
ノネジット・ファウス・ノルトハン国王だ」




