怒り心頭でギルドの閉鎖と燃える冒険者
「それで、皆さん。カードの記載事項の最後の一行。
一つ、一点でも守られない場合は最高刑死罪。
ですよ。
そして、スクロールして一番最初の行を見て下さい。
そうですねぇ。そちらの赤いビキニアーマーのお姉さん。読んでいただけますか?」
「一つ、冒険者は・・・
「どうされましたか?」
「冒険者はエルファサ女神様に誓いを立てた者である」
「いいですか。誓いを立てた。
冒険者になる時にエルファサ女神様の宣誓書にサインをしていますよね。
ただ、エルファサ女神様を信仰しろとは言っていません。
言い換えれば、エマルサーラ商会に就職してハルサーラ様を崇拝し、敬え。とは、なりませんよね。そうするのも自由です。
元々あったギルドをイサム・カミミヤ元陛下とサチ・カミミヤ元妃殿下が創世のエルファサ女神様の許可の元、国家的地位に引き上げ、国家間のネットワークを築き、冒険者の地位の向上を図った。
つまり『エルファサ女神様を崇拝する気は無いが冒険者を生業としたいのでギルドの規定に従う事をギルド長とエルファサ女神様に誓います』
と、宣誓しているという事です。
冒険者登録の時に熟知していますよね。知らなかった人は剥奪か処刑ですよ。
そして、その登録時この部分も熟知していますよね。
次の行を読んでいただきます。
先程の方の後ろの青いビキニアーマーのお方。読んでください。逃げることは出来ませんよ。拘束しました。どうぞ」
「ひ 一つ、冒険者は品行方正。所作言動に留意し、紳士淑女でなければならい」
「ありがとうございます。この意味が解っていない人はいませんよね。
それで受付嬢のカリーナさん」
「はい」
「受付の後ろに貼ってある冒険者の基本的身なりで女性側の赤文字を読んで下さい」
「はい。
露出度の高い服装。特にビキニアーマーは禁止とする。
です。
ただし、水際の戦闘が予想される場合はこの限りではなく、現地での着替えを推奨する。
と、なっています」
「エウマイアーギルド長さん。一体どう言う事でしょうか?禁止ですよ。
因みに水辺に最も近いギルド。キューレット王国のビバイバル湖の南の町。トルファン。
あの界隈は水生の魔物の出現率が非常に高い。
浜に出て来るメテフィラスライムやストロビラゴブリンはしょっちゅうですよ。
そのギルドに数度行きましたが一度もビキニアーマーを見たことが有りません。
ここより数度温かい場所ですよ。
もう一度言います。禁止ですよ」
「ファッションショー。でした」
「そうでしたか。それでも神聖と言っていい場所で半裸のファッションショーはどうなんですかねぇ。
私は冒険者。そして貴族階位に匹敵。
あなた方B、Cランクのお方は国軍。是非ともそのお姿で国軍兵舎や近衛兵の兵舎に行ってください。今すぐにどうぞ」
「フジミヤ君」
「はぁぁぁ。いいでしょう。
冒険者の規則、規律、ギルド長の指示に従えないのであれば即刻冒険者を辞退してください。
勿論、ギルド長が理不尽な要求や命令を出せばエルファサ女神様の誓いで燃えますのでご安心ください」
「ちょ ちっとフジミヤ君」
「皆さん。エウマイアーギルド長がお優しいお方で良かったですねぇ。
で、エウマイアーギルド長。規定違反ですが」
「今日の今までその様な冒険者は一人もいなかった。その認識ですよ。燃えていませんせんし。
これからも厳しく取り締まっていきますよ」
「なるほどぉ
ハルサーラが前に出て。
「みんな解ったかしら?
イサム・カミミヤ元陛下とサチ・カミミヤ元妃殿下がお造りになったギルドを愚弄し裏ギルドを立ち上げた者達の最期を知る者は居るかしら。
居るわよねぇ。最期は惨たらしい形で放置。それが最低の死に方。もっと上級の死に方をなさった方もいらっしゃいましたよ。
今在るギルドを貶めたらここの皆がそうなりますよ。これは全土のギルドもです。冒険者登録をしている以上逃げ場は有りませんよ。
彼はあなた達がそうならないように悪者になりつつ声を荒げて諭しているのですよ。
因みにもうすぐ彼はアバター様に続くSランクですよ。レベルも五桁に到達する勢いですよ。初登録だったからレベル四桁のAランク止まりだっただけですよ。
目の前で見たでしょ。死んで間もない死者すら蘇らせることが可能なのですよ。
エウマイアーギルド長」
「今、ハルサーラが言ったことも真実ですよ。十五歳でSランクも夢じゃないんですよ
(あぁあぁぁぁ赤と青いビキニのお姉さん達が来たぁぁ。どうしよぉぉ)
「エウマイアーギルド長」
「何ですかリューカ君とピュリス君」
「ピュリス私が言う」
「あぁうん」
(あ”ぁぁぁ言い過ぎたぁぁ殺されちゃうかもぉぉ)
「フジミヤさんと言っておきます。
冒険者とは自由に仕事が選べ、自由な時間に、自由に仕事をこなす。
それが冒険者ではないのですか?」
「確認ですが、何処にその様な規定が有りましたか?」
「みんながそう言っている」
「みんなとは?」
「ここに居る全員」
「ああ。本当ですねぇ。頷いていますねぇ。
エウマイアーギルド長。これどういう事です?」
「その・・成り行き?」
「はぁぁぁ。
今の発言は確認と言う事で聞きました。
それでその答えですが、今までの話し。特にギルドカードの裏面の事を思い出してください。
そして今僕が行使している貴族に匹敵する不敬罪の適用。
もう一点。創世の女神エルファサ様に誓いを立てている事。
この内容。自警団。警察。国軍。近衛兵。貴族。国王までが誓っている内容です。
だから、冒険者のランク上位は貴族階級に匹敵しているのですよ。
国王陛下や貴族が自由に・・・一部のお方達は全てを忘れ去っていらっしゃいますね。
僕の・・・わたくしの認識不足でした。謝罪し、訂正いたします。申し訳ございませんでした」
ハルサーラが。
「フジミヤ様?」
「エルファサ女神様に誓いを立てた国王陛下や貴族連中が自由気ままにやっている。
冒険者がそれを見習っている。
それを押し付けることは出来ません。
よぉぉく判りました。理解しました。そして怒りが込み上げてきました。
いいでしょう。
皆さん。ご自由になさってください。好きになさってください。
四か国のギルド全てを本日を以って閉鎖いたします
「「「「「「えぇぇ?」」」」」」
「驚くことは無いでしょう。
ランク。レベル。報酬。特権も消滅。
職員も含めて全員解雇とします。どうです。自由ですよ
「フジミヤ君」
「何ですかエウマイアーギルド長。ギルド長自体も自由業を推奨しているのですよね
「違います。そうではありません」
「何処がどう違うのですか?
ここは酒場。お酒を飲んでナンパする場所。ファッションショーをする場所。それでいいじゃないですか。
魔物の討伐や困っているお方達を助けるギルドでなくてもいいじゃないですか。
エウマイアーギルド長。ではなく。エウマイアー店長で。
そう言う事ですよね。赤いビキニのお姉さん」
「そうでは
「何が違うのですか。全て自由でいいじゃないですか。
気が向いた時に気が向いた動物を狩って来て、通りのお店に売ればいいんですよ。そちらのお店の方が高く買い取ってくれますよ。
ここに拘る必要は何も無いんですよ。ギルド登録していらっしゃらない狩人さん、漁師さん、農夫さんのように。
ギルドは大変ですよ。冒険者は大変ですよ。規約や規定に従わなければ処刑されちゃうんですよ。
辞めた方が良いですよ。
で、冒険者の居ないギルドの必要性は全く無くなりました。
四か国のギルドは本日を以って解散。全てのギルドカードは無効。全ての効力も無効。
その原因はここ。エウマイアーギルド長とその冒険者。
他の真面目な冒険者達がどのように出てくるか知りません。
因みに先日引退したアバターは僕の知り合いでもあります。知っている。のではありません。それ以上の知り合いです。念話すら通じますよ。
この中にアバターに念話が通じるお方はいらっしゃいますか?
いませんねぇ。
何が言いたいんだこのクソガキ。
わたくしは全国のギルドを閉鎖させるだけの権限を有していると言う事です。
あなた方冒険者のギルドカードを剥奪する権限も有しています。
先程イデピッドさんの時にエウマイアーギルド長も認めていましたよねぇ
「「「「「あ”ぁぁぁ」」」」」
「フジミヤ君。待って頂けませんか」
「いいえ。もう、我慢なりません。ギルドなど必要無いです。
ち・・イサム陛下とサチ妃殿下がどれだけご苦労をなさったのか知らない。知りたくない。知ったものか。
明日にはここは更地です。
では皆さん。お達者で。さ
「フジミヤ様」
「ハルサーラ様。帰りましょう」
「落ち着いてください」
「至って冷静ですよ」
「確認です。あなた方。ギルドが無くなっても良いのですか」
「それは脅しでは?」
「そう聞こえる「権力を振るった脅しだ「無茶苦茶うぎゃぁぁ「ぎゃぁぁぁ「あ”ぁぁぁ燃えたぁぁ「燃えてるぅぅ」
「フ フジミヤ様?」
「エウマイアーギルド長。僕はエルファサ女神様に誓って何もしていませんよ」
「消すことは?」
「可能でしょうけど知りません」
「方法を教えていただけませんか。ほぼ全員に火が付きました」




