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 ノルトハン王国王都へ

 木こりとしてエマルサーラ商会の魔方陣の部屋に出て来たアイファウスト、ハルサーラ、デービッシュ、スカッシュ、リッシュ、完治したアルミス。

 リッシュが扉を開けると。


 「お帰りなさいませ。頭取」


 五名のメイドがお辞儀して出迎えた。


 「パニッシュ。変わりは」


 「各店舗含め。御座いません」


 「周りは」


 「二階への出入りを禁止しております。

 執務室へどうぞ」




 「まず、皆にも心配を掛けた。アルミス」


 「みんな。お久しぶりね。アルミスよ。みんなが元気そうでわたくしも嬉しいわ。

 見て。みんなが見えるの。あなたがた全員がはっきりと見えるのよ。何処も痛くないの。苦しくないの。この髪も戻ったの。ど どう どうかし


 「お嬢様ぁぁ


 「みな抱き着いてもいいぞ」


 「ありがとうございますぅとぉぉどぉりぃあぁぁお嬢さぁぁまぁぁ


 「パニッシュぅぅ


 「よろしゅうございました。ほんとぉぉにあぁぁお嬢さぁぁまぁぁ


 「お嬢様」


 「ソフィ」


 「見えるのですね。本当に見えているのですね」


 「見えているわ、でも今はぼやけて


 「わたくしもぼやけてお嬢様のお姿が


 「ソフィぃぃ


 「アルミスさぁぁまぁぁ




 「皆落ち着いたか?」


 「申し訳ございません。頭取。歓喜のあまり皆が取り乱しましたこと


 「気にするな。実はわたくし自身もアルミスの全快の姿を見て、恩人様そっちのけでアルミスに抱き着いてしまった大失態をしでかしている。

 お主達を咎めたらわたくし自身を咎めなくてならん。

 アルミスの回復を喜んでくれたお主達を咎める訳なかろう」


 「その恩人様は今日はどちらに?」


 「紹介しよう。彼が木こり様。アルミスを全回復させてくれた恩人様だ」


 「外では


 「あぁぁ木こり様ぁぁぁありがとうございましたぁぁ


 「わぁぁぁありがとううわぁぁ


 「ど どのようにぃぃ感謝をぉぉあぁぁ木こり様ぁぁ


 「おぉぉい。落ち着けぇぇ


 「もぉぉしわけございませぇぇんわぁぁ


 「暫くは無理か」


 「皆さん。僕は木こりと申します。感謝の意。しかと心に刻みました。

 皆様がアルミスお嬢様を思う心。それが僕にも届いたのでしょう。美しい髪までが戻ったのは僕も嬉しく思っています。

 ですから


 「あぁぁお優しぃぃ


 「神様ですぅぅぅ


 「きこりさぁまぁ


 「火に油を注ぐとはこの事か?」


 「ごめんなさい。ハルサーラ様」




 「少しは落ち着いたな。自己紹介なさる」


 「皆さん。外では木こりでお願いします。通名はフジミヤ」


 「いいですよ」


 「本名はアイファウスト・カミミヤと申します。以後、お見知りおきを」


 五人が一斉に跪いて。


 「メイドの筆頭。パニッシュにございます。よくおいで下さいました。

 お恥ずかしい姿をお見せして申し訳ございません。

 一同、心よりの歓迎を申し上げます」


 「ハルサーラ様」


 「みな、立って良いぞ」


 「はい」


 「アイファウスト王子殿下。次をお願いします」


 「はい。先ずは。わたくしは教会近衛公安兵隊長。ララヴール・ラトンと申します。

 以後、お見知りおきを」


 「あっえっ。あっはい。お願いいたします。えぇぇ?」


 「メイド筆頭。パニッシュ様。先輩の皆様。初めまして。

 この度、ハルサーラ様のお屋敷に仕える事となりましたサクラと、申します。

 至らぬ点ばかりかとは思いますが、末永くご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」


 「えぇぇ今度はメイドぉぉ


 「あの挨拶わたくしには無理だわ」


 「背は高く均整の取れた姿。何よりすらりと長い足。素敵だわぁ」


 「頭取。後ろを」


 「サクラ」


 「はい」


 「わぁぁおっきなリボンが可愛い。わたくしもしたぁぁい」


 「わたくしも着てみたぁぁい」


 「動きやすそう」


 「男子に受けそうでぇぇす」


 「頭取」


 「そうね。売り子目当ては不本意ではあるけどいけそうねぇ」


 「ハルサーラ様。それは店員さんの事ですか?」


 「そうよ。十年前以前のデザインが今は主流なの。どの店も代わり映えがしなくてサチ様のデザインが使えなくって」


 (はぁぁ。またクラウスだよ。なぁぁんで絵画の絵師みたいなことが必要かと文句を言っていたけどここでかぁ。


  『十歳にお成りになって絵も描けない?どうしたものでしょうかねぇぇ。

  先ずはこちらのコップから書き写しを致しましょう。徐々に風景迄ですよ』


 最終的には人物画や魔物の図鑑まで作ったよねぇ)

 「スカッシュ様。こちらをどうぞ」


 「衣装デザインのスケッチぃぃ?」


 「はい。わたくしが作って販売はまだNG・・認められていないようなので。

 エマルサーラ商会で生地の製作から裁断、縫製に限って販売は可能です。

 他店の複製や盗用は完成に至りません。線引きは解りませんがエマルサーラ商会独占販売になります。

 エルファサ女神様の所業ですから独占販売禁止法にははまりません」


 「独占販売禁止法?」


 (皆さんのあの反応。無いんかい)

 「あっ。忘れてください」


 「お母様。ご覧ください。失われた織機からミシンの製造方法まであります」


 「サクラ。活用させてもらうわよ」


 「はい」


 「この四冊の複製は?」


 「わたくしとハルサーラ様立ち合いでその場で書き写しのみです。一日五アイディアまで」


 「サクラが持って歩き、わたくしの立ち合いで有ればどこへでも?」


 「わたくしがこのメイド姿に限ります。

 ですが、例えばスカッシュ様がわたくしのこの姿のままをスケッチするのは問題ありません。

 わたくしが往来を歩いて、それをたまたまスケッチされても手が届きません。製作は出来ませんが」


 「サクラちゃん。他のデザインもオーケーなの?」


 「スケッチする特定のお方を決めていただければ、このようなパーティードレスにもなれますのよ。いかがかしらぁぁ」


 「これは昨日見せていただいたドレス」


 「滅茶苦茶すてきぃぃ


 「奇麗です」


 「ありがとう。サクラに戻りますね。細部は後程でいかがでしょうか?」


 「そうね。パニッシュ」


 「はい。スカイメインは本日休業の完全貸し切りでございます。

 転移装置も稼働できます」


 「サクラ。スカイメインはわたくしの親友が営む食堂の店舗名。

 この王都に嫌気がさし、東門の町に出店希望の者です。

 先程、闘技場の食事係に推薦した者です」


 「そうなのですね。判りました」


 「アイファウスト王子殿下のお姿で参りましょう」


 「はい」


 「アルミスさんはどうしますか?」


 「行きます」


 「女神様の回復術で容体は安定しています。疲労もありません。

 ですが、絶対に無理はなさらないでください」


 「はい。アイファウスト王子殿下。

 無理は致しません」


 「ポーションはお持ちですね」


 「はい。持ってまいりました」


 「わたくしも注意して診ております。

 リハビリと思ってくださいね」


 「判りました」


 「パニッシュ。

 スカイメインへはわたくし。アイファウスト王子殿下。スカッシュ。アルミス。デービッシュ。リッシュの六人で行ってくる」


 「お気を付けて行ってらっしゃいませ」

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