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 世間に向けて真教会の下準備を進める

 「王都の国立闘技場?」


 「二周りは大きいわよ。客席も倍近い」


 「ララヴール殿。ここは?」


 「ハルサーラ様。先程申し上げた場所です。

 地面をご覧ください。白線で丸が描かれています。直径は十メートル。この線に触れると強制的に一歩前に出ます。

 模擬戦にしては少々狭いですが屋内やダンジョンを想定しています。

 ただがむしゃらに剣を振り回し戦うのではなく、スケルトンから学ぶ姿勢で対峙してください。

 この場は勝った負けたの勝負ではありません。あなた方自身を守るため。アイファウスト王子殿下を守るための技術の習得の場です。

 スケルトンから技術を盗んでください。また、弱点をスケルトンが身振り手振りで教えてくれます。彼らの指示に従えば必ず何かが得られるはずです。

 何を隠そうわたくしも最初の一年間はスケルトン相手の日々でした。失うものは有りません。得る物だけです。

 一つ言っておきます。先に申しました通りスケルトンも元人間。個々の気質は少なからず残っています。

 模擬戦相手はスケルトンが選びます。あなた方を見た直感です。取り換えは不可です。


 ではスケルトン出します。

 十五名の方は全員元女性。

 マルック隊長とナルッシュさんは元男性です。

 シュルキーを含め昼夜兼行で一週間は戦い続けられるように鍛え、魔石の調整もしています。休憩も本来は必要ありません。

 それに木剣が当たった程度ではびくともしません。心配無く思いっきり打ち込んでください。スケルトンの方も打ち込んできます。

 サークル内は回復魔法が施されています。痛みや切傷、骨折もすぐさま修復します。

 サークルの横に椅子とテーブル。水も用意されています。トイレはスケルトンに言ってください。案内します。


 ではそのままその場に居て下さい、先ほど言いました通りスケルトンがお迎えに行きサークルへ案内します。

 名前は左の肋骨の一番上に表記されています。

 君達。お迎えにいきなさい。


 言うのが遅れたが木こり様からの昨日のゴブリン戦で十五人全員採用が好ましいとアイファウスト王子殿下に進言が有った。

 最終的に見極めるのはわたくしだ。

 スケルトン相手に嘘も手抜きも通用しない。アイファウスト王子殿下の元に行きたいのなら血涙を流す思いで成長を見せろ。

 模擬戦の合格者は次に座学を学んでもらう。講義は凡そ三日。

 晴れて合格した者には、今わたくしが着ている軍服と剣。剣は魔力を乗せる事が可能な魔剣。そして白馬がアイファウスト王子殿下から下賜される。

 そしてエルファサ女神様の加護が一人一人直接与えられる」


 「質問を」


 「いいぞ」


 「座学は何を?」


 「主に経典と法律だ。教科書は模擬戦合格者全員にわたくしが渡す。

 講師はマルック隊長、ナルッシュさん。ハルサーラ様。他数名とわたくしや木こり様が行く場合もある。もしかすると。

 準備もあるだろうがこの闘技場で三日間を過ごしてもらう。模擬戦も行う。

 部屋は個室。バストイレ付で、着替え以外は全て揃っている。メイドは付かないので基本ベッドメイクなどは自身で行ってもらう。

 食事は三食を食堂で摂ってもらう。ハルサーラ様」


 「シェフと賄いは王都から呼びます。わたくしの気に入っているお店。

 こちらに出店したいと、その下見も兼ねて。明日の午後から入ります。

 三日間の生活内でエルファサ女神様、アイファウスト王子殿下へ失礼の無い程度の所作も学びます。

 ここでかかる費用は全額エマルサーラ商会が支払います。お店は無いので個人出費は有りません。

 わたくしは名誉ある初代エルファサ女神様直下。教会近衛公安兵にあなた方全員がなる事を強く望み、期待しています」


 「はい」

 

 「シュルキー。ハルサーラ様をサークルへ」


 「質問です」


 「どうぞ」


 「スケルトンさん達は痛みは感じないのですか?」


 「はい。全く感じません。折れる事もバラバラになる事もありません。

 恐らく今は当てる事も難しいと思いますよ」


 「ありがとうございます。キャルスさん。行きましょう」


 「ララヴール殿。少々口調がお優しくなっていますよ。お気を付けください」


 「あっ」


 「お願いいたしますね。シュルキー様」


 でかい骨のスケルトンに並ぶマルックが。


 「ララヴール殿。こいつうぅぅんっとマックストール。

 滅茶苦茶でかいんだが?俺より頭分以上背が高い。二メートルは有るんじゃねぇ?骨も肉の有る俺とほぼ同じなんだが?」


 「マックストールはほぼAランク。ドラゴン二体を討伐。元の体重は百キロ越えです。頑張ってください。マルック隊長。

 マックストール。抱っこしてお連れしなさい」


 「えぇぇおぉぉぉ俺、お姫様じゃねぇぇ。骨に抱っこされている俺ってどう見えるんだぁぁ


 「とっても良く、お似合いですよ。クスッ」


 「やめろぉぉあの時の仕返しかぁぁ


 十五のサークルでは素振りが始まり、三つのサークルでは模擬戦が始まった。

 ララヴールはその間をゆっくりと見て回った。




 そして昼前に模擬戦が終了し、ハルサーラのサークルに全員が整列した。

 ララヴールが。


 「皆ご苦労。いい顔になったな」


 「はい」


 「模擬戦を見た結果を発表する。合格者は・・・全員」


 「やったぁぁぁ「良かったよぉぉ「ありがとうキャルスさん。嬉しい」


 「きをつけぇぇ」


 「はっ」


 「合格と言ってもまだまだ鍛錬が必要だ。

 万が一、今日見た剣技から衰えていたら商隊護衛に戻ってもらう。ハルサーラ様との約束だ。

 気を抜かず励むように」


 「はい」


 「全員に経典と教科書、筆記用具を渡す。右の列から一人づつ前へ」


 「はい」


 「頑張ってくれよ。待っているからな」


 「はい。あの」


 「何か?」


 「上質な紙。失われボールペン。鉛筆。消しゴム」


 「アイファウスト王子殿下からの支給品だ。

 ここが終了したら言うつもりだったが無くさないようにな。ここ以外の者が見た瞬間消滅する。

 気を付けろ」


 「はい」




 全員が受け取り。


 「今日はこれにて終了。明日は朝八時にテーブルの所の小屋に入るように。

 ここから出ると判る。

 門の寄宿舎に戻り後は自由だ。

 但し。ここの事は全て極秘だ。何をしてきたのか。何をしているのか。誰に合っているのか。全て一言も話してはならない。既に任務は始まっていると思え」


 「はい」


 「後程、マルック隊長達と口裏を合わせた方が良いかもな」


 「小屋の外に集合」


 「了解」


 「明日、こちらに来ると今日の相手のスケルトンが各個人の部屋や食堂などに案内する。用が済めば消える。

 スケルトン達はこの闘技場に精通している。聞けば案内はしてくれるが言葉による返答は無い。筆談も無理だ。

 この三日間は相棒として扱ってもらえるとわたくしは嬉しい。

 質問は?」


 「はい」


 「いいぞ」


 「スケルトンさんが消えた後、用を思い出した場合はどのようにすればいいのでしょうか?


 「スケルトンの名を呼び、要件の内容を言うと近場に出てくる。取るに足らないと出ては来ない」


 「ありがとうございました」


 「はい」


 「いいぞ」


 「スケルトンさんはお風呂は必要なのでしょうか?」


 「あぁそうだな。気になるよな。わたくしも失念していた。風呂は必要無い。常に自身でクリーンを掛けている。勿論食事もトイレも必要無い」


 「ありがとうございます。もう一点。着衣は?女性のお方です」


 「気遣いはありがたいが、必要は無い。と言うか着せてはならぬ。厳命だ。守れぬなら一発で不合格となる。死をも覚悟せよ」


 「了解」


 「一応、教科書の最終ページにスケルトンとの付き合い。という項目がある。よく読んでおくと良い」


 「はい」


 「スケルトン達。彼女達を転移魔方陣の部屋へ。

 マルック隊長。お願いいたします」


 「整列」


 「はい」


 「きをぉぉつぇぇぇ。スケルトン。シュルキー様の後方を。ぜんたぁぁい。前へ」


 「ララヴール殿。後程。お先に失礼」


 「ご苦労様でした。ハルサーラ様」


 その後、アルミスの容体も良さそうなので、無理をしないことを条件に転移魔方陣で王都へと向かった。

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