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 エルファサ女神様真教会近衛公安騎馬隊採用試験

 マルックの自宅に泊まり翌朝。食事を終えたアイファウスト達はエルドラットのテーブルの所に居た。

 ハルサーラ。マルック。ナルッシュと女性十五人。

 それに女装した騎馬兵姿のアイファウスト。

 さすがに森の中、フード無しの金髪は目立つと濃い目の茶色で前髪を降ろし、ポニーテール。

 軍服も上下濃い目の緑となった。パンツの横には太めの縦の白い線が入っている。

 ハルサーラが整列する十五人の前に立った。


 「みなおはよう」


 「おはようございます」


 「本日は採用試験だがアイファウスト王子殿下が深夜にまで及ぶ業務でお休みとなった。

 それで、こちらにアイファウスト王子殿下が右腕としているララヴール・ラトン殿をお招きした。

 全ての武術と魔法に関してアイファウスト王子殿下と遜色ないと聞いている。

 勝ち抜き戦ではない。全員の腕を見たいとのお言葉だ。

 ララヴール・ラトン殿は三日三晩。全力で戦える体力と魔力と聞いてる。遠慮なく全力で自身の持てる剣技をぶつけて欲しい。

 で、あっても力量は見たいであろう。

 そこでマルック隊長に来てもらった。

 彼なら皆知っておるであろう。

 皆は木剣になるがマルック隊長は真剣をご所望だ。ララヴール殿は通常の長剣。

 では二人。五メートル開けて対峙せよ」


 「おう」「はい」


 「では。始めっ」


 「おりゃぁぁ」 キンッ。


 「へ?俺の剣わ?」


 「隊長様。どちらをご覧に?空に剣は浮かんではいません。わたくしが持っていますよ」


 「なにぃぃ「えぇぇぇ」


 「もう一回だ」


 「はい。どうぞ」


 「始めっ」


 「今度こそ慎重に」 キンッ。


 「え?つの間に?」


 「はい。どうぞ。お返しします」


 「もう一度だ」 キンッ


 「もう一回」 キンッ


 「今度こそぉ」 キンッ

   ・

   ・

   ・

 「はぁはぁはぁ今度


 ハルサーラが右腕を水平に前に出し、手のひらを広げて。


 「止め。もう止めておけ。膝が内股でガクガクだ」


 「全然ダメだぁぁ。ありがとうございましたぁぁ」


 「こちらこそありがとうございました」


 「カッコいぃぃ「素敵ぃぃ「ほれぼれしちゃうぅぅ」


 「今度はナルッシュ」


 「はい」


 「始めっ」

   ・

   ・

   ・

 「止めっ。ナルッシュ。立てぬか?」


 「もう動けません。手も痺れて。ありがとうございました」


 「こちらこそありがとうございました」


 模擬戦を見守っていた女性達が。


 「ハルサーラ様。わたくし達では務まらないのでは?」


 「お一人で世界が守れそうです」


 「わたくし達の強さの最高レベルの基準のマルック隊長は足がガクガク。ナルッシュ様は両膝を付いて天を仰いだ。

 そんなお二人を軽くいなして今なお平然としていらっしゃる。

 わたくし達は必要とされるのでしょうか?」


 「何を弱気な事を。

 ララヴール殿。鍛える良い方法は御座いませんか?」


 (はぁぁぁ。クラウス様ぁぁ。出番ですよぉぉ。


  『何と。骸骨がお怖い?嘆かわしいやらおいたわしいやら。

  良いですか?

  わたくし達の中にも有る物なのですよ。それが表面的に見えていないだけです。

  彼ら彼女らは剣術や魔法の鍛錬相手には丁度いいお方達なのです。

  対人戦闘。人と戦う場合の事ですね。この鍛錬には彼ら以外にいないと言っても過言ではございません。

  全てわたくしめが操っておりますので六歳のお坊ちゃまでも怖くはございません。

  さぁ鍛錬を致しますぞ。お坊ちゃま』


 マジで骸骨怖かったなぁぁ。幽霊でも苦手だったのにぃぃ)


 「ララヴール・ラトン殿?」


 「何がいいか考えておりました。

 そうですねぇ。最もいい方法が有るにはありますが、あまり好かれない可能性が大です」


 「どのような方法で?」


 「皆さん。スケルトンをご存じですか?」


 「骸骨の魔物」


 「はい。本来は元人間。何らかの都合で亡くなって、魔石が融合し、動き出す。

 元の人の体に戻りたいと言う無意識が人を襲う。全く生前の記憶も無くただ漠然と人に向かいます。

 スケルトンによって強さが違うのはいわば死した時の力の保有量。

 Cランク冒険者が死ねばCランクのスケルトン。Bランクが死ねばBランクのスケルトンですね。

 それらを纏めて操るのがこの世に無念と遺恨を残して死んだ魔法特化の魔法士。ほぼBランク以上のリッチと言われる存在ですね。

 リッチは生前の意志を強く保持しているため使い勝手が悪いのでわたくしは保持していません。

 それでわたくしはBランクのスケルトンを仲間にしています。最高ランクはA。

 精神まで操っていますのでわたくしが思う元の人だった頃の記憶を保持しています。

 その辺を徘徊しているスケルトンとは別物。

 見て頂いた方が早いですね。

 今から出しますので深呼吸してください。絶対にあなた方を襲いません。わたくしや皆様の言葉も理解できます。

 心の準備は出来ましたか?」


 「はい」


 「では、出します。はい」


 「あぁぁぁ「えぇぇぇ「こわいぃぃ」


 「彼女の名はシュルキー。シュルキーご挨拶です」


 「おじぎしたぁこんにちはぁ」


 「反応してるぅぅ」


 「シュルキーさん。手を振れますか?」


 シュルキーは右手を腰のあたりで軽く振った。


 「あぁ可愛い」「微笑んでいるのが解るぅぅ」「絶対美人さん」


 「ハルサーラ様。お相手いかがですか?

 シュルキーは百年ほど前に亡くなったAランクの剣士です。

 ドラゴンに一人挑み勝って亡くなりました」


 「シュルキーさん。おねがいしても?ありがとうございます。では木剣を」


 「「「あぁぁ両手で受けたぁぁ。礼儀正しいぃぃ」」」




 「ハルサーラ様。どうぞ」


 「シュルキーさん。いきます」


 一気に出たハルサーラはまず大上段から切り掛かったが、軽くいなされ、シュルキーの水平に振った木剣が鼻っ面をかすめた。

 ハルサーラは反転し、腰をかがめ腰付近を水平に狙ったが上から木剣を立てられ防がれた。

 シュルキーはそのまま垂直に振り上げたがハルサーラはバク転で避けたがシュルキーそれを追いかけながら木剣を縦横に振り続けた。

 バク転で逃げていたハルサーラは低姿勢で屈み、上から来た木剣を水平で受け流し、突きに出たがはらりと回転しながら避けられた。


 「そこまで」


 「ララヴール殿。何故止めた」


 「あのっハルサーラ様の練習では無いと判断しましたが?」


 「一旦ですがシュルキー様。ありがとうございました。ララヴール殿。握手は?」


 「問題ありません。シュルキー」


 「ありがとう。美しい剣でした。もう一度お願いしたい」


 「皆さんの方は?」


 「ララヴール殿にお任せする」


 「みなさんはどうされたい。全員分のスケルトンは居る」


 「お願いします」


 「挙手を」


 「ララヴール殿。マルック隊長もナルッシュも手を挙げておりますが?」


 「あのっ。都に行く約束は?」


 「午後からになりました。たった今」


 「えぇぇ?ギルド長は


 「待たせておけです」


 「判りました。実はある場所に闘技場があります。五十人は同時に模擬戦でしたらできますよ」


 「もちろん。そちらに」


 「はい。こちらに集合。シュルキーも並びなさい」


 「本当に凄わ。シュルキーさん。いいえ。どういたしまして」


 「「「すっごぉぉい。本当に礼儀正しぃぃ」」」


 「百年前の冒険者Aランクは皆このように所作言動が貴族の畏まった時のような感じで行動していました。と、聞いている。

 いわば近衛兵。儀仗兵をもこなす。

 元々ギルドとは。冒険者とはその様な者の集まりで有った。そうだなシュルキー」


 「「「頷いた」」」


 「今の盗賊の様な落ちぶれた者の集まりをギルドとは。冒険者とは言わぬ。

 君達はハルサーラ様の元できちんと礼儀を弁えていると思うが」


 「気を付けぇぇ」


 「「「「「はっ」」」」」


 「今からとある場所に向かいます。そちらでスケルトン相手に模擬戦をして頂きます。

 休憩はスケルトンの指示に従って頂きます。言葉は発せませんが態度で判ります」


 「はい」


 「では行きます。転移」

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