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 世界情勢に関わるアイファウスト

 アイファウストは一旦お茶を飲んで。


 「これはとある人物。女神ではありません。とある人物からの情報です。

 キューレット王国のSランクが引退しました。Sランクに憧れ冒険者が集中していた。

 ホルカイ帝国は万年食料不足。大陸全土はノルトハン王国と同じで鉱石の需要が減った。元々鉱山の開発で冒険者が多かった。屈強な人工も多い。

 ノルトハン王国は農耕主体。城壁も国を一周する程立派。魔物の襲撃も他国の半分以下。

 マウレス宰相様ならどうします?」


 「ちょっと待ってください。戦争でも起こそうとしてるんじゃないでしょうね」


 「北と南は疲弊している。謀略の扇動で暴動や一揆が起きれば国境は一気に瓦解。誘導されるように挟撃されて、王都ノルトハンを南北真っ二つ。東西に線引き。

 今この守衛はホルカイ帝国側ですね」


 「密約が?」


 「作戦名の隠語は母サチが一部で言っていた上弦の月をもじって【上下弦の月】。半月の事です。

 トウショウ王国の入出国はザルですから。

 ここから始まった線引きはトウショウ王国も真っ二つでしょうね。

 ただの情報ですからね」


 「心に留め置けと」


 「いえいえ、わたくしは国政に関与しない教会の神官長。

 真意の無いただの情報提供です。

 作戦の有無に関してはノルトハン王国の方でお調べください。

 教会を襲うと言うのであればこれには徹底的に立ち向かいます。

 ねぇ。マウレス・ジルミナアキツシマ自治区管理総括長様」


 「あっ」

 「あららぁ」


 「今からボッチのうわ言ですよ。

 ハルサーラ様ぁここの奴隷のお方達が解放されて、人並みの生活に戻る時どれくらいの物資が必要なんでしょうねぇ。

 馬小屋以下の住まいでは可哀そうだなぁ。食も豊かにしてあげないとぉ。着る物も必要になる。

 天から技術やお金が降って来ることがあるんですねぇ一千枚もぉ不思議だなぁ。

 教会と屋敷はほぼできたけど内装がまだぁ。

 使徒の収納には大森林の樹木があるぅ。加工技術も持ってるぅ。特定のお方に伝授可能。門外不出の術。ガラスももういいのかなぁ。

 あぁそう言えば友人の木こり君は土魔法で道を作るのが得意だったなぁぁ。

 ここの門の東は山裾まで不干渉地帯ではなく、空白地帯。三か国協議で決まっていたようなぁぁ。実効支配が成立しているはずぅ。

 ここに冒険者が来ると賑やかになるだろうなぁ。

 たしかぁ北方出身のジャクリード・レ・イザルッシュ公爵はぁホルカイ帝国が大っ嫌い。そして地位と名誉を重んじるお方。

 一族郎党のぉまで落として置いてぇ執行猶予期間中に国家事業に一枚噛ませるとぉぉ。ああ喉乾いた」


 「お人が悪いですよ。アイファウスト王子殿下」


 「えっ?何か言いましたわたくし」


 「極秘裏に精査いたします。一国集中の技術の流出を抑え、国防軍の整備ですね。

 そうか。エルファサ女神様は国も教会を守れと。

 何とおこがましい事をわたくしは思っていたのだぁぁ。本当に何も知らないではないかぁぁ。

 ここは他国から一番遠い。安全地帯。だが、ここへ到達するまで・・・男爵が潰れた。ちょっと待ってください頭がぁぁ。

 そうか国庫をそこにつぎ込む。街道整備も必要になる。あぁぁお金を回さなかったのが原因かぁトウショウ王国の発展の勉強して来たのにぃ」


 「徐々にでしょうが不就労者が減りそうですわね」


 「何処からそんな話しに?」


 「天のお声ですよ。使徒様には聞こえない、エルファサ女神様のささやくような秘密のお話し。

 お茶の御代わりを。熱いのをお願いね」


 「はい」「はい」


 「楽しくなってきましたわ」


 「たった一つの技術が降って湧いてもこうなるのか。

 失ったものを失ったままに放置した。今日の為に準備と蓄積を怠った。正に天罰だ。後手に回っている。わたくしは真のバカだったぁぁ


 「マウレス宰相様。熱いお茶が入りました。落ち着いてください」


 「はい。ありがとうございます。熱い。で、十年前にみんな良さを知っている。ノルトハンから出れば飛び付く。

 ここを襲えばあの日の惨劇の繰り返し。・・・申し訳ございません」


 「お考えを纏めるのはお城で。

 で、アイファウスト王子殿下。では無くアイファウスト神官長。

 ここでの不敬は?」


 「そうですね。では、こうしましょう。

 わたくしへの謝罪等は要求致しません。

 ですが、わたくしも教会の建設で忙しい身です。付いてはいけないのでハルサーラ様の目の前でベッドに居るアルミスさんとマルック隊長に心からの謝罪。

 そうすれば近衛兵達を失ったあなたを安全かつ正確に謁見の間に転移させます。あなたの能力では二日掛かりますよね。

 ここからガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵のお屋敷までは行けそうです。

 ですが初日のこの状態。どのようにご説明をなさるおつもりでしょうか?場合によっては陛下の失態となって民達にどのように伝わるのでしょう。

 あぁ民達よりジャクリード・レ・イザルッシュ公爵派閥が騒ぐかも。既に近衛兵隊長の裏切りが謁見の間で露見しています。

 そうなると先程の件が水の泡。

 事を穏便に済ませるには直ちに戻り、修復を掛けた方が良いのではないかとわたくしは思いますが。いかがでしょうか?」


 「元より謝罪をさせて頂く所存でした。ハルサーラ大司祭様。申し訳ございませんでした」


 「受け取りました。

 いかがですかアイファウスト王子殿下にお会いした感想は」


 「正直、始めは何と横暴なわがまま王子かと思いました。

 しかし、わたくし達の見えていなかった謀略迄を見抜き、なによりわたくしがお慕いする陛下にご助力を頂けました。

 深く感銘を受け、尊敬に値します。

 わたくし自身を正すため、悪を炙り出すためのご自身を悪者にした演技と先程気付きました。

 途中からのお優しい口調。謁見の間でエルファサ女神様がガウレシア・ト・シャウトリーゼ辺境伯爵のご息女に向けたお優しお言葉と笑顔と同じです。

 大変失礼な言い方になりますがエルファサ女神様はとてもお優しいお方?」


 「ハルサーラ様。お願いいたします」


 「はい。とってもお優しく、慈悲深い、民思いのお方です。

 先程も娘達と一緒にお茶を飲み雑談し、お笑いにもなりました。その笑顔がとても眩しく、素敵でした。

 十年前の地上に恐怖を与えたお方と同一とは思えません。イサム様。サチ様を裏切った地上を余程憎しみ、怨んだのでしょうね。

 この水晶のエルファサ女神様の微笑みと同じです」


 「とても良く理解しました。

 そちらは?」


 「エルファサ女神様から大司祭の証として賜った物です。

 娘のアルミスはこのチェーンがシルバーです。本体はクリスタルです」


 「この薄暗い中でほんわり明るいですね」


 「はい。地上には無い技術です。エルファサ女神様の御心のような温かさ。光るのは犯罪識別のライオンの目と同じですね」


 「ありがとうございます。良い物を見せて頂きました」


 「いいえ」


 「マウレス宰相様。これを。

 アイファル姫様へわたくしからの謝罪です。家族の団欒のお食を邪魔した謝罪です」


 「これはもう既にどこにも無く、製法も判らない。誰も書けないサチ様の絵本?」


 「はい。上中下の三冊。読めますか?」


 「下が幼少。中が学院下等。上は中等ぐらいですか?」


 「ごめんなさい。学校に行っていないので区分が出来ません」


 「あぁ失礼をしました。もしよろしければ学院に通われますか?」


 「怖い事言わないで下さい。ボッチが好きです」


 「エルファサ女神様もそう仰っていました。気が向いたらお声掛けください」


 「ありがとうございます」


 「こちらは間違いなくアイファル姫様にお届けいたします。収納に仕舞いますね」


 「はい。どうぞ」


 「アイファウスト王子殿下。わたくし達はこの辺で。

 表の八人を連れてマルックの家に戻ります」


 「はい。では仕事に戻ります。

 マウレス宰相様。酷い事を申しまして申し訳ございませんでした。この通り謝罪いたします」


 「お止め下さぁぁい。そもそもの失態はこちら側。申し訳ございませんでした」


 「それとアキツシマ自治区の件とわたくし。ハルサーラ様の事をこれからも宜しくお願いいたします」


 「わたくしで本当に良いのでしょうか?」


 「はい。信用しましたから」


 「謹んでお受けいたします」


 「では。術はもうかけています。ハルサーラ様が御納得されましたら八人と一緒に謁見の間です。では」


 「あぁ転移ですか?」


 「はい。参りましょう。

 アルッシュ、ベルガー。表の八人をマルックの自宅前へ」


 「「了解」」

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