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 国政に関わっていくアイファウスト

 「しませんよ。ただ、お金で解決は出来ないかもしれませんがプーアベッガー隊長たちのしでかした事を本人宛でもいいです。謝罪文と共に金一封を。

 まさか国が、とか思っていませんよね。

 陛下にも報告を上げていない所業ですから大変ですよね。若くして宰相の地位に上り詰めたのに、ポット出の若造に言われて腹が立ちますよね、平民相手の事なのに」


 「・・・・」


 「わたくしから証拠を揃えてノネジット陛下に渡しましょうか?」


 「いえ。わたくしから奏上致します」


 「一つ言っておきますね。

 反国王派のジャクリード・レ・イザルッシュ公爵の派閥はこれを掴んでいます。

 どうです?信じますか?自信過剰さん」


 「アイファウスト王子殿下。煽ってはいけません」


 「信じます」


 「その信じますを信じましょう。

 陛下直下の近衛兵達の大失態。女性を抱きたいが故のマウレス宰相様の巡察。国民の反発は必至でしょうね」


 「うっ


 「はい。今から言いますよ。

 正直言えばジャクリード・レ・イザルッシュ公爵は嫌いです。ですが女性関係では気に入っています。派閥内でも無いんですよね騎士隊のようなことが全く。

 ですがこれ。派閥内の議事録。女神様に貰っちゃいました。

 また、女神様の横取りですよ。受け取りますか?」


 「アイファウスト王子殿下」


 (もうダメだ。このままでは陛下からいただいた新たな任命への信用を失ってしまう。怖い。恐ろしい。

 全てを受け入れよう。穏便に済ませて頂くしかない)

 「ハルサーラ大司祭様。わたくしのこの自信過剰が全ての元凶です。

 そして国政の根幹の一番危険な部分の事が何も出来ていなかった。何も知らなかった。上辺だけの空威張りでした。

 わたくしの改心をお認め下さり、アイファウスト王子殿下のお怒りが静まるまで全てを甘んじて受け入れます」


 (アイファウスト王子殿下ったらもう。教えておいてくださいよ。

 最高権威を命じたのはこう言った思惑があったのですね。

 ノネジット陛下が認めた権威を一度手にしたら失うのは怖いですよねぇ。仰った通り、信用も信頼も失墜です。

 それに嫌な話しを聞かされても、この場から逃げることも出来なくなりましたね)

 「解かりました。一旦どん底まで落ち、もう一度自己研鑽してください」


 「はい」


 「では続けますよ。この議事録はあなたのお色気巡察が始まる前。二年前の議事録です。

 書記はヨルデイットと言う方。ご存じですか?」


 「伯爵です」


 「で、内容確認のサインはジャクリード・レ・イザルッシュ公爵。

 内容は時効云々に関係無い内容です。まぁこの議事録自体遂行され失敗。迷宮入りですが。

 どうぞ」


 「これは陛下ご一家毒殺未遂事件の時の


 「その様ですね。主犯とされたメイドは殺され、背後を洗ったが完全な冤罪だった。処刑したのはヨルデイットですね」


 「これを


 「お待ちください。

 これを前面に出していけません。案外ジャクリード・レ・イザルッシュ公爵はこの国にとっても対外的にも必要。

 ここまで言えば判りますか?」


 「臭わせて傀儡に。反国王派の壊滅?」


 「正解です。生かさず殺さずが大事です。

 勿論、お色気巡察の方もうまく解決しないといけませんが言われるより先に近衛兵達を悪者にして立件すればいいだけです。

 あなたの巡察で好転に向いた地域も多い。

 ここだけの話しです。お色気巡察と知っているのはあなたと先の公爵派閥のみ。被害者やその関係者は陛下や宰相が関わっているとは思ってもいない。

 なぜ訴えが届かないのか?

 匿名の書簡が国王宛に届き、調査した振りで、訴えが届かなかったのは近衛兵の仲間のせい。

 いいですか。ジャクリード・レ・イザルッシュ公爵達がお色気巡察と言っているからわたくしもそう言っているだけです。

 これはれっきとした犯罪ですからね。

 彼らは国家命令のように脅迫をして従わせているんです。

 つまり何らかの拍子に。

 例えばジャクリード・レ・イザルッシュ公爵が暴露したら国王命令のように受け取られても反論できない状況なんですよ。

 だから、事実の罪を犯した近衛兵達のせいにして、国王と宰相は何も知らなかった。

 国王陛下と宰相の名を騙った国家反逆罪にでも問えばいいんですよ。

 恩情は無い。慈悲も無い。当人の財産も全て没収。

 その上で罪状を事細かに周知させる事が出来る公開処刑に処すればいいんですよ。

 そうすればジャクリード・レ・イザルッシュ公爵の掴んだ弱点は意味をなさなくなります。

 被害者のお方には大変申し訳なく思いますが所謂、トカゲの尻尾切り。

 貴族上位主義で貴族以外を虫けらのように・・・

 (はぁぁぁ。ここに居たよぉクラウス様ぁ。

 民を虫けらのように殺すお貴族様がぁぁ。

 マウレス宰相様が霞むほどだったぁぁ。

 エルファサ女神様ぁ。情報をありがとうございますぅぅ)


 「「アイファウスト・カミミヤ神官長?」」


 「ああ、すみません。

 言葉の整理をしておりました。

 それでその様な思想の持ち主のジャクリード・レ・イザルッシュ公爵を国王にするのは・・・賛成ですか?」


 「えぇぇっとぉぉ


 「マウレス宰相様。国政と言うより国家の威厳と権威の話しですから」


 「そうですね。聞き入ってしまいました。

 わたくしもジャクリード・レ・イザルッシュ公爵では不適切だと思っております」


 「そうですか。

 まぁ雑に思うがままに話しました。後は宰相様にお任せしますよ。

 わたくしはノネジット・ファウス・ノルトハン陛下派です。内緒ですよ」


 「はい。はい。ありがとうございます。ありがとうございます。

 わたくしはバカでした。何故あのような自信過剰な事を。おこがましい事を思ったのでしょうか。

 何も。全く何も出来ていなかった。知らなかった。大バカ野郎でした」


 「あらあら。それが解っただけでも前進かもしれませんね」


 「はい。

 創世のエルファサ女神様。失礼をお許しください」


 「ハルサーラ様。一点確認を」


 「はい」


 「この地域の奴隷が解放されると聞き及んでいますが」


 「はい。正確には奴隷であった事を抹消する。ですね」


 「宰相様。いいんですかぁこの後、大変そうですがぁ」


 「仰らないで下さい。現在どこまでを救済するか、検討中です」


 「ハルサーラ様。現状、この教会の地となる範囲で人口は何人程ですか?」


 「凡そ一万人。その内奴隷が約四千人。奴隷の両親が子供も奴隷と契約が約定していますので子供も含みます。

 勿論、子供も抹消されます。

 こちらでの奴隷で契約上の主が居る者は百人程度。しかも犯罪奴隷や自らの失態による借金奴隷です。捕虜奴隷はおりません」


 「マウレス宰相様。確認です。

 ここ五年のノルトハン王国の裕福度合い。そうですねぇ飢餓で死ぬ人は多いですか?」


 「国内全土を網羅できている訳では無いので何とも。巡察している時は西と北方面が貧困度合いが高い。

 南は若干増加気味。一極集中してしまっている王都も一見賑やかに見えますが人が集中し過ぎて逆に仕事に付けない人が多いですねぇ」


 「原因の究明は?」


 「正直に言えば出来ていません。ここでも無能が露見したぁぁ。本当にバカだったぁぁ。申し訳ございません。

 強いて言うならモノの流れが停滞している。それぐらいでしょうか」


 「何か足らない物は有りませんか?」


 「足らない物ですか?」


 「はい。単純に生活に於いてです。

 ハルサーラ様も思い当たることは無いですか?ご商売の上でもいいですよ」


 「とにかく食事でしょうね」


 マウレスが。


 「まぁ。そうなりますね。王都全体でも言えます。

 大陸一と言ってもいい穀倉地帯を抱えながらも食料は足りていないです。

 輸出が多いのもありますが」


 「国庫の方はどうですか?」


 「そちらは潤沢にあります。

 極端に言えば十年全く税収が無くても国が維持できるほどです。平穏が保たれている事が条件ですが」


 「貴族様も同じですね」


 「まぁ一概には言えませんがそうですね」


 「学者さん達の見解は?」


 「『昔は良かった』の、学者ですか?」


 「そうですね。十年前までは良かったでしょうね」


 「口を揃えて、そう言いますね。

 彼の者達はそちら方面に興味が無い。そう言った方が早と思います。

 今現状、国政に携わる様な学者が居りません。エルファサ女神様の粛清を恐れております」


 「もう一点。何故、入国審査に一週間もかかるのですか?テントエリアが必要なほど」


 「勿論、よからぬ輩が入って来ないように。それと犯罪者識別の機器が三か所分しかない事です」


 「海側は?」


 「事実上放置状態ですが年中海が荒れていている事。大型船しか港に辿り着けない事。国境付近の警備が厳重であることです」


 「ホルカイ帝国とキューレット王国とノルトハン王国との関係は?」


 「至って良好と判断しております」


 「そうですかぁ」

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